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┃ Chinese Puzzle ―世界から見た中国― by FROMFAST007氏
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[Chinese Puzzle No.8 (中華思想のフィクション)] ―――― 2001/08/01
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<ポイント>

(1)日本人が中国人のメンタリティを評する際によく"中華思想"という表現
   が出てくる。中国語にはこのような表現はなく、同様の"思想"も存在し
   ないようである。
(2)現在の中国は歴史に基づく伝統的な価値観と外国からやってきた新たな
   価値観が急速に交わる過渡期にある。
   歴史に根拠を置く"中華思想"という中国観は、現在の中国人のメンタリ
   ティーに関してむしろ誤解を招きかねないものである。

<本文>

北京オリンピック開催が決定し、中国のWTO加盟のスケジュールが固まった
こともあり、中国の国際化もいよいよ形になってきました。
再三お伝えしているように、中国を理解することは専門家のみならず、普通の
日本人にとっても必要不可欠となっていくでしょう。
中国理解の一助となれるよう、本誌も 中身のある内容を心がけていきます。

今回は前回に引き続き、中国人の国民性について考えます。
なかでも、中国人の"中華思想"が今回のテーマです。 

(1)"中華思想"とは何か

まず最初に、私が中国の社会人と行っている勉強会で交わされた会話を紹介し
ましょう。
三人の中国人(A、B、Cさん)のうち、Aさんは日本での留学及び勤務経験
があります。私が、ある話のなかで当たり前のように“中国人には中華思想が
あるから云々”と切り出したときのことです。

"B" 中華思想って何ですか。
"私" えっ、聞いたこと無いんですか。

"B" ないねえ。どういう意味ですか。
"C" 私も聞いたことない。何ですか、それ。

"A" 僕は知ってるよ。日本ではよく言われる表現で、中国は世界の中心にあ
る国なので、政治や文化面で外国より秀でているべきだという考え方だ。日本
には、中国人は中華思想を根底に持っていると信じている人が結構いるよ。

"C" 本当!? 唐や清の時代ならそういう考えもあっただろうけど。
"B" 中華思想かあ、随分大げさな言い方をするんだなあ。

その後何人かの中国人に聞いてみましたが、中華思想という言葉は中国語には
ないようです。
もちろん中華という表現はあるわけですし、歴史的事実として漢族系の王朝が
東アジアの宗主国となりいわゆる華夷秩序を築いた時代はあったわけですから
似たような考え方は歴史的には存在したのでしょう。

しかし現在社会で活躍している世代には、中華思想に当たるような考え方はほ
とんど感じられないというのが私の印象です。なにより歴史教育を非常に重視
する中国で育ったインテリの中国人自身が“中華思想”という言葉を知らない
のですから。

現在の中国人は、急速に進行する社会の変化やそれに伴う期待と不安に対処す
るのが精一杯で“中華思想”や華夷秩序のノスタルジーに浸る余裕は私には感
じられません。

一方、日本の書店で中国に関する書籍に目を通すと至る所に“中華思想”とい
う言葉が出てきます。わざわざ引用はしませんが、中国の特性について説明す
る際にまず挙げられる表現といっていいでしょう。

もちろん、それなりの大国であれば、どこにでもあるナショナリズムは目立ち
ますが、中国人の特性といいきれるほどの特殊性は私は感じません。(共産党
のナショナリズム発揚は特殊ですが、これは中国人の特性ではなく、独裁政党
に共通する特徴と理解できましょう)

こうしてみると、日本人の中国観、さかのぼればそれを支える中国関係の書籍
の多くが伝える中国の姿は、必ずしも現状を素直に反映しているとはいいがた
いと考えざるを得ません。

(2)外国からみた中国観の歪み

中華思想は、中国人の潜在意識として説明されるのでその存在を証明すること
は出来ない曖昧な言葉です。その延長として、中国は将来必ずや世界の中心に
返り咲こうという信念を持っていると言われたり、場合によっては領土的野心
があるとまでいわれます。

漢民族の築いた華夷秩序の歴史を振り返れば、領土的野心を"中華思想"で説明
しようとすることは明らかに誤りですが、中国人の大国意識やナショナリズム
を“中華思想”で説明することには一見したところ説得力があります。しかし
中国人に実際に尋ねてみると不思議がられるという事実は覆しようがありませ
ん。

現在の中国人のメンタリティーは、歴史的な深層部分と外国からやってきた部
分(例えば個人主義や合理主義)が社会の急変に伴い交じり合った状況です。
歴史的な深層部分にばかり焦点をあててしまうと、中国の一面しか見えてこな
いというよりは、無用な誤解を生んでしまうということなのでしょう。

では、今の中国人のメンタリティーを的確に表現できる言葉はあるのかという
と、私も上手く思いつかないというのが正直なところです。回り道のように見
えますが、今回のような断片的な事実を積み重ねていくことによって、徐々に
クリアな中国観を体得していきたいと考えています。

次回は、再び具体的なテーマに戻りたいと思います。

参考資料 特になし。

                        = この稿おわり =
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┃┃ お便りで頂きました感想。
┗━┛
┌──────────「aho さん」男性@十代@山口 ― 2005/06/17

――「中華思想のフィクション」について/引用づくめ

中国人が中華思想を知らないのは驚くに余りあります。中華人民共和国、そう
いう自分たちの国名の意味すら、理解していないということなのですから。

だいたい、歴史教育が発達している中国で、中国人が中華思想を知らないのは
おかしいと書いているがこれは矛盾です。

中国が周辺国に対して「朝貢」させ、漢代から1793年のマカートニー事件
(イギリス使節が皇帝の前で三跪九叩の礼を行わなかった事件)を経て1911
年の辛亥革命に至るまで、途切れることなく続いた思想は、れっきとした歴史
的事実であり、歴史教育が発達していればなおのこと、知っていなければなら
ないことです。ーーーその存在は証明されていますよ。

加えて、中華思想のような自国賛美の傾向は、ほかの文化にもよく見られるこ
とですが、中国文化の特殊性の一つとしての一貫性により、2000年以上も
これが維持されたために特殊視されるにいたっているだけです。

あなたが考えるような中華思想を、中国批判のネタとして論じている輩はごく
少数です。
多分辛亥革命以来、中華思想は否定されてるので教育に反映されてないんだと
思いますよ。ーーーもっと厚みのある文章を書いてください。

└──────────
 
┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」

この記事を書かれた「FROMFAST 007」氏は筆を折られてから久しく、現在では
連絡がとれませんので、代わりまして OJIN の見解でお応えさせて頂きます。

中華思想というのは外国人が受ける印象であって、外国人が云々するところの
中華思想というものを中国人自身は意識していない、、けれどそういう雰囲気
(?)自体は確かにある..と、 OJIN はそう感じます。

ただ、それは"思想"とよべるほどハッキリしているものではなく、自己中心、
自分勝手、チャンスがあれば何であれ自分のものにする、他人を押し退けて上
に立とうとする、ーーもっと分かりやすくいうなら「横入り割り込み」「押し
退け我先」、、、。

こういう個人個人の性格が、集体・集団エネルギーと化したものを外国(人)か
ら観ると「自己(自国)中心で夜郎自大で唯我独尊で膨張指向で権謀術数で」と
いった、まあ、いわゆる外国で云われるところの"中華思想"ということになる
のではないかと思います。

中華思想(考え方)というハッキリしたものはない。しかし、そういう雰囲気は
厳然と存在する。ーーーこういうことではないでしょうか。

└──────────
┌──────────「井上豊さん」男性@四十代@島根  2006/03/20

「中華思想」について「FROMFAST 007」氏が言われていることは、全くもっと
もだと思います。
私は、中国に留学しているとき、中国人がこの言葉を知らず、辞書にも載って
いないのに驚きました。ーーー「中国人は中華思想を持っている」というのは
一部の日本人が決めつけているだけです。

むかし、中国に皇帝がいた頃はそういう人が多かったのかもしれませんが、私
は、そんな人には会いませんでした。ーーー自分の国が世界一だと思うことは
多かれ少なかれどの民族にもあることで、現在のアメリカ人の中にもあり、ま
た、日本人の尊大ぶりも相当なものです。

それを、中国人だけにこのようにいうのはきわめて公平を欠くと思います。

なお、「多民族国家 中国」(岩波新書)で、中国人の学者が「中華思想」論
を批判しています。「中華思想」は、中国の思想を表わす言葉であるのにも関
わらず、中国の学会では拒否されたそうです。

いっそのこと、「中華思想」論を、世界に向けて発表したらどうでしょう。
もしかすると、物笑いの種になるのではないでしょうかーーー。

本当に自分の国を誇りに思う人なら、他の国も尊重します。自分の民族の文化
を愛する人なら、他の民族の文化の良さも認めるものです。

ーーーいちいち上下関係でとらえることはないのです。

└──────────
 
┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」

ご意見をお寄せ頂きまして、真にありがとうございました!
ですが、

しかし、そうでしょうか?

こちらで暮らしていて実感することは、「中華思想」という言葉こそありませ
んが、その頭の中味、考え方は、正に「中華思想」そのものだ!と感じます。

唯我独尊自分勝手、強い者には弱いくせに、弱い者に対しては倣岸不遜、こち
らが一歩引けば一歩圧してくる、二歩引けば二歩、とキリがない。更に、中国
は世界のナンバーワン!中でもオラが地方がナンバーワン!で世界の中心?!

そりゃまあ、どこの国にだってこういう気分はありますけれど、中国はそれが
極彩色に強烈!ーーー「中華」というのはたしか、「世界の中心」という意味
じゃありませんでしたっけ?

だとしたら、紛れもなく「中華思想」が充満しています!ただ、自分たちには
そういう意識がないので言葉の「中華思想」も無い、、けれど、実際には国中
に満ち充ちている、、。

ーーー自分たちがそうと自覚していない..というところが問題だと思います。

└──────────
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