我が人生三分の二故事
☆ 最初の挫折 ―――――――――――――――――― 2008/01/20
                         by 老玩童 OJIN

ある日、タイトーの所長が、
「新居の直ぐ下にYMホテルがあるでしょう。あそこのロビーにショーケース
=シーバーグ社製ジュークの機種名、当時最高のグレード)を設置してるんで
すけど、あれを買ってもらえませんか」

YMホテルも客の多いホテルで、しかもロビーに設置してあるとなると売上も
いいはずだし、ショーケースは最高のグレードの機種だし、欲しいな〜、しか
し値段も高いからどうしようか?ーーーショーケースは160曲入り120万
円でした。売上を聞いてみると、

1年半もかからずにモトは取れる・・・この前のドライブインのジュークはボ
ロだから10年も保ちゃ〜しないけど、ショーケースならこれから20年以上
でも使うことができる・・・・では支払条件は?と聞いてみると、2年の長期
分割払いでいいと言う。

それでもさすがに決めかねて新妻に相談すると「あなたがこれからこの仕事を
していくのなら、悪い買物ではないはずだから買いましょう」と賛成してくれ
ました。ーーー買い取って。

その後も、セガから、御殿場のドライブインのクレーン機1台ピンボール2台
をロケ付で譲ってもらったり、、え?そんな御殿場なんて、メンテナンスや集
金はどうしたんだ?

集金は、セガの集金員がそちら方面を回ったときについでに集金してくれて、
こっちを回るときに一緒に届けてくれる。メンテナンスはそのドライブインか
ら直接セガの営業所に連絡が入り、修理員が回って修理してくれる。集金員や
修理員にはタバコを上げたりお小遣いを渡したり、、、。

こんなふうに順調にいっておりましたので、だんだんと欲が出てきました。

自分が勤めているホテルから小田急線の終点箱根湯本駅までの途中にYN旅館
がありました。YN旅館はこの辺一帯で最も客室稼働率がいいという評判で、
実際、駐車場はいつ見ても満杯で、その評判を裏付けていました。そこの娯楽
場はタイトーが全部レンタルでゲーム機を入れていました。

タイトーの所長にもちかけました。

「YN旅館の娯楽場は、ロビーの直ぐ傍だし稼働率もいいでしょう。あそこを
そっくり譲ってくれる気持はないですか?」

驚いてしばらく考えていましたが、

「確かにあそこは売上も悪くはないですし、、しかし、設置台数も多いし、そ
んなですから機械の入れ替え要求もキツイから、、ちょっとまだ手に余る..早
過ぎるんじゃないかな〜。設置してある機械も比較的新しいものばかりなので
初期投資の金額もかなりの額になるよ〜」

しかし、それまで負け知らずで順調に成功してきていましたし、強気の一点張
り、「な〜に、オレがやればもっと売上を伸ばせるし、支払いに収益が足りな
くても、今までの機械から上がる利益で補えるから大丈夫!」

では、東海地区部長と相談してみます、と所長が帰っていきました。

タイトーは、伊豆箱根地区で圧倒的なシェアを占有していて、全国的にみても
タイトー全体の売上の3分の1ぐらいを占めていたようで、神奈川・静岡地域
の地区本部も、横浜ではなく熱海営業所の中にありました。

数日して、「地区部長もやっぱり早過ぎるんじゃないかと懸念していましたけ
ど、あなたの今までの実績なら大丈夫かもしれないから、やってみてもらおう
かということになりました」

正確な金額は忘れましたが、全部で600万ぐらいだったと思います。

しかし、自身満々で始めたYN旅館の娯楽場経営でしたが、世の中、そうそう
甘くはありませんでした・・・・

まず、その頃にはもう、勤めているホテルの期待のホープ、みたいな感じで、
そこそこは知られる存在になっていましたから、自分で他のホテルの娯楽場に
行って、あれこれいじくりまわすことができません。セガと同じように、タイ
トーの修理屋さんにお小遣いを渡して、あれやって下さいこれやって下さい。

ーーーしかし隔靴掻痒、自分でやるようなわけにはいきません。

売上は、上がるどころか、引き継いでからダウンする始末・・・甘かった!!

どう計算してみても、それまでの手持ち機械の利益をつぎ込んでも賄いきれる
金額にはとうてい及ばない・・・どうしようか??

どうしようかと悩んだところで、こんな内職でチョボチョボ稼いでいるだけの
担保も何もない小僧に銀行が融資なんかしてくれるわけもなく、、万策尽きて
タイトーの熱海営業所=東海地区本部に地区部長を訪ね、火の出るような恥か
しさに耐えながら、

「自分の慢心で大間違いをしてしまいました。どうヤリクリしてもどうにもな
りません。手形が不渡りにでもなったら部長にもご迷惑をおかけしてしまいま
す。勝手過ぎるお願いですが、この契約の解除をお願いいたします・・・・」

当時の東海地区部長は、飛ぶ鳥落とす勢いがあり、太っ腹でした。

「わっはっは〜、ダメか?俺もまだ早過ぎるんじゃないかと思ったんだが、君
の優秀なことは聞いていたからOKしたんだが、まあ、ダメだとなったらジタ
バタしてもキズを深くするだけだから君のためにもならんし、タイトーとして
も困る。よし分かった!契約は解除しよう!暫くは地道に頑張ることだよ!」

「・・・・・・・・」

〜〜〜 一敗地にまみれた、最初の挫折でした。

                           = つづく =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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