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┃ 中国ひとりぼっち: ―――――――――― by ブーザンさん
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☆ 桂林の5日(3) ―――――――――――――――――― 1995/05/記
今回の旅で最高の観光スポットである「漓江下り」の出発地、竹江が近づくに
つれ奇岩奇峰を縫うようにタクシーは走った。
窓越しに外を見ると、水田では人手による田植えが始まっていた。
−15
タクシーが、船着場に着いた。
船着場は幾つも有り、自分が乗る船の船着場を運転手と探した。
外国人用の船着場と、中国人用の船着場は違っていた。
運転手は「何が起こっても、私は知りませんからね」と言いながら船まで案内
してくれたが、私の乗る船の前の船がまだ出発してない。
当たり前だが全てが中国人である。
この船着場だけで250人くらいは居る。
10分くらい待ったところで、中国人がふたり私の側に来た。
「貴方は日本人ですね?」
いきなり中国語で聞いてきたので驚く。
が、「はいそうです」なんて言う事は出来ない。
「不是!」と言うのがやっとであった。
「日本人だと分かってます!」
−16
運転手が見当たらなくなったので「何処へ行ったのかな?」と思っていたが、
私に「日本人か?」と声を掛けてきた人は、「運転手の友人で偶然にもここで
出会った」と言う。
運転手は彼に、「私を守ってやってくれ」と言い残して去ったそうだ。
彼はもう一人の中国人の肩を叩いて、「私の助手の一人です、彼を貴方に付け
ますから、彼と絶対離れないようにして下さい。」
「船着場では、係官が一人づつ切符を確認し中国人かどうか検査します」
「貴方は、何も話さないように・・・直ぐ外国人と分かってしまいます」
−17
「この者から離れない事、食事の用意も彼が全てやります」
「船に乗ってしまえば、何を話しても良いですから、必ず守ってください」
と丁寧にゆっくりと話してくれた。 そこで彼と握手をした。
彼は忙しそうに、小走りで列の先頭へ行った。
助手の人と固い握手を交した後、
「ここでは中国語で話しても良いですか?」と聞いてみたが、
「ここでは問題ありません。問題は船に乗るときです」
そして彼は、
「いや〜8年間この仕事やってますが、初めてですよ!」
「何がですが・・・?」と、とぼけていると、
「日本人と同じ船に乗るとは・・・。」
「こんなハプニングも面白いでしょう?」と言ってみると、、
「もし、貴方が日本人とバレた場合、私達の責任になってしまいます」
−18
彼の説明では、「この整列して並んでいる間に、私達が船会社に替わって身分
証明書等検査します。その時に発見できれば、切符を買い直して頂くことにな
ります。そのまま知っていて船に乗せた場合は、我々の会社が罰金刑にされま
す。」
私は続けて聞いた。「では、もし船に乗る時発見されたらどうなります」
「先ほどのチーフが、既に書類に書き込みましたから、貴方が話をしない限り
発見されません」
どうして質問を受けて答えなくても済むのだろうか?
「貴方は、耳が不自由で話が出来ないと書き込みしました」
なるほどうまい手を考えたものだと思った。
あのタクシー運転手もしゃれたことをするもんだと感心した。
−19
いよいよ船に乗りこむ時が来た! 緊張の一瞬である。
この時、日本での似たような出来事を思い出した。
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4月に花見に行った時の事である。
小高い山の中腹まで車で上がり、飲めや歌えの大騒ぎ。
時間が来て車で下りかけたところ、下から上がってきた車に
「警察が1台ずつ検査している」と言われて愕然とした。
車は、前も後も数珠つなぎ。
我々は3台のマイクロバスで、もう取調べを受けている人達の姿が見えるとこ
ろまで来てしまっている!
どうしよう?どうすべきだ!
そんな事を考えているうちにの、もう検問の番が、、
警官が「はい!車から降りてください!」
−20
胸の鼓動は自分でも分かるくらいだった。
「係官の前で息を吐いてください!」
私より2人前の人は、まともに息を吹きかけ取り調べの机の方へ・・・
私の番になった。
私は飲んでも顔には出ないが、息はやはり酒臭くなる・・・。
息を止めて口を開け、係官の顔に息を吹きかけるまねをした。
係官は、おかしいな?という顔。
「もう1度吹きかけて!」
まだ息を止めている。
もう1度同じく息を吹きかけるまねをした。
「おかしいな〜?アンタ酒飲めないのかい?」
ここで誘導尋問に掛かって「はい」などと言ってはおしまいと、
あくまでも息を止めていた。
「次の人!」
「アンタは早く行って!」
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‥‥あの時と同じかそれ以上の緊張感である。
船の係員は、私を見て首を傾げる素振りをしたが、早く乗れと手を振った。
「うまくいった!」
= つづく =
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