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┃ 藤田健の"中国だけで驚いてちゃアカン!":by 藤田健さん
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☆ モンゴルの大平原(3)
遊牧民の朝は早い。
かなり早起きしたつもりでも、彼らはもう働き出している。
もしかしたら、日の出と共に動き出しているのかもしれない。
朝、囲いを開けて百頭弱の羊たちを草原へ放つ。
そして朝食後、放牧に出発する。
ゆっくりと羊の群れを追いながら、羊たちに草原の草を食べさせていく。
日がな一日羊たちを移動させつつ、途中では水場に寄って水を飲ませ、夕方に
はゲルへと戻り、羊たちを囲いの中に入れて一日が終わる。
毎日々々がこの繰り返しだ。
男達が放牧へ行っている間に子供達は、水タンクを積んだ馬車を牽いての水汲
みへと向かう。近くの川まで、丘を乗り越え草原を突っ切り何時間も懸けてた
どり着く。子供達にとっては大変な労働だ。
彼らは、現金が必要な時には羊を解体し、肉と毛皮を町へ売りに行く。
町までは、馬で歩いて4時間ほど。売りに行くのも大変だ。
町に着くと、通り沿いに並んだ食堂に肉と毛皮を持ち込んでの交渉が始まる。
(ドライバー向け?或はバスの休憩地点か?)
だが、商人と遊牧民では、遊牧民に勝ち目は無い。
彼らはよほど交渉が下手なのか、或いは食堂のオーナー達が談合しているのか
買い叩かれて、どの食堂へ行っても思ったような値がつかない。
次第に彼らの顔つきが暗くなってゆく。
しかし、遠い道のりを歩いてきた上に冷蔵庫もないのだから、ここで肉を売り
切る以外に選択肢は無い。彼らにとって納得のいく値段が付いたのかどうかは
わからないが、最後の一軒で交渉成立。
とにもかくにも現金を手に入れて、また草原へと戻って行った。
彼らを見ていたら、あまりの素朴さに心が揺り動かされた。。世知辛い日本の
暮らしとは大違いだ。
翌日は、泊めてもらったお返しとして彼らに肉を振舞うことにした。我々が羊
を一頭買い上げて彼らの伝統料理を作ってもらい、皆で肉を囲んでの宴を開こ
うという趣向だ。
遊牧民の彼らは普段、肉は食べない。
彼らにとっては、家畜は殺してしまったらお金に換えるか食べてしまうしかな
いが、メスならば暖かいうちは乳製品が採れる。
だから、彼らの主食は乳製品と小麦粉で作った料理だ。
どうも、特別な時以外は肉を食べる機会は少ないようだ。
まずは、羊を買い上げる値段交渉。気持ちよく泊めていただいたお礼として、
彼らの言い値で買うつもりで交渉に入る。
しかし、よほど高いことを言われない限りは払ってあげようと思っていたのに
彼らの言い値があまりに安いので困ってしまった。
まさか買い手の我々から“値上げ”交渉をするわけにもいかず、拍子抜けする
ほど安い額を払う。(確か、2〜30$/一頭)
もう少し欲を出してもいいのにと余計なことを思ってしまった。
次は、今日の宴で食べられてしまう不幸な子羊の選定だ。
逃げ惑う子羊を群れの中からひっ捉まえてきて、肉付きをチェック。
彼らの判定は「まだ若い」
最初の子羊は難を逃れた。
次なる子羊を求めてまた走る。今度は肉付きも良いようだ。
我々にも意見を求めてくる。
そんなこと言われたって我々には分からない。
只、訳も判らず首を縦に振るのみだ。
いよいよ解体。
羊を仰向けに転がして、押さえつける。角を持って頭を押さえつけるのが私の
役割。そして、長男が羊の胸に15cmほどの切り込みを入れ、ぐっと右手を
突っ込んで手で動脈を掻き切る。
思っていたほど羊が暴れることもなく、10秒ほどで静かになる。
まずは、ヒズメの付いた足首を切り落とす。これは近くで待ち受けていた番犬
のご馳走となる。
そして、頭を切り落とし、首筋から尾まで一気に切り込みを入れて皮を剥ぐ。
この工程を手伝ってみたのだが、死んだばかりの羊の死体は何故か発熱してい
てとても熱かった。
仰向けにされて切り開かれた毛皮の上で、羊は手際よく解体されてゆく。
その際、流れ出る血液は全て毛皮の内側に溜められて、大地には一滴足らずも
こぼさない。。見事なものだ。
最後には集められた羊の血を腸詰にして解体が終わる。
頭から尾っぽまで、どこも無駄にすることの無い解体作業は30分程で終わっ
た。
先ほどまではのんきに駆け回っていた子羊も、あっけないほど簡単に只の肉片
と化してしまった。
命が無くなるという事が、あまりにもあっけないことに少し驚いた。
日常食卓に上がる肉料理も、当然以前は生きていた牛や豚な訳である。
だから、彼らを殺し続けて食べている我々は、せめて殺生をして食べさせてい
ただいているという事実を実感し、心に刻まなければならないと以前から感じ
ていた。だから、今回の解体作業は本当に得難い体験となった。
次は料理に取り掛かる。
まずは、よく乾いた馬糞を集めて火をおこし、その中に石を投げ入れて焼き石
を作る。そして、30リットルぐらいの(牧場で使うような)円筒状のアルミ
缶の中に肉と焼き石を交互に積み重ね、少量のみじん切りにした青菜と塩と水
を加えて蓋をして蒸らして出来上がり。
料理が出来上がる頃には、どうやって連絡を取ったのか近辺の親類縁者10人
ほど加わっての宴会が始まった。まずは主賓の我々に肉が配られ、次に火を取
り囲んだ男性群。最後に配られた女性達は、肉を器に取ってゲルに持ち帰って
食べていた。
この料理、単純な作り方だがなかなかうまい。
素朴な肉の味も町で食べるものとは比べ物にならないほどおいしいし、スープ
もコクがあってとてもうまい。ただ、スープに浮いている細かい緑色の物体が
(多分薬味に入れた青菜だとは思うのだが)焼き石に着いて混ざった馬糞のよう
な気がしてなかなか食欲は出なかった。よく火が通っていて清潔なのに、哀れ
な文明人の性である。
楽しい宴が終わると、近隣から集まっていた客人達はまた四方へと去っていっ
た。
翌朝、我々もゲルを旅立った。彼らとはもう一生会うことはないだろう。
しかし、お互いに一生忘れることのない想い出を作ることが出来た。
彼らも何か思うところがあるらしく名残惜しそうにしてくれ、家族総出の見送
り風景だった。
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モンゴルでの日々を思い出すと今でも心が温まります。あの人の良さはいった
いどこから来るのでしょうか。
この国になら、住むのもいいかもしれないと思ったほどです。
しかし、私がのぞきみたモンゴルの生活は、あくまで夏のものなのです。
遊牧民の日常生活は、冬になれば一変するはずです。シベリア並の厳寒の冬。
感傷的な旅人の想いなどでは太刀打ち出来ない冬の平原での遊牧生活。
一度、遊牧民の冬の生活にもお邪魔してみたいものですが、ヤワな都会人の私
には、なかなかその勇気が出てきません。
藤田 健
Fujita Ken
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│★│お便りで頂きました感想。
└─┘
┏━━━━━━━━━━「みやさん」2001/12/12
みやです。日本は寒くなりました。
そちらの気候はいかがですか。
┌--------
│時間を聞かれるくらいならいいですけれど、
│道順とかを尋ねられたらチョット冷汗もんだったですネ。^^;
└--------
ナンノ、ナンノ「ブーチーダオ」とか「ブーレンシー」とか出来るだけ無愛想
に言って通り過ぎますよ。(ほんとはとっても愛想がいいのよぉ)
高倉健ではなく藤田健さんのモンゴル滞在記・・
‥‥名前は似てるけどお顔も似てるのかな?‥‥
私は去年の夏、内モンゴルへ行きました。
知り合いの留学生の親戚宅を訪問しました。
ゲルに住む遊牧民ではなく、立派な家に住む牧民でした。
でも、やっぱりトイレがないんですねぇ。
「外でします。犬が食べてくれますから」
ひぃえぇぇー!
1週間も出さないわけにいかないからぁ・・・
なんとか物陰に隠れてしましたが。
あちらの人たちは用を済ませてから紙でふかないのね。
小は草原で並んでしたので、はっきり分かるわ。
終わったらすぐ下着をあげていました。
でも、大の方はご一緒しなかったので分からない。
そこで健さんに質問。
大の時はそのままだったですか?
(面と向かっては聞きにくいけどメールでは・・・)
いたるところに羊や山羊などの糞が転がっているので、少々人間のウンウンが
混ざってもかまわないよね。
ただ私が困ったのは紙の始末。
日本から持参したポケットティッシュなんぞ使ったらその紙質のよさ、際立っ
た白さで目立って目立って。ーーすぐ私のウンウンとばれてしまう。
で、どうしたかと言うと「ペットボトル作戦」。
ペットボトルに水を入れ、飲み水を持って散歩しているふりをして適当な場所
があったらしゃがみ、その水で洗いました。
自動ウォッシュレットといいましょうか。(この方法は、昔、タイで経験済み)
トイレやお風呂など、生活の中にあって当然だと思っているものが外国行くと
無くて・・・。日本の常識が必ず外国の常識になるとは限らないねぇ。
でも、そんなことを経験できるのが旅の醍醐味だと思います。
健さんの次の記事をまってます。ではでは。
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┏━━━━━━━━━━「藤田健さんから」
みやさん、お便りありがとうございます。
さてご質問の、○○○についてのお答えですが、私の場合、水が簡単に手に入
る場合には、みやさん同様ペットボトル作戦を実行しています。
しかし、私が旅した草原のゲルでは水も貴重品だったので、紙で処理していま
した。そして、その紙の処理ですが、私の場合は火を点けて燃やしています。
それでも燃え残る紙については、土をかぶせて軽く埋めるようにしています。
でも、実はトイレで一番困ったのは、砂漠でしたときなのです。
なぜなら、とにかく砂漠では物陰がないんですよ。
だから、一緒にいる人たちから100m位離れてしていても、どうにも見られ
ているようで落ち着かない。あれには参りました。
では、今後ともご愛読よろしくお願い致します。
藤田 健
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。

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