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┃ 中国ひとりぼっち: ―――――――――― by ブーザンさん                ブーザンのホームページ(中国ひとりぼっち)

☆ 香港盗難事件(2) ――――――――――――――――― 1996/04/29
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│この時バリーのカバンの中には、商品サンプル3点と、
│ジャケット・カメラ・パスポート・翻訳機・ダンヒルの財布、
│78000香港ドル・日本円20万が入っていた。
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−7

恒生銀行を出てからブラブラ歩いていると、
ちょっと洒落た洋服が目に入ったので何気なくその店に入った。
手に持っていたカバンは、いつもの癖で下に置いた。

服を3、4枚も選びかけた頃、
綺麗な女性が目の前に掛けてある服の下を通り抜けようとしたので、
後退りしてその女性が通り易くしてあげた。

自分の欲しい服が見つかったので、
レジに行こうとカバンを探したが、、無い!
誰かが蹴飛ばしでもしたのかと周りも探してみたが、無い!

「何か探し物ですか?」と店員に尋ねられ、
「ここに置いてあったカバンが見当たらないんです!」と答えると、

「そのカバンなら、今さっきお連れの方が慌てて持って行かれましたよ」
「それって、ドロボーですよ!」

「てっきりお連れの方かと思っていました」
店員は顔を強張らせた。

−8

「どっちの方へ行きましたか?」
慌てて尋ねると、指で方向を示しながら、
「ネーザンロードを左のほうへ」

大急ぎで店長と一緒に飛び出し、逃げたと思われる方角へ走ると、
200mほど先にそれらしき者を見つけ追いかけたが、
人ごみに紛れ見失いそうになる。

途中で2人の警察官に出会ったので
「ドロボーを捕まえてくれー!」と怒鳴ったが、
「ドロボーは何処にいる!」

ーー時間の無駄。

店長とブーザンは走った。
思いっきり走った。

途中で、カバンを誰かに手渡すのが見えた。

その、カバンが手渡されたところから、
店長と二手に別れて追いかけたが、
外国人が多く住むビルの前で完全に見失ってしまった。

その道は、またネーザンロードと合流していて、
さっき別々に追いかけていった店長とぶつかり合った。

店長は「見失ってしまいました」と息を弾ませながら言った。

−9

その後店長は、ブーザンの手の方をジーっと見ている。
??自分の手を見てみると、先ほど選んだ服がしっかりと握られていた。

その服を店長へ返し、今度は二人で街路のゴミ箱を次から次へとあさった。
道行く人の目には、まるで浮浪者のように映ったのではないだろうか?
9個のゴミ箱を確認したが、それらしき物は捨てられてはいなかった。

途方にくれて、重い足取りでネーザンロードの店へ帰る途中、
先程の警官に出会った。
「ドロボーは見つかりましたか?」と聞いてくる。

「ドロボーを捕まえるのは、貴方達の仕事でしょう!」
と言いかけたが、
「我々二人共、追いかけたのですが、同じビルの所で見失ってしまいました」
と言い換えた。

すると警官は、
「あのビルには、アラブ系の人が雑居しており
証拠が無い限り捜索は難しいと思います」
と説明してくれたが、
そんな説明を聞かされると、余計に絶望感が襲ってきた。

−10

警官は、
「ともかく被害届を出された方がいいと思いますよ」
「たぶんお金は出て来ないと思いますが、
ひょっとしたらパスポートは出てくるかもしれません」
と言ってくれた。

しかし香港へ来た目的は、サンプルを持って商談に来たのであるから、
商社の人と連絡を取り合うのが先と考え、
歩いて15分ほどの商社のあるビルへ行く事を警官と店長達に告げた。

店長は責任を感じたのか
「盗られた事情を私から説明しましょうか?」
と言ってくれたが、

店長にこれ以上余計な時間を費やさせるのは申し訳なかったので
「私一人で十分ですよ、皆さんはそれぞれの仕事に戻って下さい」
と告げた。

そうは告げたものの、
サンプルもなにも無く、全くの手ぶらで商社へ行く事が
なんだか夢の中にいるようで、
表現しようもないような気持ちだった。

商社へ歩いていく15分間に、様々な思いが脳裏をよぎった。

                           = つづく =
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