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┃ 重慶熱線 (重慶で見た中国): by 重慶出稼ぎ人のちゅーさん

1−家庭崩壊への道−「技術商談」その2.上海へ

プラントは上海の金山衛というところに建設が決まりました。
技術商談は上海で行われることになり、わたしは商談通訳と、メーカーさんや
他社からの派遣者のお世話のため、上海へ出張することになりました。

事前に同じものを造っている日本のプラントを見学したのですが、説明を受け
ても図面は線だらけ、現物はパイプだらけで、何が何やらさっぱりわかりませ
ん。これが分かるようなら、早くから理科系へ進んでいたでしょう。

基本的に、石油から原料をつくり、その原料から繊維を造ることは理解しまし
た。
しかし一つの化学プラントを立ち上げるのは、並大抵のことではありません。
内容が非常に多岐にわたり、これから中国でその一つ一つをこなして行かなけ
ればいけません。数年がかりの大仕事です。

技術商談の場所は上海大厦でした。当時は上海で一番高い建物でした。
屋上には誇らしく、「毛主席万歳」という看板がかかげられていました。
この看板はその後「富士膠巻(富士フイルム)」の広告に変わり、今は「貝爾児
(バイエル)」になっています。

受け入れ先は中国機械進出口公司。その後プラント関係は、新しく設立された
中国技術進口公司に引き継がれました。

この機械公司の担当者は、名前は忘れましたが、顔や体格はよく覚えていま
す。
小柄で、眼鏡を掛けた温厚そうな人でした。
上海大厦には中国側の世話役も常駐していて、こちらは体格の立派な、しかし
素朴な感じの初老の人でした。

彼の普通語はかなり訛りがあり、わたしにはよく分からなかったのでコミュニ
ケーションも進みませんでした。
他の人の前では、何でも分かるような顔をしていたのですが、知ったかぶりは
進歩の最大の敵です。
今では後悔先に立たずですが。

技術商談はプロセス、計器、運送などのグループに別れました。
一番大変なのはプロセスで、日本語でも分からない言葉を、中国語に通訳しな
ければなりません。

通訳にはわたしの他に、前号でご紹介した、右手で左の尻を触れば快感がある
と言った、例の課長も一緒だったのですが、こちらは比較的楽な計器の通訳を
担当しました。彼がそう決めたのです。

その上司が自分にとっていいか悪いかは、自分から進んで苦労をするか、それ
とも部下に押しつけるかで、一目瞭然です。
彼は後者でしたが、やはり他の部下からも信頼されず段々と浮いた存在になっ
て行きました。格好な反面教師です。

全ての会議に先立ち、土建会議が行われました。
金山衛は日本軍が最初に上海へ上陸した地点で、標識が建っています。
日本側はこの土地の土壌構造を知りたがったのですが、中国側は土建は自分た
ちの担当で、日本側には関係ないと言い張り、最後まで説明をしようとしませ
んでした。
当時はまだ四人組が中国を牛耳っており、秘密主義が蔓延していたのです。

ともかく現場を見学に行くことになりました。
行ってみて驚いたのは、打ち込んだコンクリートの杭が、何本も斜めになって
いたことです。

この出張で初めて「不等沈下」という言葉を覚えましたが、埋め立て地に建物
を建てたあと、土壌が柔らかいところは、はやく沈下します。
平均に沈下しないと、建物が歪んで、ピサの斜塔みたいになってしまいます。
金山衛で見たものは、まだ何も建てていないのに、すでに沈みかかっている杭
の惨状でした。

基礎を教えられないままプラントを建てていかなければならないわたし達は、
これから起こるであろう幾多の困難を思って慄然とせざるを得ませんでした。

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2−道で出会った仏と閻魔

技術商談のため上海に駐在したメーカー側の代表は、早稲田出身のMさんでし
た。
まだ30代半ばだったでしょう。今から思っても、実に立派な人でした。

当社に中国プラント部が出来て早々、今回のプラントの概要を説明するため、
わざわざ来社してくれました。
普通なら当然われわれがメーカーさんへ出向くべきものです。

説明が終わったのは夕方でした。
ここでお食事を、という流れになるのが普通です。
しかし彼は頑なに断りました。

その後現在に至るまで、わざわざ食事時を狙って来社したり、ゴルフをおねだ
りしたメーカーの人間は枚挙にいとまがありませんが、Mさんのように食事を
断った人は殆どありません。

上海大厦の彼の部屋へ行った時のことです。
洗濯したパンツが干してありました。
わたしは全てのものを洗濯袋に入れて、出していたので聞きました。
自分で洗濯されるのですか、と。

彼は言いました、こんなものまで人に洗濯してもらうわけにはいかない。
それからはわたしも、パンツだけは、なるべく自分で洗濯するよう心がけまし
た。

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3−重慶短信

中県というところで事件がありました。
去年の1月から6月までの間に、パソコンが300台も盗まれたのです。
これが重慶市中で売られているという情報を警察が掴み、その年の6月に一斉
検挙に出ました。

逮捕された中に、無実の青年がいたのですが、彼を救うため東奔西走したのは
母親です。
警察もやっと非を認め、警察署の副所長が「中県の警察を代表し、あなたに心
からお詫びを申しあげます」と謝罪しました。

母は強しです。

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4−外大では教えない中国語

「紅色娘子軍」という革命京劇があります。
革命的女性軍をたたえた劇です。

わたしは当社の女性社員に対して、会社が発展するには君たち「紅色娘子軍」
の力が不可欠だ、と冗談交じりによく言います。
男性社員には、君たち「黄色童子軍」はもっとガンバレと言います。

黄色 Huang2 se4.....黄色は Yellow → エロ
童子 Tong2 zi0......童貞

スケベの童貞ども、ガンバレ!

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5−おまけ

商社は流すものがないと、干上がってしまいます。
だから物を造っているメーカーさんは、神様です。

商社が買手なので、メーカーのお客さん、だから商社は神様かというと、全く
の逆です。商社はメーカーより身分が低いのです。
商社マンが自虐的に言う言葉があります。

「士農工商犬猫商社マン」。

犬や猫はパスポートが無くても国境を越えられるのに、商社マンはそうはいか
ない。
だから犬猫以下ではないのか。

もっとも中小メーカーでは、立場が弱いところが多く、
商社が威張ることもあります。
わたしは商社からメーカーに来ました。

早く商社にご馳走してもらえるようになりたい、それが生き甲斐です..

....われながら情けない。

それでは「下周一、見」(来週の月曜日にお会いしましょう)。

                           <(_ _)ちゅー>
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