我が人生三分の二故事
☆ 仕事に専念! ――――――――――――――――― 2008/01/20
                         by 老玩童 OJIN

なんか、随分アッサリと結婚を決めてしまったように感じられると思います。

性欲が他の人より強いということは自覚していましたから、和子さんに寝床の
中に引き込まれそうになったときは危うく踏み止まることができましたが、で
も、あの時清美の存在がなければそのまま引っ張り込まれて、その後は和子さ
んの若いツバメで、豊満な肢体の肉欲に溺れる怠惰な日々が待ち受けていたで
しょう。

その他にも、自分がその気になりさえすれば、そんな機会は直ぐ手の届くとこ
ろにいくらでもありましたーーー。こんな、オトコ体験豊富で、しかも今現在
は男ッ気のないオンナの群れの中にいたら、人一倍性欲の強いオレが長く保つ
はずがない・・・・

また和子さんみたいに誘われたら、清美は鉄板の心を閉じたままだし、オレは
きっと誰かに乗っかってしまうことになる..それがいい相手だったらいいけれ
ど、弾みか勢いで変なのに乗っかっちゃって....離れられなくなったら一巻の
終りじゃないか・・・・

それなら、そんな危ない場面に遭遇しないうちに、さっさと結婚してしまえば
性欲も発散できるし、手を出してくる女もいなくなるだろうし、仕事に専念で
きるじゃないか!ーーーーそう考えて、サッサと結婚してしまおうと決心した
のでございます。

で、仕事に専念!

第二売店の業務はともかくとして、娯楽室の仕事の中心は、やっぱり遊戯機。

こういう観光地のホテルの遊戯機は、ホテルが買い取ったものと、遊戯機の業
者が賃貸=レンタル)しているものと、2つの方式がありました。ビリヤード
や卓球、売店を作るときに取り払ったレーシングサーキットなどは買い取りの
ほう。

その他の、ジュークボックスやクレーン、他の電動式の遊戯機は、遊戯機業者
からのレンタル制になっていました。買取の機器の売上は、これは当たり前で
百%ホテルの収入になりますが、レンタル機器の場合は、キャッシュボックス
の鍵は遊戯機業者が管理していて、それが10日に1度とか定期的に巡回して
きて、ホテル側の係員立会いでキャッシュボックスを開け、

中に入っている硬貨を数えて、例えばホテル側30%、機器の業者側70%と
いうようにその場で分配します。この比率は、業者によっても、また設置店の
売上によっても変わり、売上の悪い設置点では業者側9割、なんてこともあり
ましたし、逆にとても売上のよい設置店ならば、業者側が5割なんてこともあ
りました。

このときのこのホテルは、ホテル側が3割でした。

このとき設置されていた電動式遊戯機のほとんどは、セガ・エンタープライゼ
スというアメリカ資本の会社で、遊戯機業者としては日本で一番大きな会社で
した。社長や上級幹部はアメリカ人で、アメリカで使われて中古になった遊戯
機を輸入して再生し、販売したり、こういうレンタルで運営していました。

最初は、終戦後進駐してきたアメリカ軍と一緒にやって来て、アメリカ軍基地
やアメリカの軍艦の中(アメリカの軍艦の中にはゲーム室があるんです!)で営
業していたのが、だんだんと観光地などにも進出してきていたのでした。

同じようにアメリカ軍にくっついて日本に来ていたタイトー貿易という会社も
あり、セガと同じようなことをやっていました。日本の純国産業者も勃興しつ
つはありましたが、まだまだ規模が小さく、セガとタイトーが圧倒的なシェア
を占めていました。

なかでも、日本全国のシェアは圧倒的にセガ、という状態でしたが、この伊豆
箱根地区に限ってだけは、タイトーがいち早く進出していたので、この地区だ
けでいえばタイトーが8割から9割?のシェアを占めていました。

さて、

このホテルは、伊豆箱根地区では劣勢のセガの遊戯機を使っていました。伊豆
箱根地区では劣勢ながら、日本全国では絶対優勢を誇っているわけですから、
機器に見劣りはありません。

いろいろな工夫によって娯楽室の売上がジリジリと上昇してきた頃、支配人に
提案しました。

「支配人、クレーン機なんですけど、買取にしてくれませんか。新品で40万
円ですけど、今あるレンタルの古いクレーン機の売上がこれこれで、景品を約
30%とられますから純売上はこれだけで、今のは機械が古いから故障すると
修理に来てくれるまでの間使えない状態が月のうちに*日間あります。新品で
それがなくなれば、純売上げがこれだけ見込めますから、*ヶ月でモトが取れ
ます。その後は利益だけになるから丸儲けで、税金の心配だけですよ」

実績が出ていましたからスンナリOKが出て、これで売上大幅アップ!!

次に、

オートルーレットという、今から思えば実にチャチな遊戯機がありました。

当時は、賭博遊戯機に対する厳密な法規定がなく、このオートルーレットは、
ここぞと予想するところに10円玉を投入して、スタートボタンを押して・・
見事当ると配当の10円玉がバッシャン!バッシャン!打ち出されてくる、と
いうシロモノでした。

この遊戯機だけはセガからのレンタルではなく、別の純国産業者からのレンタ
ルでした。ーーーこの遊戯機は、かなり人気はあるんですが、惜しむらくは故
障が多い、、業者の巡回員がキャッシュボックスの中の売上を計算しに回って
くるときは大抵故障で停まっていました。

ある日回ってきた巡回員に、「しかしボロだね〜この機械は。ねえ、今ホテル
側の歩合は30%だけど、それを40%にしませんか?そしてあなたのその鍵
をオレに預けなさいよ。故障したらオレが直してやるから。今は半分しか動い
てないから100だけど、そうして休みなく稼動できるようになったら単純に
200でしょ。100の70%と、200の60%、どっちが有利?」

上司に相談してみますと帰っていって、もちろんOK♪ホテル側も30の収入
が80にアップ!

次に考えたのはピンボール=フリッパー)。

今でもゲームセンターにありますけれど、今のは電子式で、音響も音楽並の凄
いやつですけれど、当時のはチンカンポンチンカンポンとベルの音みたいな、
実にのどかなものでございました。動作もすべてリレー式で、胴体の中は気の
遠くなるような数のリレーと配線がのたくっておりました。

中をいじくるなんて、とても知識がありませんから、得点に対して、何点以上
になったら景品にタバコとか、ゾロ目の点数で終ったらどうとか、得点の最後
の数字に本日のラッキーナンバーを決めておいてもう1ゲームサービスとか、

得点の各桁の数字を合計して、オイチョカブのオイチョだったら記念品、得点
の最高記録を更新すれば、得点と名前を張り出す、クラブのオッチャンに倣っ
て、ピンボールの好きな従業員連中とは賭けてやる。とはいっても、賭け金が
安いので、大体は場代=プレー料金で消えてしまうんですけど、娯楽室の売上
は上がります。

こうした様々な工夫で、遊戯機業者の巡回員に聞いてみると、この一帯の同じ
ようなホテルの娯楽室の中ではトップの売上で、箱根では数千名収容の小涌園
ホテル、熱海でもニューフジヤホテルやつるやホテルなどの大ホテルには及ば
ないけれど、規模が似通ったところならダントツ、ということでした。

                           = つづく =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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