我が人生三分の二故事
☆ 世界中へ中古ゲーム機を売りまくれ! ―――――― 2008/11/15
                         by 老玩童 OJIN

いくら離島へ出そうがフィリピンへ出そうが、全国的有名中古業者として知れ
渡るようになると、新しい取引先も増えて、様々な中古機が集まってきますが
当たり前のことにそれが全部右から左へと捌けていくわけではありません。

ーーー倉庫にはだんだん売れない機械が溜まっていく――――。

いくら二束三文で引き取ってきたものとはいいながら、なにしろ嵩張るもので
すから、広い倉庫が必要です。倉庫代だって安くはありません――――。

ーーーどうするか?

オタク向けの販売を始めた頃と相前後して開始したのが、

「世界中に日本の中古ゲーム機を売ろう!」

当時も今も、日本のゲーム機というのは世界でトップクラス。中古であっても
後進国なら日本の離島に売るのと同じような入れ食い市場。(になるはず‥‥)

しかし外国に売るといっても、実際にはどうするか?

まず、案内から何からなにまで英文でやらなきゃならないだろうけど、社内に
は英語の堪能な奴なんて誰もいない・・・社外に依頼するんでは、専門用語が
多いから難しいだろう・・・スピーディに対応もできないし、第一、電話がか
かってきた時どうする??

ーーーで、英語の堪能な人材を募集することにしました。

何人か応募してきた中で、チョットだけ偏屈なところもあるけれど、それだけ
に普通の会社では馴染めずに遊んでいたのか?優秀なM君。仕事は能力!早速
採用して海外業務専任担当。

先ず、英文の案内状を作って世界中の国の商工会議所へDM。そのかたわら、
問い合せがあったらすぐ送れるように、英文のプライスリストを作成。

いくら日本のゲーム機が世界一とはいっても、大多数の後進国は国内にゲーム
機すら1台もないでしょうし、また、日本国内に中古業者の新参者としてDM
を流してもすぐに反応などなかったように、反響は殆んどありませんでした。

そんなことはDM商法の常識ですから驚きもせず、ーーー2回目のDM。

その頃からポツポツと問い合せが入るようになりました。南アジア、南米、ア
フリカ、ヨーロッパからもありました。そんな中で、特に熱心で何度もレター
のやりとりをして話が進んだのがパキスタンの一業者。

とうとう現物を見て決めたいから赴日したいというところまでいって、招聘状
などのビザ申請用書類を送ることになりました。――――来日して、倉庫を案
内して、あれとこれと、あれもそれもと決めてもらって、

自前の国際貿易成約第一号!!カンパーーーイ!!

ーーーところが、では帰国してL/Cを開設しますから機械の整備をお願いし
ますと帰っていったパキスタンの業者からは、その後、ナシのつぶて、、??

さすがに可変しい?と感じてM君が入管に問い合せてみると、件のパキスタン
人は出国していない!?ーーーM君の推理では、貿易商談の話は実はウソで、
実際は、来日ビザを手に入れて日本で不法就労する目的だったのではないか。

あちゃーーー!

日本にだって詐欺師紛いの奴はウジャウジャいるんだから、ましてや世界中で
は、・・・初めて海外との商売の厳しさを思い知らされました――――。

さて、次に舞い込んできたのは中西アフリカのナイジェリアから。

引き合いの総額欄を見ると、200万ドル!!??

ナイジェリアといえば産油国でお金はあるだろうし、人口だって日本より多い
ぐらいだったはずだからまあ、しかしそれにしても、うーーむむむ。

なにしろパキスタン人にイッパイくったばかりでしたから、これでまた可変し
なカラクリに引っ掛かったら会社が潰れてしまう、、よし、現地へ行って相手
を確かめてみよう!

今は知りませんが、当時は日本からナイジェリアへの直行便はありませんでし
たから、パリへ飛んで、そこからナイジェリアの首都ラゴスへと。

ラゴス空港に着くと、相手の会社の人と通訳が待っていて----へ〜、アフリカ
にも日本語の通訳なんているんだ!----会社へ案内されたら堂々たる建物。
こりゃ大丈夫かな?と一安心して商談に入ると、

諸々が済んで支払いの話になったら、200万ドルは200万ドルながら、長
期の延払いだと仰る・・・そんな〜、ウチは民間企業でしかも中古を扱う零細
企業だからそんなのは無理!

スベッタコロンダの話し合いの末に、ようやく、ではL/Cでということにな
りウキウキと帰国しました。しかし、ーーー意気揚揚と取引銀行に話をしたと
ころ、「ナイジェリアのL/Cは買い取りできません」 な、なにッ!?

「ナイジェリアは内戦状態で政情不安定。なのでL/Cを取り立てに出して、
決済されれば支払えますが、事前の買い取りはできません。どうしてもやりた
いのなら欧米銀行のナイジェリア支店のL/Cにして下さい」ーーーとほほ。

仕方がないのでM君に、相手と折衝してみるように指示。たしかシティバンク
だったかが、いけそう!となったんですが、そんなこんなでモタモタしていた
のが相手の気分を害したのか?ーーー商談解消を通告されてしまいました。

そんなことがあってヘコんでいるところに、またまたパキスタンの2社から引
き合いがありました。今度は、、いッ、1千万ドル!!??

さすがにもう懲りましたので、先ず銀行にパキスタンのL/Cはどうですか?
・
欧米系銀行のL/Cか裏書保証をつけてもらって下さい。
・
ハイハイ分かりました‥‥。

北京へ行く用事がありましたので、‥そこから足を伸ばして調べてみよう‥‥

予定通りイスラマバードに着いて、最初の顧客の会社を訪ねて街の中をグルグ
ルグル・・・訪ね当てた住所は、----スラムではありませんが----ゴミゴミし
た下町の、路地の奥の小さな部屋・・・普通の住まいでした・・・子供が何人
か物珍しそうに見上げていました――――。

こんなところで、あんな注文出せるようなチカラなんてないよーーー

ーーーガックリしながら次の引き合い先のラホールへ。

現地のガイドに訪問先の住所を見せると、タクシーを雇って走り出したら、市
内を外れて郊外‥農村の道をぶっ飛ばしていく。ーーーまあ、田舎や農村にも
大工場がある場合も多いからな〜、、しかし、

住所地の集落に着いても、小さな家ばかりでそれらしき会社なんて見当たらな
い?? 第一、通りすがりの地元の人に聞いても誰も知らない?!

ここまで来てこうなりゃもう意地だ! 探し回ってようやく辿り着いたのは、
ーーー普通の農家に毛が生えたような一軒家・・・その家のご主人が現れて、

「ああ、そういうことをしたのは多分わたしの弟だと思います。あいつは町に
出て、何をやっているのか分かりません。変なことをしなければいいがと心配
していたんですが・・・どうもご迷惑をおかけしてしまったようで、本当に申
し訳ありません」

・・・1千万ドルの引き合いは、すべて幻だったのでした・・・

大型商談ではこういう失敗もありましたが、もっと小さな引き合いもそれなり
に寄せられました。ゲーム機に限らず中古品は、その程度が様々で、日本国内
でも現物の状態を自分の目で確かめて値段を決めるのが普通です。

まして発展途上国のバイヤーならば、日本円で10万円のものでも、彼らの国
の価値にすれば100万円や、もっと、何百万円もの重さになると思います。
必ず現物を確かめて納得して買いたい。ーーーそういう希望は当たり前です。

ところが、

高い航空運賃をかけて、日本へ来て現物を確認しようと思っても、発展途上国
の人々に、日本国は簡単にはビザを発給しません――――。

世界中へ売りまくるためには、この問題をどうにかしないとどうにもならん‥

                           = つづく =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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