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〜〜〜 業界の内部から 〜〜〜 |
☆ 某医療機器メーカーで20年 ―――――――――― 2009/05/06
by RYU さん
ーーー高校卒業後、すぐに東京に本社のある医療機器メーカーに就職。
はじめの数年は、研修と勉強の為に東京で生活。80年代前半で手取りが9万
円。家賃はないが、光熱費などはすべて自分持ち。初めは要領がつかめず、給
料日一週間前になるとお金がなくなり、だいたい2〜3日は食事なし。
でも馬鹿だから、給料もらうとまた一週間で半分使ってしまい、次の月も同じ
ことの繰り返し。東京生活始めて3〜4ヶ月はこんな感じで、体重が10キロ
減。ーーーマジで馬鹿ですねーーー
で、夏頃までには何となく要領を覚えて、普通に生活がおくれるようになるが
ーーー体重は戻らず。
会社での担当は営業。
販売商品が大型の医療機器がメインの会社で、基本はルートセールス。大きな
総合病院がメイン。で、器機の特徴と癖を覚えたら、他には会社や上司からは
特別教えて貰えることはない、と上司から言われた。
確かに営業に教科書はない。ーーー会社を辞めるまでそう思っていた。今にし
て思えば、そんなことはない。営業であってもマニュアル的な教本はできるは
ず。
例えば、いくつかにお客様を分類して、どの分類のお客にはどのような接し方
が良いかなどと、簡単にでも取っ掛かりをつかむ方法を共有できるはずだし、
逆に上司は、部下や社員に対して、それら社員をどのような営業マンに育てれ
ば良いかを考察し、指導できるはずである。
一般の会社なら当然やっているのかもしれないが、私が就職した会社には残念
ながらそのような形態は存在せず、すべての上司は、ただ売り上げ目標を示す
だけの存在でした。
普通の新入社員は、東京本社は3年ほどいるはずなのだが、扱いに困ったのか
1年も経たずに、本来の採用地の営業所へ移動。ーーーで、営業所でも特別な
レクチャーはなしにいきなり○○県を担当。
18歳の小僧が、一流(?)医療器機メーカーの普通の担当者扱い。前任はその
営業所の所長。当の本人(営業所長)が、人手不足だから新入社員でも誰でもい
いから本社から営業マンをよこせと本社に掛け合ったが為に私が戻されたとの
こと。
最初はキツかった。初めの一年はただただ足を使って回るだけ。売り上げもな
いし――――。
医療器機の販売は独特な販売ルートがあり、メーカーが直接病院に対して商品
を販売することはない。問屋さんと呼ばれるディーラーさんが必ず仲介として
入る。そして商品を病院に販売するまでに、それらディーラーが途中何社も通
過するときもある。
競合するライバルメーカーの卸ディーラーを説得したり(メーカー同士が折衝
すると、基本的には折り合いがつけ辛いので、そうなる事はことはまずない)
当然ですが、大きな卸ディーラーはいくつもの大手メーカーを抱えております
から、代理店としてライバルメーカーと同じディーラーがあったりする。で、
その調整や卸金額の折衝と駆け引きがすごく多い。
その上、性質[たち]が悪いのは、これら大手ディーラーは、病院全体の商品を
抱えているが為に、個々のメーカーの商品特性をほとんど覚えていないし、覚
えようとしない。
そのようなディーラーの一般的な営業マンは、都合の良い時に都合の良いメー
カーに情報を流したり使ったりとなるので、ディーラー頼みにしてしまうと全
く注文が回ってこない。
よって、メーカーが自分で病院の販売先現場にも回らなければならない。これ
らの大手ディーラー以上に、頻繁に現場を訪問し自分のモノにしなければなら
ない。そうすることによって、商品選別を現場にしてもらい、商品販売の主導
権をメーカー側が握らないといけない。
現状、公立の総合病院などは、1千万円以上の物の購入は入札、それ以下は随
意契約(俗に随契)となる場合が多い。
私の勤めていた会社は、検査器機と中央オペ材料室関連の二本柱がメインの会
社で、検査器機は大体5万円から800万円までの価格帯。これらのほとんど
が随契。(当然入札の場合もアリです)
中央オペ材料室関連商品は、5万円から1億円程度のものまで幅が広く、また
セットで購入する場合はさらに高額になるので、基本的に購入形態は入札にな
る場合がほとんどです。
例えば800床クラス以上の総合病院を新築した場合、中央材料室(オペ室は
含まず)一式を購入するだけで定価で3億円以上になります。
最近は一次洗浄を病棟現場で受け持つか、中央材料室で行うかによっても購入
器機が変わるので金額は上下しますが、だいたいこのような金額ですから、当
然競争入札になります。
ただ私の在籍した会社に都合が良かったのは、すべての商品を自社で揃える事
ができた事。中央材料室の器機商品をすべて1メーカーで揃える事ができるの
は、世界広しといえども我が社だけで、入札時に有利なのです。
すべての仕様を弊社用にしてしまう事ができる為、商品によっていろんなメー
カーを寄せ集めた場合と違い、メーカー同士の折衝調整が不要な事。これによ
り入札金額が出し易いのと、入札仕様書を我が社のみで作成してしまえる事。
これで時間もかからず、いち早く入札仕様書を現場に提示し、そこで納得して
さえ貰えれば、入札を形骸化してしまえる。要するに随意入札となる訳です。
これにより我が会社は、業界のナンバーワンの座を確保してきた訳です。
しかし、残念ながら最近は、それらの販売方法の秘訣(マニュアル)が新しい社
員に浸透していないが為に、うまく機能していないようです――――。
新築ではなく、器機更新時は当然この手は使えませんから、まずは新築時に納
入する事が一番なんですが。
また、今度は器機更新時の器機選択なのですが、当然今使用しているメーカー
には一番にお声がかかる訳ですから、納入さえしていれば情報漏れが少なくな
ります。一つの機器あたりが1千万円以上の器機ですから、逃がしたら大変で
す。
単純にですが、例えば人口800万人のある県がありますと、だいたいその県
にある全ての総合病院の中央材料室の器機の総額が、定価で約80億円ほど。
それらの器機が12年で更新時期=減価償却年数が4〜8年なので、その倍の
年数以上はしよう)がくると換算すると1年あたり6億ちょい。
当然定価ですから購入金額はもっと下がりますし、前出のように中間マージン
がディーラーさんにかかる訳ですから、メーカーの売り上げは相当少なくなり
ます。もちろん総額ですから、他社に負けたりすれば売り上げはもっと少なく
なっていく訳です。
そうなると1千万もするような器機を一つでも落とすと大変な事になります。
私の会社は、だいたい市場の70%のシェアを握っていましたから(今はもっ
と低いようです)定価で4億円分以上は納入していました。
また、検査(病理器機)も同様な状況で、器機一式を弊社のみで納品できた状況
にありましたから、中央材料室と同様の販売戦略で同様のシェアを維持してい
ました。
ちなみに検査器機でいいますと、同様の県で定価30億と換算し、更新10年
として1年あたり定価で3億円。同様のシェアとすると、定価は2億の売り上
げがある状況でした。
その営業を18歳からする訳ですから、ストレスは並大抵のものではありませ
ん。ーーー2年とたたずに十二指腸潰瘍です。病院周りが病院通いになる。た
だ都合が良いのは、お客さん(看護士)からドクターを紹介してもらえる事でし
たが、実際よく考えたらそれもどうでしょうね。
病院の現場のお客様や、ディーラー担当者たちには、10歳ほどサバを読んで
30才ぐらいと説明してお仕事にいそしんでいました。----今その方々とお会
いして実際の年齢を話したら、多分詐欺師扱いでしょうね----
でも年齢サバ読みは成功でした。2〜3年の駆け出し営業マンでは信用が薄い
(≒ない)でしょうが、10年もやってると思い込んでもらえると話が早いんで
す。今までそうしてきたからと言えば信用してもらえるし、その信用が次の信
用につながる訳ですし。----ただストレスは同じですけど----
初めは、商品販売時に入札になってしまう事に相当悩みましたが、途中で自分
の考えをお客さんに話すようにして切り替えました。
何を話すかというと、入札になったら落とす(落札する)つもりはないと言うん
です。要するに、金額を高くして入札しますとーーー。随契なら金額を相談に
応じますと。そうすると、多くの方が随契にしていただけました。
もちろんそうする為には、自分の商品が一番良く魅力的で、お客様が一番欲し
い商品である、ーーーと思い込んでもらわなければなりません。それらが成功
した後に入札をしたくない事、入札よりも随意契約のほうが魅力的である事を
お願いする訳です。
全てうまくいく訳でもないですし、状況によっては入札を飲まざるを得ない状
況もあります。その時はハッキリ自分の営業の負けを認識し、目一杯の金額で
入札する時もあります。
ただそんな状況は年に一回もありません。2〜3年に一回ぐらいです。
ただし、あくまで目標は随意契約。なぜこだわるかというと実績なんです。
入札は、実績として他病院に公表されてしまう恐れがあります。そうする事に
より、他病院での納入金額の低下に繋がりますし、一番迷惑なのは、他地区で
それらの実績が出回りますと、他地区の同僚営業マンに多大な迷惑をかけてし
まいますから、そのような事は避けたいところだったので。
で、そんな会社にいくつか意見もあったのですが、言い出せずに退職となって
しまいました。
一つは、営業を育てる方法。
上でも少し触れましたが、人材を育てるマニュアルがない。別に紙になってな
くても良いと思うんです。ちゃんと代々受け継がれれば。大体中小企業ですか
ら、形式張った物でなくても良いと。
人が人に受け継ぐものって、自然とあると思うんですね。日本人ですから精神
論的になってしまいますが。日本人ですと、技術の伝承も紙面などではなく、
目上の技術を見て盗めってよく教えられるじゃないですか?
そんな感じで良いと思うんですね。上の者が分かりやすいように見せれば良い
と思うんです。腕があるなら恥ずかしがらずに。日本人は、根っからの技術肌
だと思うんです。
後は世界戦略。
日本人にとっては働きやすい、日本人的なとても優良な会社であるほど、海外
進出は苦手のようです。ーーーでも日本には、すごく優秀な技術を持った会社
がたくさんあります。このまま指をくわえて、他国に世界全体のシェアを持っ
ていかれるのは勿体なさ過ぎ。
―――でもってここからは、業界の内部からとは直接関係ありませんが―――
海外での成功の秘訣は、ダブルスタンダードが可能な会社。
日本国内に対しての日本的優良会社はそのままに、海外に出るときは、露骨に
思われるくらいにエゲツナイ会社でちょうど良いので。
日本の会社で多いのが、日本の常識を海外の会社にまで持ち込んで社員教育し
たり、社風を日本本社をスタンダードにするのはやめましょう。
“日本の常識は1割も通用しません”
日本から出た事のない人たちは、何度もこう聞かされて解ったつもりになって
も、結局解っていない。ーーー本当に通用しない事を身をもって知ってから、
どんどん世界に出るべきです。
一度ひとりで現地に行って、自分ひとりの頭でどうしたいのかを考えるべき。
その結果を相談しながら育てるほうが良い。
そして基準は現地。
日本人が会社を海外に出すときによく勘違いするのが、基本の考え方。日本人
が会社を海外に出すと、基本は日本本社。そこに現地の必要な部分、良い部分
を取り入れる。ーーーこれは良くない。
そうではなく、基本は現地。現地(海外)の地場の会社の考え方を基本にし、そ
こに日本の良い部分をミックスしていく。
よく日本人が海外進出を考えるときに、現地視察ででうまくいっている地場の
会社の説明を受けるとよく口にする言葉が「日本のやり方を勉強してるんじゃ
ないか!」と。ーーーそして自分たちもうまくいくと思い込む。
違います、基本の根底が。
現地の会社(ここでは特に上海)は確かに日本の事を勉強している。そして勉強
している所(会社)に限って上手くいっているところが多い。でも違うんです。
逆なんですね、考え方が。
現地の会社は現地の方法を基本にして、そこに、日本の良いところを少しずつ
ミックスしていくんです。日本の会社は、日本のやり方が良いからといって、
日本のやり方に現地の風習を取り入れていく。
これでは全くの逆ですし、うまくいかない場合がほとんど。似ていますが根本
が違いますから。
日本国内でもそうですが、もちろん海外で会社を運営しても毎日色々な問題が
当たり前のように発生します。但し、日本国内で発生する問題とは全く違い、
想像もつかない変わった問題ばかりです。----現地では普通の事ですけど----
此処が問題で、問題が発生したときの対処手順・方法が全く違います。日本を
基準に考えると解決しません。ーーーですからあくまで、海外の会社はその現
地の考え方を基本におかなければならない所以なのです。
でも、逆に海外でうまくいった方法を、本社で採用してみたりしないで。
日本国内に、いきなり世界スタンダードを持ち込んでも通用しませんし、どん
どん日本の良いところが急速に失われていってしまいますから。そのような事
はやめてください。
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日本の病院内部や中央材料室・高圧蒸気滅菌装置(オートクレーブ)・病理機器
に関して、技術的な事を20年以上培ってきております。ーーー何か必要な事
・質問等があれば、どうぞお問い合わせ下さい。
= おわり =
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