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┃ 瞎子摸象(群盲象を評す) ―――――――――― by OJIN
☆ 中国各地空港の思い出話(3) ―――――― 初回掲載 2001/09/19
                       リライト 2004/05/26

――― 武漢空港 ――国際線到着、入国審査ゲートが一箇所!?――

その前に、国内路線で武漢を訪れたことは何回もありました。 

当時の香港は英国領、でしたから香港からの路線は国際線‥‥当たり前です。

ある時、香港から直接武漢に飛ばなければならないという時がありました。
もうその頃はだいぶ慣れてきておりましたので、没問題=大丈夫、大丈夫)と
・・軽い気持で香港カイタック空港を意気揚々と飛び立って一路武漢へ‥‥。

何度も見慣れた武漢の上空。褐色の長江=揚子江)と青々とした漢水の合流、
郊外に展開する大小の湖沼群を眺めながら、無事、武漢武昌空港に着陸。 

その頃の武漢の空港は、現在の新しい空港ではなく、武昌地区にメインの武昌
空港があり、漢口地区にもちょっと小振りの漢口空港がありました。
国内線の場合は、どちらの空港に到着するのか、出発の時も、どちらから出発
するのか確認しておかなければなりませんでした。 
1993年か1994年だったと思いますが、現在の武漢空港が完成してこの
2つの空港は閉鎖されました。

サテこの時は、香港からでも一応は国際線の到着ですから、入国審査を受けな
ければなりません。
当時の武昌空港なんて、日本の離島の..とまではいいませんけれど小さな県の
空港というぐらいの規模で、国内線で来ていた時の感じでは、国際線用の施設
なんてあったかいな?という程の規模でした。

タラップを降りて、みんなの後についてゾロゾロとターミナルビルの中へ....
入ろうとしたら..?..半分ぐらいの人が入ったところで行進がストップ?!

エッ、どうしたの? お日様カンカン照りで暑いんだから早く入れてヨ〜。
ーーーでも行列はピクリとも動きません。

この時は、英語と日本語はベラベラだけれど、中国語はまったくダメ、という
うら若き女性と一緒でしたので、

「男が割り込んでいったら怒られそうだけど、キレイな女性ならみんなも文句
を言わないだろうから、中へ入っていってどんな按配なんだか見てきてヨ」

掻き分け押し分けして入っていった彼女が、戻ってきて言うところによると、

!!入国審査ゲートが、たったの“ひとつ”しかない!!

ジャンボではないけれども、たぶん二百何十人乗りかの国際線の便が到着した
のに、入国審査ゲートが“ひとつ”だけ!?

‥‥Oh My God!

しかもその時は、そのお連れの彼女が、到着するなり“オシッコ”とか言うも
のでモタモタしていたお陰で私たちは列の最後尾!?

‥‥My God!

どのぐらい待ってて通過できたのかはもう忘れました・・・。

‥‥‥‥というより、思い出したくもないッ!‥‥‥‥

――― 宜昌[イーチャン]空港――ここまで来ていた!旧日本軍!――

宜昌というのは、現在(2001年)の中国最大プロジェクト“長江三峡ダム”
の工事現場のスグ傍の町です。実際の工事現場は、宜昌市から更に道ならぬ道
を、長江沿いに2〜3時間ほど遡った場所なんですけれど・・・。
----当たり前の話ですが、現在は道路は整備されています----

1992年だったか3年だったか、その三峡ダムの工事が始まるというので、
工事に従事する労働者が続々と集まりだした頃で、町は異様な(?)活気に沸き
だしていました。ーー所用がありその宜昌市へ行く事になりました。

飛行は武漢から。

小振りの、ちょうどYS11ぐらいのプロペラ機で一路宜昌市へと飛ぶ‥‥

三峡ダムの現場のスグ傍というぐらいですから、宜昌市は、湖北省と四川省を
隔てている大山塊のキワの麓、というよりは、少し山の中に入ったぐらい、と
いう場所にあります。
空港の上空に至って地上を眺めると、狭〜い盆地に短い滑走路が一本、粗末で
小さな空港のターミナルビル‥‥

降り立って、さて、出迎えの人たちと一緒に空港から市内へと向かいます。 

が、この道路(?)....を、なんと形容すればいいのか・・・。

舗装されていない、は、まあ当たり前としても、デコボコ道はデコボコ道なん
ですが、そのデコボコの具合がハンパではない。少し長々と描写するならば、

もしも車が乗り入れてしまったら、車体の前後が地面に接触し、車輪が空転し
て動かなくなるだろうというぐらい大きく凹んだり、砂利がなくなって泥沼の
ようになっていて、もしも乗り入れてしまったら100%脱出不能、・・とい
う感じの凹が、ほとんど間断なく続いている‥‥

ーーーいったいこれは道路なのかいな?という感じのデコボコ道でした。

車はそんな凹にはまり込むわけにはいきませんから、右の道路際を迂回したと
思えば、今度は左の際ギリギリに寄って、というアクロバットまがいの超ノロ
ノロ運転を続けながら市内へと向かいました。

どうしても凹地に車の片輪を入れなければ通れないようなところでは、誇張で
もなんでもなく、何かに掴まらないと身体が座席から滑り落ちそうなぐらい傾
いてしまうので足も踏ん張るようにしなければならず、車に乗ってこんなに疲
れるものか?・・・という初めての経験をしました。

落合信彦氏著の「誰も見なかった中国」という本を読んだときに、氏が、貴州
省や雲南省の田舎のひどい悪路の描写に苦労されていましたが、こんな経験を
してきたお陰で、わたしにはその悪路の様子が手にとるように分かりました。

町は山の中のほうですから、途中からは、両側が上に向かった傾斜地の間を通
る事になります。そんなに多くはありませんでしたが、そんなところで対向車
に出会おうものなら、またまた一苦労。
両方の後方を比較してみて、スレチガイが可能そうなところまで、どちらかが
くねりながらバックして・・・。 

「どうして道路を整備しないんですか?」

「いままでは空港なんて利用する人が少なかったので、この道はあまり使われ
ませんでしたから、むかし日本軍が造って以来、まったく手を加えていなかっ
たんですよヨ」

‥‥ん〜?日本軍?

「むかしって‥‥その日本軍って、194ン年の頃の話ですか?」
「そうですヨ、今降りられたあの飛行場だって、日本軍が造ったんですヨ」

「あの飛行場も日本軍が造った‥ということは日本軍はここまで来ていたんで
すか?」
「当たり前じゃないですか」

「当たり前じゃないですかって‥‥ここは、この山塊を越えると、国民政府の
蒋介石が最後の臨時首都にしていた重慶市でしょ?」
「そうですヨ」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

‥‥旧日本軍は、こんなところまで進撃して来ていたんですネ〜!

――― トホホ!の帰り途‥‥〜〜この帰路がまた大変でした〜〜

翌々日、仕事が済んだので、サテ帰る事になりました。
で、考えるだけでもイヤになるあの、道ならぬ道をまた通って旧日本軍建設の
空港までやってまいりました。
田舎町の空港ですから、フライトなんて一日一便もあるかないかぐらいの状態
です。

さて、到着しましたが、待てど暮らせどチェックインが始まりません。
飛行機が遅れるのには慣れていましたが、でもチェックインぐらい時間通りに
やってもバチはあたらないんじゃないの〜?
お客さんも数えるほどしかいないんだし。。

この後に待ち受けている運命も知らず、そんな冗談を言い合っていました。

それにしても、乗っていくべき飛行機はいつになったら来るのかいな〜〜?
見送りについて来てくれていた地元の人たちがなにやら交渉していましたが、
なにをどう掛け合ったって乗るべき飛行機が来なければ、没弁法‥‥。

それから程もなく、別のお客さんたちが騒ぎ出しました。
アラ、我慢強い中国人も遂にキレちゃったのかしら?
なんて冗談を言えたのも一瞬間、すぐ一緒にうろたえ騒ぐ羽目になりました。

「今日の便は運休!」
 ナ、ナ二ッ?

「今日の便は運休!」
「突然どうしたの?」

「昨日、西安で事故があった。同じ航空会社なので急にそう決まった。今日は
飛行機は来ない」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

後で分ったことですが、前の日に西安空港付近で墜落事故があり、墜落したの
がこの航空会社の飛行機だったので、全便を運休にして飛行機を総点検したの
だそうです。
墜落事故があったのならそれも仕方がないことだと思いますが、問題なのは各
現場でのお客さんへの対応の仕方。

詳しい説明は何にもなし。ただ「事故があったから運休」というだけ。
じゃあ明日はどうなの?と訊いても「分らない」だけ。

が、そうやってゴチャゴチャとなんだかんだやってるうちに、こりゃーどうも
何日かはダメそう‥‥という雰囲気がつかめてきました。
とすると、じゃあどうするかを考えなければなりません。

・武漢まで長江を船で下るか、
・陸路をバスか汽車で行くか、
・はたまたチャータータクシーか?

・船は時間がかかり過ぎるからダメ、
・汽車は夜まで特急がなく各駅停車ばかりだからこれもダメ、
・バスはどうしてダメだったのかは忘れましたが、

結局人数が多いので、マイクロバスをチャーターして行くことに決定!

空港へ来る時、もうこれが最後ッ!と思ってガマンしたあの悪路を、またまた
市内まで引き返して、マイクロバスに乗り込み武漢に向かって出発進行!
途中が高速道路になっている部分もあるので、7時間ぐらいで着きますヨ、と
いう説明でしたが、、

さて、7時間が8時間を過ぎても、まだ....武漢はどこ?という有様。
結局11時間!かかって、夜中の12時過ぎに戻ることができました。

                           = おわり =
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ リライト版:読後感アンケート結果。 ┗━┛
◇ 面白かった〜 (^○^) -------------------------------- 24人 (96%) ◇ まあまあかな(゜.゜) -------------------------------- 0人 ( 0%) ◇ ツマンナかった(-_-) -------------------------------- 1人 ( 4%)
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ リライト版:お寄せいただきました感想。 ┗━┛
┌──────────「ミカの赤い服さん」 OJIN さん、こんにちは。 なんだかこのコーナーの記事を拝見していると、『面白い』というより『大変 でしたね』としかコメント出来ないですね。 しかし、60年前に日本軍が作った道路や空港を、当時はそのまま使っていた のですか……ちょっと想像できないです。
└────────── ┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
‥‥アンケートの選択肢を「大変だったと思う人!」にすればよかった‥‥。 └────────── ┌──────────「気分は情報無限さん」 中国は広大な国土を有する国だから、今でも色んなトラブルが待ち受けている のでしょうね。 しかし落合信彦がそんな事を書いていたとは非常に驚きです。大学時代は熱心 に読んでいたのですが、世間が「従軍慰安婦問題」で騒ぎ出してから彼の主張 が支離滅裂に感じられるようになって読むのを止めた記憶があります。 ーー昔は結構まともだったんだ・・・・
└────────── ┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
国土が広大だからトラブルが待ち受けているのではなくて、なんと言えばいい か....民族性、社会習慣、個人資質、いろいろが混ざり合っての結果だと思い ますよ。 └────────── ┌──────────「コモンさん」60代@男性@会社員(管理職)@近畿 宜昌の記事を読みました。遅れ馳せながらながら一言。 道路が悪いのは「遅れているしるし」ではなく「開発が始まったしるし」だっ たのです。人が荷馬車で行き交う程度ではそれほど傷みませんからね。 重車両が持ち込まれ、補修が追い付かなくなった。開発が本格化した。政府は 本気だ。というニュースがより良い視点・着眼だとおもわれます。
└────────── ┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
1992年だったか3年だったかはもう定かではありませんが、あの道は宜昌 市内と空港を結ぶだけで、武漢―宜昌―三峡ダム工事現場の路線とは全く関係 がありませんでした。 なので、ダム工事用の重車両が通行するのは、武漢―宜昌―三峡ダム工事現場 の路線で、あの道は関係なかったと思います。 やっぱり、日本軍がササッと土地をならして、薄くバラスを敷いただけの急造 道路を50年近く補修もせずそのまま使ってきた結果、なのではないかという 気がいたします。 砂利道というのは、バラスの厚さにもよるんでしょうが、少し凸凹ができると 意外に早くその穴が深く大きくなっていくというのは、子供の頃に北海道の田 舎の通学路で見てきました。 まして軍が急造し50年近くそのまんまの道路では、、じゃないでしょうか? └──────────
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┌──────────「匿名さん」――――――――――― 2001/09/19 昨年湖南省に旅行した時、国道一号線で、いきなり陥没している所をよく見か けました。でもお話に比べるとかなりよかったみたいですね。
└────────── ┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
道路の陥没は、当地でも時々起こります。 この辺は、揚子江河口の沖積三角州で、隋の時代あたりまでは海だったところ ですから仕方ないですけどネ。 (でもそのわりにはビルが傾いたという話は聞かない?) 湖南省も北部の揚子江近辺は、巨大な沼沢地だったところですから、この辺と 条件は似たようなものなのだと思います。 湖南省の道路は(今回の話を先に読んでしまっての感想ですが‥)そりゃ普通 の道路が所々(何キロかに一箇所?)陥没しているのと、これは道路なの?壊 れたソロバンなの?というような道ならぬ“ここを通行しなさいと定められて いる細長い土地”とでは、物差しが違うので比較することはできないと思いま す。 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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