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☆ 桂林の５日(２) ―――――――――――――――――― 1995/05/記
「皆高過ぎる！」
私は、後ろに待たしておいた運転手を振りかえり、、
−８
「この人は１日３５０元で行ってくれる！それより安い人は・・・？」
と聞いた。
「それより安い日当はないよ！」
「３５０元なんて、とんでもない！」
と、めいめい散らばって行った。
残された後の運転手は、悲しそうな顔で私を見つめている。
「３５０元と、昼間の食事代は私が支払うよ！」と言っても、まだ悲しそうな
顔をしているので仕方なく、
「分かった分かった！では４００元に上げよう！」
と言ったら、ようやく私の旅行カバンに手を掛けたのでホッとした。
取りあえず、成都での教訓は生かされた。
−９
先ずホテルを探さなければならなかったので、運転手に告げた。
景色が綺麗に見える所のホテルは、どこも満員だった。
ホテルを探し始めてから、早くも１時間が経過していた。
「何処かにないのかね？早くしないと日が暮れてしまう！」
と催促したが、
「貴方の要求は景色の綺麗に見える所のホテルです。どこも満員ですよ！」
仕方がないので
「桂林市内でも良いから探しなさい」と言うと、
ホッとしたように車のスピードを上げて桂林市内を目指した。
−１０
市内のホテルは、直ぐに見つかった。
運転手は「相当な距離を走りましたよ〜」と、１日４００元に決めた事を後悔
しているようにも感じられるような事を言い出しかけたが、それには構わず、
「明日からの行動予定を話すから、コースを決めてもらいたい・・・」
と言ったところ、
「今日はもう遅くなったので、明日ではダメですか？」
と懇願するような目つき。
「じゃー全てアンタに任せるから、桂林に来て本当に良かった！と思うような
ところへ連れて行ってくれるようよう、今晩考えておいて下さい」
と言って帰らせた。
−１１
運転手は、次の日の朝８時に迎えに来た。
まだ一銭も支払ってないから、来るしか仕方がなかった。
今日のコースを聞いてみると、
最初に「漓江下り」を楽しんだ方が良いと言う。
理由を聞いてみると、
彼が良く聞く話では、最後に「漓江下り」を残し、それまで目一杯他の観光地
を見て廻って、疲れきった身体で「漓江下り」をし、船酔いしてしまって景観
を楽しむどころではなくなる人が多いと言う。
地元運転手の意見を尊重したほうが無難だろうと同意した。
ところが、切符を買いに行ってみると既に売り切れになっていた。
今日の今日ではやっぱり無理かな？とも思ったが、考えた末、運転手に買わせ
ることにした。
運転手の身分証明で、中国人用の切符を買わせた！
−１２
当時、外国人用の切符は４５０元なのに対し、中国人用は１１０元という安さ
だった。
外国人用の切符は旅行社が押えてしまっていて、なかなか取れなかった。
運転手に船着場まで行くよう促したが、
「もし見つかっても知りませんよ！」
「何をびくついている！タクシーの運転手がそんな事でどうするんだ！」
と、肩を叩いてやった。
「ここまで来たらもう後には引き返せない！」
「お客さん！相当中国に慣れてますね！怖いもがないんですか？」
成都で誤認逮捕され、威嚇射撃までされた。
これ以上何が怖いというんだ！と思った。
−１３
ここは桂林は、「桂林山水甲天下」という詩にも詠われたように、「天下一の
風景」で世界に自慢できる町とガイドブックには記されている。
広西チワン族自治区の東北部にある桂林は、かつて省都となったこともあり、
秦の始皇帝が運河を掘ってから、広西地区の中心として繁栄し、すでに二千年
以上の歴史を持っている。
桂林の山々は全て石灰岩で、至るところに鍾乳洞があり、その最も大きなもの
が「芦笛岩」といわれる鍾乳洞である。
−１４
内部には、約５００メートル程の遊歩道があり、カラフルな照明に浮かぶ石柱
石筍、唐代以来の各種石刻などがみごとなもの。
ガイドもない一人旅である。
中国人旅行ツアーのガイドの中国語説明を盗み聞きしての観光である。
今回の旅で最高の観光スポットである「漓江下り」の出発地、竹江が近づくに
つれ奇岩奇峰を縫うようにタクシーは走った。
窓越しに外を見ると、水田では人手による田植えが始まっていた。
＝ つづく ＝
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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