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┃ 中国ひとりぼっち: ―――――――――― by ブーザンさん
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☆ 成都逮捕事件(2) ――――――――――――――――― 1995/05/26
−10
彼女は夜店に出てる、かわいいグッズを見るのに一生懸命だったが、私は奴等
が追いかけて、いつここにやって来るかとそればかりが気になった。
時計を見ると、8時を過ぎようとしていた。
彼女に、もう帰るよう促がしたが聞こうとしないので「明日は時間があるから
一緒に市内観光をしよう」と言い、だから早く帰るようにもう一度言ったとこ
ろ、私の胸ポケットからボールペンを取って、紙に自分のホテル名と部屋番号
を書いて私に渡すとニッコリ笑って小走りに駆け去った。
−11
そのとき、いきなり背後から三人の暴漢が襲ってきた!
咄嗟に、先ほど逃げ出した店から暴力団が追いかけてきた!と思った。
彼達は相当な武術を身に付けており、42才まで空手道場へ通っていた私でも
身の危険を感じるほどだった。
仕方なく、今まで道場以外では使ったことのなかった空手を使って防がざるを
えなかった。
身を守る為には仕方がなかった。
火事場の馬鹿力も手伝ってか、一人は既に口から血を流していた。
私もかなりのボディー攻撃を受け、足元がふらつくのを感じた。
劣勢を挽回する為に、攻撃してはならない急所を思いっきり蹴った!
その相手は、バタリといとも簡単に倒れた。
格闘している時間がかなり続いたと感じる頃、いきなり一人がピストルを取り
出して、空へ向け威嚇発砲した!
私は怯んだ。もうダメか!
−12
その僅かに怯んだ瞬間を突かれ、うしろから素早く手錠!を掛けられてしまっ
た。そして腹をしたたかに殴られ、立っていることができずその場にへたり込
んでしまった。
しかし、一瞬、疑問が頭をよぎる。
暴力団が何故手錠を持っているのか??
が、考えている間に手錠のほかに縄でも縛り上げられてしまった。
私は彼らに聞いた。
「あなた達は、いったい何者ですか?」
口から血を流していた一人が、私の目の前に「赤い手帳」を突き出した。
格闘で目の横を叩かれたようで目がかすんだが、目を凝らし見てみると、、
−13
真っ赤な手帳の中心に中国の国章がある!
それを見た途端に、ホッとすると共に全身の緊張が緩んでいくのが分った。
その手帳は、北京の病院でも見せられたことがあったのですぐに分かった。
「公安局」である。
相手が警察だと分かって、急に可笑しくなってきた。
暴力団に捕まり、身ぐるみ剥がされて成都の山中に埋められる事を想像してい
たので、恐怖感が安堵感に変わり、自分の生命の変化を思って可笑しくなった
のである。
−14
私の廻りは、捕り物だと分ってたくさんのヤジ馬が取り巻いていた。
安堵感からうれしくなって、そのヤジ馬達に笑顔で、ニイハオ!ニイハオ!
を連発してしまい、連中は皆笑った。
刑事は私の前に二人、後ろに縄を持つ一人と、三人がかりで公安局へ連行し
たが、途中、
「何故、そんなに嬉しいんだ!」
「普通は、捕まったら何も言わず只、黙って下を向いている」
「おまえは、どういう神経をしている・・・?」
不思議に思うのも、ごもっともである。
彼らは、この1時間の私の行動を知らないのだから。
−15
群集はぞろぞろと公安局までついて来たが、到着すると6、7人の警察官に、
阻まれてガヤガヤ言いながら見送っていた。
公安局刑事部の一室に連れて行かれ、椅子に座らされた。
手錠で手首が痛むのでそう伝えると、縄と手錠は外してくれたので窮屈な思い
から開放されたと思ったら、再び右手に手錠を掛け、机の脚にもう一方を掛け
られてしまった。
前よりは楽になった事を二人の刑事に伝え、「ありがとう」と言ったところ、
二人の刑事は不思議そうに顔を見合わせて部屋から出て行った。
=つづく=
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