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┃ 中国ひとりぼっち: ―――――――――― by ブーザンさん
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☆ 桂林の5日(5) ―――――――――――――――――― 1995/05/記
運転手は「余計な事をして済みません」と私に頭を下げたが、
「貴方の親切に感謝していますよ!」と言葉を返しタクシーに乗りこんだ。
途中で止まって、樹齢1200年という木も見せてくれた。
−27
まだ早かったが、タクシーにホテルへ帰るよう言った。
桂林は人口50万人程度の小さな都市で、緑の街路樹と漓江の流れが印象的な
観光地であり、産業は民族工芸品の加工・紡織などがある。
駅周辺を除いて高層ビルもなく、昔からの良い部分を多く残しており、言語は
「中国共通語や北京語」が使われているため大きな問題はなかった。
市内には美しい並木が延々と植えられている。
その並木の木はとても大きく、天を突くと形容したいような大木である。
−28
また、街のいたるところにはキンモクセイ(中国名、桂花)が植えられていて、
桂林という名の由来も桂花に由来するそうである。
「金木犀」の中国名は「桂花」。
10月頃になると、その黄金色の花がいっせいに咲き、桂林の街並みを金木犀
の甘い香りで包んでくれる。
今度桂林を訪れるときは、この金木犀が満開の10月にしよう・・・。
目を閉じて「桂林の山水は天下の甲たり」という山水画の故郷桂林の街並みと
金木犀の甘い香りを想像するわたしを乗せてタクシーはホテルに到着した。
−29
夜になり、食事をしようと街並みを見てまわったが、何処に入ったら良いか?
日本人一人で行くと必ず高い値段を言われるので迷うところである。
昨夜はタクシーの運転手と一緒に料理屋へ行ったが、漓江でとれた新鮮な魚類
がメインのコースで、二人で250元であった。
しかし、男二人で食事をとるのもなんとなく味気ない気がしていた。
今夜は女性と食事をしよう!と決め、
ホテルから5分ほどのところにあったタバコ屋さんで、電話番をしていた年の
頃22才くらいの愛くるしい娘に声を掛けてみた。
−30
「今晩私と一緒に食事をして下さいませんか?」
すると彼女は、
「あなた誰?」と怪訝そうな顔で聞いてきた。
「今晩貴方とどうしても食事をしたいのですが、ダメでしょうか?」
「貴方間違うにも程があります!私はそういう女じゃありません!」
「私を何処で知ったのですか?」と質問してきた。
「貴方の事は、2日前の夜にあそこのホテルに宿泊した時から知ってました」
「貴方は旅行者ですか?」
「そうです広東省から北京をまわって来ました」
10分ほどの話の中でも、電話を掛けに来る人や、タバコを買いに来る人の
対応に追われていたが、それでも少しだけ心を緩めてくれたようだ。
−31
彼女は、「食事する所くらいたくさんありますよ」
「何処で食べて良いか?分からないので困っている・・・」
「でも、何故私と・・・?」
ここで変な事を言ってしまったら、また心を閉ざされてしまう。
「おととい・昨夜そして今日と貴方を見ていて、旅の想い出に一緒に食事をと
思い誘いました」
彼女は笑いながら言った。
「私の友達に、かわいい子がいますから電話で呼びましょうか?」
「どうしてそんな事を言うのですか、私は貴方と食事に行きたいのです」
−32
「でも私はそんな女じゃありません」
ここで「あ〜そうですか?」なんて帰るわけにはいかない。
時間は20分ほど過ぎてしまった。
仕方なく私は日本人であることを彼女に告げ、一人で食事に行っても何を注文
して良いかよく分らないからと同情を引く作戦に出た。
彼女は、
「今まで旅行してきて、私と同じように女の子を誘っていたのですか?」
と言われたので一瞬言葉に詰まったが、
「今まではガイドが付いていてくれたので安心していたが、桂林へ来てガイド
無しになってしまった」と、ウソをついた。
「そう言われても私本当に困るんです・・・」と考えていたが、
−33
奥の部屋に向け「お母さん!お母さんってば!」
返事がないので、
「少し待ていてください」と椅子から立ち上がり奥の部屋に行った。
中で何を話しているのか分からなかった。
誰もいないタバコ屋の前で、只ボーッと突っ立っているのも情けなかった。
待っている15・6分の時間がとても長く感じられた。
彼女が出てきた。
見違えるほど綺麗になって!
薄化粧をし、真っ赤な口紅と、洋服も着替えてきた!
−34
「お母さんにひと言、挨拶しとかなくてもいいかな〜?」と言うと、
「やめて下さい!私は友達と一緒に食事をして来ると言って出てきたのに。
貴方が、余計なことを言ったら母が心配するだけです」
なのでそのままついて行った。
ずいぶん歩いて、たくさんのレストランを通り越してもまだ歩いていく。
「一体何処まで歩いて行くの?」
「もうすぐですよ。
貴方は美味しいところで食べたいって言ってたじゃないですか」
私はもう何処でも良くなっていたので、
「何処でもいいから入ろうよ」と言ってみたが、
「もう直ぐ近くだから・・・」
そのまま、歩きつづけるしかなかった。
−35
やっと彼女の目的の店に着いた。
小ぢんまりした一角を入っていき、石畳のところを通って店に入った。
そして小部屋に案内された。
間もなくオシボリと注文を聞きに来たので、彼女にメニューを手渡すと、全部
私が選んで下さいという。
よく分からなかったけれど肉類・野菜類・魚類で美味しそうな物を頼んだ。
この店は、彼女のお勧め通りで確かに美味しかった。
= おわり =
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