我が人生三分の二故事
☆ 結婚する ――――――――――――――――――― 2008/01/20
                         by 老玩童 OJIN

ある日、秋子さんが、
「あんた、あの喫茶部の娘と怪しいんだって?清美ちゃんはどうするのよ?」

「い、いや、なんも怪しくなんかないですよ..普通に相手をしてるだけじゃな
いですか‥‥」
「みんなはそうは思ってないし、第一、あの娘は完全にあんたに惚れてるよ」

「か、彼女がオレに‥‥惚れてる‥‥んですか?」

「まったくもうこの朴念仁!あ〜〜、あたしやもうどうなっても知らないよ」

そう言われてから注意して眺めてみると、、う〜〜ん、たしかに彼女の態度は
好意以上かもしれない‥‥‥何をどう謝っても許してくれない厚い氷河みたい
な清美‥‥‥そういう目で見てみると、、この娘、スタイルはピカイチだし、
貌だって十人並み以上、頭もいいし気立てもいいし、う〜むむむ・・・・

あらためて自分の心の中を見直してみるとーーー

鉄板みたいにカンカンで絶対許してくれない清美、、に少し嫌気が差しかかっ
ている、、あれ?この子に気持が傾きかかってる!?

そんなふうに意識しだすと、そういう気持がますます脹らんでいって、、そう
いう感情は相手には直ぐに伝わるようで、喫茶部の仕事がないときは娯楽室に
入り浸りになって、

娯楽室の周りの、壁の一方は大きな窓が連なっていて、その対面の、少し高い
位置に女子寮があって、女子寮からは娯楽室の中がよく見渡せるようでした。

ある日、清美と仲のいい夕子さんから、「清美ちゃんが、いつも寮から娯楽室
を見てあんたと喫茶の娘が仲良くしてるのを見ているよ」と告げられました。

エッ!清美が女子寮から見てる?!

ーーーそれから、

寮で酔っ払って酒瓶を壁に叩きつけて割ったとか、ちょっと尻を撫でたお客さ
んにビンタをくらわせたとか、泊まり番の時にパントリーで酔い潰れていて、
コールがあっても仕事ができなかったとか、

荒れている清美の話が、頻々と聞えてくるようになりました・・・・

そんな清美をみていて、清美との仲を知っている女中さんたちが、いろいろな
イヤガラセを彼女にするようになって、、、清美の心情を哀れとは感じながら
も、ならばどうして今まで鉄板みたいにカンカンに拒絶してたんだ、、転がり
だしてしまった心は、もう停まらないよ・・・・

彼女が仕事場や女子寮でイジワルされている話を聞くにつけ、ますます心が傾
いていって・・・とうとう、ある日、

「明日の夜、○□旅館に一緒に泊まりに行こう、いいだろ」

と告げてしまいました。

一瞬ポカンとした後、何も言わずにコックリと肯きました。
・
・
仲良し5人組でいつも利用していた旅館ですから顔馴染。仕事が終ってから先
に行って彼女を待つ――――。少し遅れて部屋に入ってきた彼女。深夜でした
から布団が延べられているその端に正座して、うつむいて、

こちらも反対側に正座して、

「オレは、遊びであなたとこうなるわけじゃない。今度の休みには二人で役場
に行って婚姻届を出そう。証人にはフロント長と女中さんの**さんになって
もらうようにお願いして、もうOKをもらってあります。オレはまだお金もな
いけれど、これから頑張って必ずあなたを幸せにしてみせます。これから幾久
しく、よろしくお願いいたします」

「こんなわたしなのに‥‥ありがとうございます‥‥ほんとうにありがとうご
ざいます。あなたも薄々はご存知の上でこうして頂けたと思いますので、わた
しは、わたしの全部を知ってもらって、それでもよろしければあなたの奥さん
にならせて頂きたいと思います。よろしいでしょうか」

「わたしは、ご存知のように東北の田舎の**から、高校卒業と同時に東京に
出てきました。知人の縁で紹介してもらったクリーニング店に住み込みで働き
始めました。‥‥‥‥‥‥そこで、」

「そこの主人に強姦されて処女を失くしました。‥‥‥イヤでイヤで、逃げた
かったけど、行くところもなくて、半年ぐらいそんな生活をしていました‥‥
でも、奥さんにバレて、追い出されて‥‥‥そしたら、前に店にいた、あなた
もご存知のあの人が助けてくれました」

「あの人は、わたしと店の主人の関係を知っていましたし、凄く嫉妬深い人で
‥‥後はあなたがご存知のとおりです‥‥わたしはこんな女です。こんな女で
もよろしければ、こちらこそ、どうぞ、どうぞ、よろしくお願いいたします」

ーーー二人の初夜がどんな様子だったのかは、もう覚えておりませんーーー

約束どおり次の休みの日に婚姻届を出して、、けれどホテルには夫婦者の宿舎
はありませんでしたから、お互いが欲しくなったら、初夜のときのように別の
旅館に泊まらなければなりません。それでは不便、、も、さることながら、い
くら安い旅館とはいえ、お金がたまりません。

ーーー半月ほど経ってから、ホテルからさほど遠くないところに小さな部屋を
借りました。

                           = つづく =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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