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┃ 藤田健の"中国だけで驚いてちゃアカン!":by 藤田健さん

☆ カルカッタ編(8)―サダルの少年サッカーチーム―

サダル・ストリートには、ストリート・チルドレンも多数集まってくる。
彼らはいつも、通りを所在なさげにぶらついている。

そして、ときにツーリストにまとわり付いてお金をせびったり、屋台の食堂で
ツーリストの食べ残しが出るのを待ったりして生活している。
彼らも、生きていくのは大変なのである。

彼らには、親のいない子が多いようだ。
死別のときもあれば、棄てられた場合もあるだろう。
無論、深くは訊き難いので、本当のところはよく分からない。

彼らは、生きていく為には違法な事だってやるだろう。
果たして大人になったとき、どんな生活を送るのだろう。
そんな子供達の前に、1人の白人青年が現れた。

いつもの店で朝のチャイを飲んでいる時だった。
そこへ鷲っ鼻の白人青年が、サダル・ストリートに巣食うストリート・チルド
レンを引き連れてやって来た。年の頃は、30代半ばくらいだろうか。
チャイ屋の親父となにやら交渉し、なんと子供達全員に朝食を配りだした。
(20人以上いただろうか)

そして、その行為はそれから毎日続けられた。

あの白人は一体何者なんだ。何をやろうとしているんだ。
彼の容姿は、一見インドに溶け込んだバックパッカーのようにも見受けられた
がしかし、長期旅行者特有の旅擦れした匂いが全くしない男だった。
また、彼は不思議なほどツーリストとの付き合いのない男だったので、誰も彼
の事はわからなかった。

数日後、いつものようにチャイ屋に座っていると、その朝は子供たちがお揃い
の真っ赤なシャツと短パンで走ってやって来た。
どうやら、ユニフォームのようだ。

あとから、白人青年がゆっくりと歩いてくる。

彼は、意志の強そうな目をしている。他の白人達とは、明らかに何かが違う。
なんというか、人を寄せ付けない雰囲気がある。

勇気を出して彼に話しかけてみたところ、彼はアイルランド人で、ストリート
の子供達を集めてサッカーチームを結成したということがわかった。
ここでは、彼の名前を仮にスティーブとしておこう。

サッカーチーム結成以来、サダル・ストリートを根城とする子供達の様子が変
わっていった。

サッカーチームの子供たちは、全員が着たきり雀のストリート・チルドレン。
だから、サッカーのユニフォームだろうが何だろーが新しい服を手に入れさえ
すれば、当然一日中真っ赤なユニフォームを着て生活するようになる。
そのことは逆に、悪さをした時にはサッカーチームの一員だとすぐばれる結果
をも生み出したようだ。

今まで子供達に悪さを働かれても為す術のなかった大人達が、サッカーチーム
が結成されて以来、リーダーであるスティーブの元になにかと苦情を寄せるよ
うになったのである。

子供達にとっても、スティーブは毎朝飯を食わせてくれる保護者のようなもの
だった。スティーブは子供達が1人で社会に放り出されて以来、初めて現れた
信頼できる大人だったかもしれない。
だから、子供達も彼とは真正面から向かい合った。

今まではどこかすさんだ雰囲気を漂わせてサダル・ストリートを徘徊していた
子供達の楽しそうに遊んでいる姿を見かけるようになったのも、ちょうどその
頃からだった。

ある朝チャイ屋に座っていると、ぼろをまとった少年が「俺にも食わせろ」と
スティーブに向かって言い放った。

それに対してスティーブは答えた。

「だめだ。おまえはサッカーチームのメンバーじゃない。
 朝飯が食いたければ、明朝9時にグラウンドへ来い!」

こうして子供達が少しずつ増えていった。

ある日、私はサッカーの練習を見学する為に、スティーブと待ち合わせてグラ
ンドへ向かった。
サダル・ストリートのすぐ近くにある市民向けの無料のグランドだった。

スティーブは、グラウンドへ行く途上でも路上生活者に声をかけていく。

おじさん、もう風邪は治ったかい?困った事があったらいつでも云いなよ。

すでに顔見知りとなっている路上生活者の家族が沢山いるようだ。
サダル・ストリートの路上で暮らす彼らのことは、つい乞食同様に見がちだが
しかし、仕事のある者は路上の家から仕事へと向かい、残った女性と子供たち
はごみの山からまだ使えそうなものをより分けて生活を支えている。

見方を変えてみると、日本などよりもはるかに徹底したリサイクル社会を推進
している人たちともいえる。
ゴミ漁りと蔑まれるような汚れ仕事だが、現代では社会的に重要な役割を担っ
てくれている人たちではないだろうか。

そんな社会の底辺の人たちの中に、スティーブは入り込んでいるようだった。

グランドでは、子供達が無心にボールを追いかけていた。
まだ小さい子も高校生くらいの子も一緒になってボールを追っていた。

そして、熱中しているうちにサッカーのルールなんかどこかへいってしまう。

「それはずるいよ。反則だ!」 1人の少年が叫ぶ。
皆が集まってきて、喧々諤々の大騒ぎだ。
しかし、子供達同士だけで話がまとまり、またゲームは続行されていく。

子供達は、サッカーを通して何事にもルールが必要な事を学び、また、チーム
プレイを通して健全な社会性を育んでいるような気がする。
それと共に、子供達に沁み付いていた浮浪児のような雰囲気が次第に薄らぎ、
少しづつ子供らしい無邪気さが戻ってきているようだった。

ある日、サダル・ストリートを根城とする乞食のおばさんたちがスティーブに
詰め寄っている場に遭遇した。どうやら“サッカーチームの子供達に飯を食わ
せるのなら、自分達にだって食わせてくれてもいいじゃないか”と詰め寄って
いるらしい。

つまりおばさんたちの中には、まだサッカーが出来ないような年頃の幼い子を
抱えている人もいるわけで“他の子供達には飯を食わせておいて、自分達の子
供には食わせてくれないなんて、また、子供には食べさせて大人はだめなんて
そんなえこひいきのある慈善事業はおかしいじゃないか!”という言い分のよ
うだ。

スティーブが「それは出来ない」と突っぱねると、おばさんたちはすごい剣幕
で帰っていった。

それ以来、乞食のおばさんたちの逆襲が始まった。

「スティーブは悪人だ!」

と、根も葉もない噂(例えば、“国から援助金をもらって慈善事業を行ってい
るのに私腹を肥やしている”等)をしきりと流しだしたのである。
スティーブも付き合いきれない気持ちだったようで、それ以来おばさんたちを
できるだけ避けて過ごしていたが、やはり表情は曇りがちだった。

慈善活動の中には、偽善を感じさせるものもよくあるが、しかしスティーブの
活動は、善意といった次元とはすこし違ったごく自然な動機から始められた事
のような気がする。

どうも彼の中では、いわゆる慈善事業・ボランティアといった意識で子供達と
接しているわけではないようで、“単に彼自身がサッカーを通してストリート
チルドレンと付き合いたいと思い、そうした毎日が只々彼には楽しかった”と
いうことが彼の本心だったのではないだろうか。

しかし、現地の社会に深く係わりだすと、どのような係わり方をするにしても
おのずとどろどろとした情況に引きずり込まれてしまう。
人間の醜さを見せつけられ、ウンザリとした気持ちにさせられる瞬間である。

スティーブと話していたら“お金がもうすぐ底を突きそうなのが悩みの種だ”
と言っていた。それに、もうすぐビザも切れてしまうそうだ。
彼がサッカーチームの為に注ぎ込んでいたお金は単なる彼のポケットマネーで
あり、彼のステータスも一介のツーリストに過ぎなかったのだ。
彼は母国に帰ったら、お金を稼いでまたサダル・ストリートに戻ってくる気の
ようだ。

その後、スティーブは1人のインド人青年をコーチとして雇い入れた。彼が
インドを離れている間、子供達の面倒を見てくれる人が欲しかったのだろう。

私もカルカッタを離れる時がやってきたので、この物語がその後どう展開した
のかは知らない。
スティーブは今どうしているのだろうか。
あの頃子供だった彼らも今は大人になっているはずだ。
果たして、真っ当な大人となって幸せに暮らしているものかどうか。

今はただ、元気にやっている事を祈るばかりである。
                           藤田 健 
                           Fujita Ken
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││メールマガジン読後感アンケート結果。
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◇ふつう   (゜.゜)--------------------------------------  0人 ( 0%)
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││お便りで頂きました感想。
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┏━━━━━━━━━━「北海道のワタシだけ?さん」

いつも楽しく拝見しています。今日はひとつ希望があります。

健さんの読物。
とても面白いんですが、(女性の立場からは)ひとつ不満があります。
色気がない!
女性が影にも形にも出てきません。
健さんて石部金吉朴念仁?
それともイン***ツ?
それともホ****アル?

絶対そんなことはないと思います!

こんど、Ojinさんでさえ(?)「カラオケ小姐の独り言」なる風俗記事(?)を書
かれるようですが、健さんにも、たまにはチョットだけでも女性が登場するも
のを期待したいと思います。
こんなことを感じるのはワタシだけ?
よろしくお願いいたします。

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┏━━━━━━━━━━「藤田健さんからさん」2002/03/14

> 色気がない!
> 女性が影にも形にも出てきません。
> 健さんて石部金吉朴念仁?

とのことですが、当然私もれっきとした男、勿論女性は大好きです。
しかし、外国ではそんな男の弱みに付け込むように罠を張っている女性が多い
のも事実です。

また、そういう訳では全くなく純粋に色恋に陥った場合でも、アジアの場合、
恋愛と結婚は現地の人にとっては容易に結びつく事が多いので、基本的に女性
にはこちらからは近づかないようにしていました。(一般の女性が相手から積
極的に近ずいてくることがほとんどなかったというのもまた事実ですが…)

それに、恥ずかしながら色恋にはけっこう疎いのです。

私だって、旅に出る前には “今度こそロマンチックな出来事がひとつぐらい
は起きないかな〜” と期待して日本を旅立つのですが…

ご期待に添えるものが書けそうになくて(ホントに!)残念なのですが、ネタ
自体が無いもので、(トホホ…)

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┏━━━━━━━━━━「(^^) OJIN です(^^)」2002/03/14

ワタシだけさんこんにちは。。なんですけれど‥‥

・・・・これ→ OJIN さんでさえ ←┐
それから、ここ!→ 風俗記事 ←―┴― これはなんですかッ!!

でさえ”ってえことはもしかするとワタシだけさんは.. OJIN はもう役に立た
なくなっているくせに・・・とか思っているんじゃありませんか?
さらにッ! OJIN が書こうとしているのは“風俗”記事ではございませんっ!
麗しくたおやかで、なお、艶やかでワガママで‥‥ん?

ともかく(たぶん‥)風俗記事ではないと‥‥思います。たぶん。。かな??

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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 

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