表上海!裏上海?(上海から見た中国) by 半日半華人さん
☆ 現代版浦島太郎の物語 ――――――――――――― 2007/09/26
人生の教訓は童話にあるのかもしれない――――。

「昔むかし、浦島太郎は助けた亀に跨り竜宮城へ」ニッポン人なら誰でも知っ
ているお伽話。亀助けのお礼に竜宮城→3年が300年→プレッシャーに玉手
箱を開けてしまって老人。

さて現代社会、物語は繰り返される。

某会社会議室で上司と部下の会話。

(上)「浦島君、シャンハイ支店が現地スタッフとの揉め事で困っている」
(浦)「ハア〜」
(上)「君、ひとつ飛んで解決してくれんか」
ーーーが事の始まりだった。

早速現地入りした浦島は事情聴取。(浦)「待遇改善要求?」金の問題は早期解
決、平常に戻った支店。すると、支店責任者からお礼の食事にと誘われる。

(浦)「美味しかった〜。ありがとうございます」お礼を言いかける浦島に、責
任者は「もう1軒付合えよ」とタクシーの中。

走る事十数分、どこにでもある古びた雑居ビルの前に到着、「○○さんはいつ
もこんな(寂れた)所で…」と、ちょっとと哀れを感じた浦島だった。

ところが重厚なドアを開ければ…整列する鯛や平目が黄色い声で「イラッシャ
イマセ〜!」(浦)「こっ、ここは…竜宮城?!」と呆気にとられる。

席に案内されると、お御脚が見え隠れする人魚が隣に座り、恐縮する浦島。そ
の時、座席背もたれの後ろ側から「アラ?来てたの?」と艶っぽい乙姫様が登
場。〜〜〜これまで仕事一途の人生を送ってきた浦島には夢見心地状態。

30分も経った頃…責任者が「なあ〜異国も捨てたモンじゃないだろう?」と
言われ「ハイ!」と答えた浦島――――。しかしこれが、浦島の後の人生を狂
わせるひと言だったとは、その時は思いもしなかった。

帰国後数週間、上司に呼ばれ会議室。シャンハイ赴任の話。

しかも上司の話振りの感じでは、浦島既に快諾のように思えて..「あっ!」と
シャンハイ竜宮城でのやりとりを思い出す――――。そして、あれよ…あれよ
…という間に、支店責任者席に座ることになった浦島太郎。

だが現実は厳しいのである。出張と駐在の違いを痛い程思い知らされる。

組織というマニュアル社会に属する者が、対人(交渉)社会に踏み込めば誰もが
抱える悩み。――――生真面目度が高い程、周囲の全てが鬼に見える孤独感に
「こんな筈では・・・」独り言。

社内で、私生活で、一人きりの環境に襲いかかる「人恋しさ」感――――。
(浦)「そうだ!憂さ晴らしにアノ店へ!」と竜宮城を思い出す――――。

微かな記憶を頼りに探し回り、ようやく重厚なドアの前に辿り着くが、室内は
3ヶ月前と異なる怪しげな雰囲気にゴクッ!そう、浦島はニッポンと異国の時
の流れるスピードの違いを知らなかったのだ。

薄暗い店内、「イラッシャイ!」と声を掛けてきた乙姫は、以前にも増して妖
艶、ーーーしかし以前とは異なり内陸部から出てきた外地人。舞を踊る鯛や平
目も…黒鯛や鰈[カレイ]とは知る由もない浦島は案内されるまま座席に着く。

着席と同時に現れた人魚、、だが、以前と比べ露出度も高く「ふれあい(?)」
もお盛ん‥‥‥。刻が過ぎて、時計の針を気にする浦島に、人魚姫が「一緒に
帰る?」と囁きかけられて「ん?」ーーー膨らむ亀さん。

「昔むかし、浦島太郎は助けた亀に跨り…」・・・跨る対象は人魚となった。
己の上で舞う人魚に我を忘れる浦島――――。さらにニッポン男の多くが勘違
いするする「肉体関係を結ぶ=気持が通う」と勘違い、やがて二人の姿は店で
は見られなくなる。即ち自宅(社宅)竜宮城化計画→(愛人)同棲生活スタート。

ところがここに大きな問題。

童話の浦島太郎は(たぶん)独身の青年だが…異国支店の責任者となるような現
代の浦島は、、既婚の中年と考えるのが一般的。Wの生活費は常日頃のヘソク
リでなんとか凌ぎ、セックスは回春効果とテクニックで乗切るが…
宮仕えの悲しい運命の日がやってきた。――――童話でも浦島が竜宮城で過し
た期間は3年間、現在の平均的な駐在期間も3年間。無情な帰任命令が下る。

さて、業務の引継ぎは難しくはないが、、如何にして私生活の清算をすればい
いものか・・・・・・・・。猶予の時間は刻々と過ぎ、いよいよタイムリミッ
トが近付いて観念する浦島ーーー「実は…」。

突然明日からの生活不安に直面すれば、小姐でなくても感情的になる。騒動は
やがて支店経由で本社の知るところとなり、「ともかく帰って来い!」と冷た
い響き。

帰国後、本社出勤初日。

3年前迄は何ら違和感のなかった通勤は、回り全部が新人類に見え、本社では
いつの間にか(元)部下が上司になっていたーーー。上司に肩を叩かれ会議室、
人事異動という名の玉手箱を渡される浦島。蓋を開けばボワ〜ン!…童話では
白い煙で老人、しかし現実は頭の中が真っ白、、窓際の老人と化すのだった。

童話の物語はここでおわりだが、現実社会の物語は更に続く…

暇な浦島は、新聞の「チュウゴク製粗悪歯磨き粉」の記事に目を留めフフ〜ン
と鼻で笑う。実は同棲して肌身に感じたのは、小姐の肌の温もりだけではなく
異国の実生活も。――――(浦)「なんで異国の(高所得)消費者が見向きもしな
い商品をニッポン(人)が??」

ーーーそう言いかけて、夢の様だったあの頃の生活を思い出す・・・・

二人は日用品を買いに近くの外資系スーパーを訪れる。
(浦)「え〜と、歯磨き粉は…これなんかいいか?」黒人がニンマリ笑う国産。
(小)「駄目ダメ、これ歯が削れちゃうわよ」
(浦)「研磨剤入り?」
(小)「コッチよ」
そっちには、ニッポンお馴染のライオンやコルゲートの現地生産品が…

驚いたことに彼女の選択商品の殆どは日系か外資系なのだ。北朝鮮のあの方も
恋焦がれる岡本のコンちゃんも、(小)「国産は安全性70%よ」。藁半紙のよ
うなティッシュなど見向きもせず、選んだのはネピア。シャンプーや石鹸等は
P&G・資生堂・ロレアル・サッスーン迷う程。更に栄養補給のリポビタンD
や疲労回復のバンテリン等もあった。

(浦)「なぁ〜、君は昔からこんな生活してたの?」
(小)「バカねぇ〜、故郷にいた頃はお金がなかったから…」

「故郷にいた」とは数年前迄の事。当時はシャンプーなど夢の夢…洗髪は石鹸
で冷水洗い後に櫛で梳かす…そういえばそんな光景を貧困生活区で目撃記憶。

金がなければない生活を…金があればある生活を…これが異国流の選択術。何
故ニッポン人はこれができないのだろう?と思う浦島太郎だった。

もしも浦島に精気が残っていれば、実体験に基く(新)MADE IN CHINA ビジネス
を考えたかもしれない。ーーーだが彼の手は湯飲みに伸び、(新聞の)次ページ
をめくる以外に動こうとはしなかった。――――お宝情報も腐れば単なる与太
話。実に勿体ない事が身近で起っているのかも知れない。

                        = この稿おわり =
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