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┃ 草原をわたる風♪:タロー君の内モンゴル旅行記 by 藤井太郎さん
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私の文章では“ボリド”、タロー君のでは“ボルド”。
同じ人物ですが、ボリドは中国式発音、ボルドはモンゴル式の発音です。
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タロー君の内モンゴル旅行記(2001年8月7日〜9月6日)―――― by 藤井太郎
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★ ハンスムにて

午後、お世話になった親戚の家をあとに、ジープでハンスムへ向かう。
途中、お寺の檀家さんの家を訪問すると、村中の人々がボルドさんのお父さん
の活仏に参るために続々とやってきた。
小さな子供を連れたお母さんが子供を抱っこし活仏の前で一礼すると、活仏は
右手を子供の額にかざす。

子供は緊張しているのか不安そうな面持ちだがお母さんは、平安な表情を浮か
べている。ある古老は地面に深々と平伏し、活仏との再会を喜ぶ。
草原で生活する民にとって精神的なよりどころであるお寺の存在は、仏教徒の
端くれである私にも計り知れないものであった。

この後、ジープで近くの山へ行った。
小高い岩山に登ると360度の大パノラマが望まれた。
青々とした草原に白の斑点があちこちに広がっている。
家畜達も昼寝をしているのだろう。

草原を一筋の川が横切り、その奥には山々が連なりを見せる。
反対側には明の時代の遺跡が望める。

現在は四方を囲む崩れ掛けの土塀が残るのみで、中には馬や牛がのどかに草
をはんでいる姿があり、盛者必衰を偲ばせる。
明の時代、この草原でも数々の戦が繰り広げられたことだろう。
先程の家で羊肉の夕食をよばれ、夜も深まった頃、ハンスムに着いた。

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山の上から見た明代の遺跡
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朝、8時ドラの響きとともに境内に正装をしたラマ僧が入っていく。
入り口の両側には、まだ幼い顔つきのラマ僧が2人、ほら貝を吹きそれを迎え
る。ほどなく境内の中から読経の声が、響いてきた。
仏前より二列で正対し、奥が老僧、手前が若僧の順番で座している。

境内にはたくさんの仏具や曼荼羅、また代々のバンチェンラマの写真などが飾
られ、荘厳な様が伝わってくる。
少年ラマ僧も神妙な顔つきで、チベット語のお経を読んでいる。
それを見守るように、後ろの席には活仏とダーラマ(寺の総責任者)が座ってい
る。

その間、私達は仏前に参ることにする。
私も見様見真似でやっていると、老僧のひとりが線香の火のつけ方など丁寧に
指導してくださる。
時計回りで仏を参った後、ラマ僧の全員に一人ずつ順番に一礼し、経書を頭に
かざす返答を受ける。
映画の「セブンイヤーズインチベット」で見たように(あれは幼少期のダライ
ラマに対してだが)少年ラマ僧に対しても一礼する。
そうすると一応仏教徒の私もありがたい気持ちになるから不思議だ。

読経が終わり、境内から出てきた若いラマ僧にビデオカメラを向けると、はに
かみながらも日本からの珍客に興味津々とあって、みんな集まってきた。
「サエン バイノー?」(こんにちは、元気ですか)と言うと、「サエンナー」
(元気です)と元気よく答えてくれる。
先程の神妙な顔つきから、今はすっかり少年の顔だ。

私も嬉しくなって、つたないモンゴル語で名前と年齢(私の語学力ではこれが
精一杯)を聞く。
私から見ると彼らはどう見ても小学校の高学年位にしか見えないのだが、驚い
たことに16、17歳だという。
日本では今、少年犯罪や17歳は大きな社会問題となっている。
それに比べ、モンゴルの子供たちはなんと、純朴なことか。

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堂の前に勢揃いしたラマ僧たち
上段中央がボリド君のお父さんで活仏のチャガーン・ゲゲン
右端はボリド君の妹のムータン
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                           = つづく =
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(注) 内モンゴル・アルコルチン旗(阿魯科尓沁旗)の場所について

北京からほぼ45度の角度で北東へ走る鉄道、京通線。
北京を出てから、―承徳市―赤峰市―通遼市(トンリャオ駅)、この先は―四平
市に至り、大連・瀋陽・長春・ハルピンなどを結ぶ線と繋がります。
さて、通遼市(トンリャオ駅)からは、車で第303国道を、通遼市―開魯市―
阿魯科尓沁旗まで201キロ。(約4時間)

アルコルチン旗(阿魯科尓沁旗)の地図上の場所ですが、京通線の赤峰市と通遼
市を三角形の底辺とした正三角形を描いて、その、大体ど真ん中あたり。
(三角定規なら真ん中の穴のあたりになります。)

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