我が人生三分の二故事
☆ 3回目の蹉跌 ――――――――――――――――― 2008/11/08
                         by 老玩童 OJIN

ポールポジションで大儲けは逃してしまいましたが、会社は何事もなく動いて
いました。いや、何事もなく動いているようで、実はその頃、各ロケーション
の売上がジリジリと下降傾向を示していました。

ゲームの世界なんて、どん底で喘いでいたとしても、スペースインベーダーや
パックマンのようなヒット商品をいち早く仕入れることができれば一発逆転が
可能で、昨日までの地獄がたちまち天国に早変わりする業界です。

売上の下降傾向をなんとかしようと、新機種の投入で挽回をと購入した機械が
外れで裏目・・・売上は上がらない支払いは増加する・・・それを挽回しよう
としてまた同じ轍を繰り返してしまう・・・だんだんとそんな泥沼にはまり込
んでいましたが、それでも一発当れば!という思いから抜けられず・・・・

ーーーこうなるともう、悪循環のスパイラル地獄でございますーーー

とうとう、決済日の手形を落とす目途がどうしても立たない!!

メーカーへ飛んでいって手形のジャンプ依頼・・・しかしジャンプしてもらっ
たところで、売上を立て直さなければ問題を先送りにしているだけで、ジャン
プ、ジャンプで凌いでいても、いつかは破綻する・・・・

さすがに高利にこそ手を出しませんでしたが、資金繰りに追われて、たいして
全体に影響のなさそうなロケーションの切り売りを始めました。もっとも、そ
うなる以前から、ロケーション開拓営業力の弱いサブオペレーターに対して、

ロケーションを開拓して、中古を含めたゲーム機を設置して、けっこう良い値
で販売する、ということはやっていましたが、尻に火がついてはやむを得ず、

例えていえばそれまでは、大木である本体はそのままに、小さな若木を見つけ
てきてそれを売る、という状態だったのを、大木である本体の端っこの小さな
枝を売り、次にはもう少し太い枝も売り、、という状態になってしまったので
した。

しかしこれでは、本体からの収入自体をますます細らせることになるワケで、

その頃、前回のピンチのときに伊勢原から厚木にかけてのロケーションを引き
取ってくれた伊勢原のS氏とは、その後もサブオペレータになっていただいて
取引が続いていたのですが、

S氏は、こちらの資金繰りが苦しいのを承知しながら、買い叩くこともせず、
言い値で順次、ロケーションを買い取ってくれていました。ご年齢からすると
もう身罷られたかもしれませんが、Sさん、本当にありがとうございました。

そしてついに、何度目かのジャンプ依頼にメーカーへ出向いたときに、「きち
んとした再建策を立てないと、このままジャンプを続けていてもムリですよ。
再建案を持ってきていただけないと、もうジャンプには応じられません」

主要な、買ってもらえるロケーションは全て売却してできるだけ債務を減らし
残りの債務は一部免除と、返済据置期間をおいてから長期の分割払いを認めて
もらって・・・1から出直そう・・・

ホテルのクラブのオッチャンが忠告してくれた「慢心の先には、真っ暗な地獄
への穴がポッカリと大きな口を開けて待ち構えている」ーーーその真っ暗な地
獄への穴に、ものの見事に落っこちてしまったのでございました――――。

しかしこの頃にはもう、全国でも有数のディストリビューター=大卸兼賃貸業
者になっていましたから、取引しているメーカー数も多く、各メーカーの足並
みが揃わず、

最後の砦、最大の収入源であった大船駅前GCも伊勢原のS氏に譲渡して切り
抜けを計りましたが及ばず!・・・39才の昭和61(1986)年、不渡りを出し
倒産、に至ってしまいました――――。

------このへんの状況については、精神的に相当まいっていたようで、記憶が曖昧で 後先が逆になっている部分があるかもしれません------
ーーー不渡りが出てしまってから数日後の土曜日、ナムコの担当者に呼び出さ れて本社に出向きました。土曜日なので、出社している社員はほとんどなく、 ガランとした販売部で顔を合わせて、 「まあ、なっちゃったものは仕方ないですよ。でもこれからどうしますか?」 「まだ考えていませんけど、食ってかなきゃならないし、この世界しか知りま せんからこの業界でなんとかやるっきゃないけど、、とりあえずまたナムコさ んから仕入れさせてもらって販売屋をやるしかないでしょう。けど、そうなる とナムコも以前の債務はチャラでいいよ〜じゃなく、少しずつでも返しなさい でしょう」 「そりゃまあ、チャラにはできないでしょうね〜」 「そうなるとただの販売屋じゃ難しいな〜」 そのとき、担当者の机の上に乗っている分厚い書類が目にとまりました。 「これはなんですか?」 「ああ、今年のアミューズメントマシンショーでウチのブースに寄ってくれて 名刺をいただいた全国の業者を整理した書類ですよ」 ーーーそのとき閃くものがありました。 「ねえねえ、これは特にマル秘っものではないよね?こんなところに放り出し てあるぐらいなんだから。これをコピーさせてくれない?」 「そりゃマル秘ってこともないけど、、どうするの?」 「うん、今考えたんだけど、これで全国にDMを撒いて、中古ゲーム機の売買 をやってみようと思うんだ」 「ふーん、まあ再建の助けになるんだったらいいですよ。コピーして下さい」                            = つづく = ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
我が人生三分の二故事に戻ります







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