我が人生三分の二故事
☆ 離島に有望なマーケットが!(2) ―――――――― 2008/11/08
                         by 老玩童 OJIN

さて翌日、
大阪から最大の納入業者の担当者が飛んできました。さすが都会の営業マン、
機械に貼られた紙を眺めて、
「この所有権留保条項のある契約書を見せていただけませんか?」

ハイこのとおりです〜〜♪

彼はスゴスゴと立ち去りましたが、その次にやってきたのは街金のひとつ、と
案の定、ガタイの大きい片腕のない男、「わたしはこういう者です」出された
ゴツイ名刺には、鹿児島に本部のある、この島を二分する暴力団「喜琉組」の
舎弟頭となっていました。

「あんた東京からでしょ。しかしそれにしては早かったね〜」

「まあいろいろ。ところで、あなたは地元だからいろいろと情報をお持ちなん
でしょう。社長はどこへ行ったんですか?----まさか海の底?」

「わっはっは、あんた面白い人だ!いまどきそんな割に合わんことはやらない
よ、あいつは関西方面に逃げたんだ。どうだい今晩一緒に飲もうじゃないか」

----仲良くなっておけば、この連中はまさか機械には手を出さないだろう----

翌日だったか翌々日だったか、S氏が段取りをつけてくれて、ひとまず機械を
しまって置く場所を見つけてきて、そこに移して一安心。しかし、

「ヤクザ屋さんも静かだし、あの大阪の営業マンも帰らないで居続けているけ
ど、何をしてるの?」

「実はスーパーの社長が、一部上場企業の株券を何百万円分かどこかに隠して
いて、みんな血眼でそれを探してるんですよ」

エッ!そんな宝の山があったんだったら早く教えてよ!

ところがその次の日、

社長が経営していた美容院へ株券を探しに行くから一緒に行こう、とヤクザ屋
さんから連絡、、どういう意味だ?とは思いましたが、もしあったら多少でも
オコボレが・・・スケベ根性で随いていくと、

鍵屋を連れてきていてドアの鍵穴に器具を差し込んでカシャカシャカシャ・・
おいおい、これじゃドロボウじゃないか・・・間もなく鍵が開いて、中に入っ
て、、家捜ししましたが、、結局無し。

ところがさらにその次の日、

大阪の営業マンが株券を見つけた!船で島を離れようとして港でヤクザに捕ま
り株券を横取りされた!ーーーという話が飛び込んできました。

やれやれ、これでもう騒動のタネも終り、もう居てもしょうがないから帰るか
な〜、しかし置きっぱなしの機械をどうするか?ーーーと悩んでいると、

「あの機械なんですけどわたしに売ってくれませんか」----と紹介者のS氏。

「売ってくださいって、、あなたは喫茶店のオヤジさんでしょう。設置場所は
どうするんですか?支払いするのにも手形もないでしょう」

「設置場所は大丈夫です。名瀬にミニ遊園地という施設を作って、そこを拠点
にして南端の瀬戸内町や徳之島とかにも置くつもりです。手形も持ってますし
これからはもっと新しい機械も買って、ゲーム屋としてやっていこうと思うん
です。
ただ、スーパーで見てて思ったんですけど、このいまある機械は償却が大変で
すから、残債をまた24回分割でお願いします」

そりゃまあ、本土に持って帰ってもおいそれと売れるような品物じゃないし、
中古機の新しい客ができるんだからそれで良しとするべきかな?ーーー売れな
い商品を持って帰るより長くても手形のほうがいい!よろしくお願いします!

ーーーこうしてS氏と取引が始まり、

数ヶ月してから訪ねてみると、たしかにミニ遊園地----というかミニミニ遊園
地ほどの施設を作って営業していました。

「どうですか成績は?」

「いやー、土日はそこそこなんですがやっぱり平日はダメですね〜。ところで
鹿児島で見たんですけど、UFOキャッチャーというヌイグルミを摘み上げる
ゲームは人気がありますね〜、あれを何台か欲しいんですが」

そのころグングン人気が出てきていた景品ゲーム機でした。

それを手当してあげて、その後も取引は続けていましたが、だんだん先細りに
なってきた?? 電話をかけてみると結構忙しく飛び回っている様子なのに?

案じておりましたらそのうち、紹介してやった景品ゲーム機の景品卸し業者か
ら電話がかかってきて、「Sさんが倒産した!」

なに〜?倒産!

話を聞いてみると、景品ゲーム機が好調なので、中古を買わず新品をドンドン
買って、奄美本島はおろか、徳之島から喜界島のはてまで手を広げ、広げ過ぎ
て行き詰まってしまったとか・・・ただその頃にはもう、24回払いの手形も
終っていましたから、こちらに実害はありませんでした――――。

余談ですが、

何回か奄美を訪問した中で、ちょうど衆議院議員選挙の投票日にあたるときに
滞在していたことがありました。いつものようにS氏の自宅に泊めてもらって
投票日の朝、ーーーS氏が慌しく出かけようとしていました。

夜が遅い仕事なので、いつも朝はノンビリしてるのに??

「どうしたんですか?」

「今日は投票日だから、買収した人たちを投票所まで車で連れてってあげなけ
りゃならないんですよ」

ば、買収した人たちを車で連れて行く!?

今は選挙区が再編成されて変わっているのでしょうが、その当時の奄美は奄美
群島一人区で、そこに自民党の保岡興治氏と無所属の徳州会病院徳田虎雄氏が
立って毎回激戦を繰り広げてきた因縁の選挙区。ーーー以前に隣の徳之島で、
対立する住民同士が集団乱闘事件を起したのも有名な話――――。

「選挙は奄美の三大産業のひとつ=買収でカネがバラ撒かれるから」と言われ
ているぐらいのところです。

「ほら、オレの受持ちはこんだけあるから大変なんですよ〜」

と、ポケットから取り出した、分厚い!!投票用紙の束!!

選挙トトカルチョも盛んで、負けて払えなくて腕を落とされたとか、片足を切
られたとかいう話も珍しくはないそうです――――。

ノンビリ静かな風物、60度以上の焼酎、不振の大島紬、山には猛毒のハブ、

ーーー奄美は、忘れられないところでございます。

                           = つづく =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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