☆ 神様が采配した運命? ――――――――――――― 2008/01/20
by 老玩童 OJIN
それから程もない頃、セガの競争相手、伊豆箱根地区で8、9割のシェアを占
めているタイトー貿易の伊豆箱根営業所の所長が、成績のいいのを聞き及んだ
らしく、やってきました。この頃はもう、娯楽室・第二売店のことはお前に任
せるから、いちいち聞かないでも、お前の裁量で全部決めていい、と支配人か
ら言われていました。
タイトーの所長は、セガの営業マンとは正反対の生真面目タイプの人でした。
「このホテルができるとき、東京で業者を決めたのでウチは負けて、今まで取
引はありませんでしたけれど、1台でも2台でもいいですから、ウチの機械も
置いてもらえませんか。ジュークボックスなんて、セガのラッコーラーに比べ
たら、ウチのシーバーグは音もいいし故障も少ないし、問題になりませんよ」
それまで、ジュークボックスは地下のクラブと娯楽室に1台ずつ設置されてい
ました。地下のほうは160曲収容のタイプ、娯楽室のほうは100曲収容の
タイプで、どちらもセガのラッコーラー社製のものでした。
たしかにジュークボックスは、ラッコーラーよりもシーバーグのほうが格段に
いいことは分かっていて、憧れもありました。しかし、このホテルで入れ替え
をするとなると軋轢が大き過ぎる・・・・
もう、クレーンは2台になっていましたが、それでもお客さんが多くて順番待
ちの状態になることが多かったので、「じゃー、クレーンを1台入れてみてく
れませんか、それと、ピンボールの面白いのがあったらそれも1台入れて下さ
い」
セガ1社だけでは、どうしてもナアナアになって狎れがでて、レンタル機の入
れ替えも間遠になり、同じものが並んで客に飽きられる、、ちょっと驚ろかせ
て競争心を煽ってカツをいれてやろう・・・・
タイトーは張り切って、クレーンは自社製のもので当たり前のものでしたが、
ピンボールは新品ではありませんでしたが、かなり新しいタイプの面白いもの
を持ち込んできました。
セガが扱っていたピンボールは「ウイリアムズ社」「バリー社」製のもので、
タイトーのは「ゴットリーブ社」で、基本は同じですが、かなり雰囲気の違う
ものでした。
そうした日々を過ごしながら考えました。
もうここまで来てしまったら、今更スタートに戻って大学進学というのはムリ
だ。このままこのホテルで頑張っていれば、ゆくゆくは支配人になれるのはほ
ぼ間違いないだろう、、けれど、オレはその人生で満足できるだろうか、、。
絶対成功して、あの狩勝峠を戻って錦を飾ってやる!ーーーそれは確かに、箱
根でも中堅以上のこのホテルの支配人になれれば、成功は成功に違いないけれ
ど、オレの才能はその程度で終らせるには有り余り過ぎているんじゃないか?
どうも、軽薄で小賢しいところがウィークポイントでございます。(-ε- )
この10円玉商売・・・世間のほとんどの人は知らないけれど、チリも積もれ
ば、バカにできないどころじゃない売上を上げられる。何より、人が寝ている
ときでも機械は文句を言わずにカチャポンカチャポンと稼いでくれる。
こういう環境に身を置くようになったのも運命‥‥神様の采配じゃないのか?
:
この道に賭けてみてもいいんじゃないだろうか?
タイトーの機械を入れたことで、セガも必死になり、あの調子のいいセガの営
業マンも頻繁に来るようになる、、タイトーはせっかく築いた橋頭堡を失うま
いと力を入れて通ってくる。当然両方からオイシソウな話が持ちかけられて、
支配人からは、いちいち相談しなくてお前の裁量で全部やっていいと許可され
ているわけで、セガ、タイトー両社を手玉にとって、思う存分力を振るったら
さらに売上はアップして、月によっては売上でも第一売店を抜くようになって
きて、利益率では文句なしのダントツでしたから、付帯営業部門のトップ!
クラブのオッチャンは、ヤッカミではなく、
「お前が頑張って、万年ドンケツの娯楽室をトップに持ち上げた。お前は才能
があるからまだまだ伸ばすことができるだろう。俺もな、東京でソコソコ以上
に成功して、何十万ぐらいのカネなんかカネじゃない!という成功をしたこと
もある。お前は、必ずおれより大きなカネを掴めるようになる、、と思う。
けどな、才子才に溺れるというか、そうなると人間は慢心する。神様は公平だ
よ、その慢心の先にはな、真っ暗な地獄への穴がポッカリと大きな口を開けて
待ち構えているものなんだ。お前は必ず成功する。だけど、慢心しちゃダメだ
ぞ!」ーーーと忠告してくれました。
山も谷も越えてきた人生の先輩の、浮き沈み体験に裏打ちされた真摯な忠告。
しかし、21才、人生経験僅少の若造には、、そんなありがたい忠告も、右の
耳から入って左の耳へと、ス〜〜〜ッと通り過ぎていってしまったのでござい
ました・・・・
= つづく =
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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