横田増生著「フランスの子育てが日本の10倍も楽な理由」という本に、年越
し派遣村村長の湯浅誠氏が寄せている推薦文がある。
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広く世界に目を向けよう。正社員賃金カットの前に、家計負担を軽くしなけれ
ば少子化は進む一方だ。収入だけに目を向けるのではなく、家計支出にも目を
向けてみよう。
なぜ私たちはこんなに稼がないと、まともに子どもを育てられないのか。今の
日本は支出が高過ぎる。教育・住宅のセーフティネットがないために、働いて
も働いても余裕がない。
高すぎる教育費・住宅費が、長時間労働とサラリーマン戦士をつくる。取り残
された非正規社員は結婚もできないし、子どももつくれない。誰もが安心して
子育てできる国にしなければ、次世代はいったい誰が担うのか。
日本ほどの急激な少子高齢化は自然現象じゃない。本当の少子化対策のヒント
がここにある。日本の将来を憂うすべての人に読んでもらいたい。
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彼の論の主旨は、お金がないから子供を作らないのだということに尽きる。
そしてその原因の全てが政治にあるというのだろう。なぜ全てが受身で、金が
あれば子供だって産みますよと言えるのだろう。
「皇帝アウグストゥスに学ぶ(上)」で述べたように、日本の合計特殊出生率が
下がるのは、日本が豊かになりつつある時からであった事実の他に、
世界各国の所得と合計特殊出生率の関係を端的に示す本川裕氏のデータがある
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/1563.html
相関係数0.66という、社会科学では極めて高い関係で、豊かになるほど合
計特殊出生率が下がる、明らかな逆相関があるのだ。それは湯浅氏の「お金が
ないから子供を作らない」論とは全く相容れない。
ーーー豊かになると少子化になるのは人類の常なのである。
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その下に、先進国では、所得水準の高い国で合計特殊出生率が高いというデー
タが示されているが、私は違うと思う。相関係数は低く、また、マカオ、香港
などを入れると様相が異なる。
このデータは、出生率1.6を境にして、上のグループと下のグループに区分
されると見たほうが正しい。そして、2つのグループ内では、所得水準と合計
特殊出生率は全く相関していないというデータである。
上下のグループの区分は、有効な少子化対策の有無ではないかと思う。
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確かに、フランスは先進国の中で少子化対策に成功している国である。GDP
比で、かなりの額を少子化対策にかけている。しかし、お金を掛けたら少子化
が改善されるかと言えば、そうではない。
合計特殊出生率と少子化対策費との相関よりもかなり強い相関で、老齢化対策
費と少子化対策費の比率と合計特殊出生率との間に関係がある。
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/1586.html
相関係数0.41だから、かなり良い相関とみなせるから、少子化対策にお金
をかけることが決め手ではなく、老齢化対策に比して少子化対策を多く施すこ
とが肝要なのである。
その理由は、本川氏のコメントの主旨通りで、
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少子化対策レベルそのものより、高齢化対策に対する少子化対策の相対ウェイ
トが高い国ほど出生率も高いという傾向が見られる。福祉国家の発達により、
高齢者扶養が私的扶養=自己負担扶養)から社会的扶養=社会保険や税による
扶養)に変化したのに、
子育てが私的扶養でのみあり続けると、子供を産み育てることなく、高齢者に
なったときは社会的な便益を受けよう、とする者が増えることが示されている
と思われる。
即ち、子育ての費用を負担せずに相対的に豊かな生活をして、高齢者になった
ときには、若い世代から子育した人と同じだけの社会的扶養を受けられるため
子供を産み育てないほうが有利、とする者=フリーライダー)が増えるのであ
る。
└--------
というものである。
私は基本的にこれが少子化の大きな原因だと思っている。特に女性にとって、
子供を産み育てることから解放されて自由に生き、そして子育てした人と同等
の老後が送れるのなら、こんな得した人生はないと思うのではなかろうか。
これは子供を育てようとする外因的動機が弱いことを証明しているのである。
従って、外因的動機が強くなるような施策が必須といえる。
しかし、日本の少子化対策は、主として既婚者を対象にしたものである。すな
わち、子供を持ちたいと思っている人が、出会う困難をできるだけ少なくする
対策で、いわゆる阻害因子の排除が主となっている。
だが、問題は内因的、外因的動機を強めて、未婚率を低下させねばならないこ
となのだ。ーーーそのためには、子供を持った人と持たない人との税負担を、
明確に変えるべきである。
なぜなら、子供を持ち育てるのは、次世代を支える公共財に対して投資をして
いるのと同じである。その額は、生まれてから21歳までで1人当り2400
万円とも3000万円とも言われている。
現在の所得税の扶養家族控除は38万円/年だから、扶養家族の期間21年と
しても、約800万円の基礎控除でしかない。この基礎控除では、税金が高い
人でも、せいぜい300万円強の税額控除でしかないのだ。
従って、子供を持たない独身者や夫妻に、40年で子供2人分の養育費に相当
する税金=税額が5〜6千万円)をかけるべきなのだ。ーーー年平均として、
少なくとも120万円の税金を増やすのである。
これは、公共財に対する投資をしない人が当然負担すべきペナルティである。
子供のできない夫婦には残酷だという意見があるかも知れないが、公共財への
投資をしていないのは変わらないのだから、負担すべき責任は変わらない。
= この稿つづく =
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┃●┃ 読後アンケートの結果。
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◇ この説に賛成 ---------------------------------------- 45人 (59%)
◇ どちらかといえば賛成 -------------------------------- 16人 (21%)
◇ どちらともいえない ---------------------------------- 2人 ( 3%)
◇ どちらかといえば反対 -------------------------------- 4人 ( 5%)
◇ この説に反対 ---------------------------------------- 9人 (12%)
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┃●┃ お寄せいただきましたご意見や感想。
┗━┛
┌──────────「WANNA BE SMARTさん」
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日本の少子化対策は、主として既婚者を対象にしたものである。
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こんにちは、おっしゃるとおりですね、気がつきませんでした。
子供を持つほうが得になるように、子供を持たない者はなにか国家・地方自治
への貢献をする制度にしないと人口は増えないと思います。
子供をもうけることは、国を豊かにすることなのですから、それをしない人が
他の方法で国や自治体に貢献をしなければならないのはきわめて合理的です。
要は、現状は、個人の有利が国にとっての不利になっているわけですが、国に
とっての有利が個人にとっての有利になるようにしなければなりません。それ
こそが国の戦略を考えるということだと思います。
ーーー少子化担当なんて置いて、それで済む話ではないですよね。
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
なるほど、税金を増やす方法だけではなくて、ボランティアを選択するという
方法もありますね。確かに、そういうことで、全体に対する奉仕をすることで
埋め合わせをするのも良い方法だと思います。
みんなのために働いてみると、考えが変わるかもしれません。税金をむしりと
られると、恨みばかりが増幅しそうです。
いいご提案、ありがとうございました。
└──────────
┌──────────「シンボーさん」
中絶を厳格に(罰則規定含む)すれば、ある程度は改善できるのでは。
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
たしかに増えるのかもしれません。しかし、望まない子を無理に産ませると、
その後の子育ての時に、今より虐待等が増えないでしょうか。
子供を産むのは、女性の自由意志であったほうが、その後の子育てが納得する
心で為される可能性が高くなるように思います。
└──────────
┌──────────「年金生活者さん」
「どちらかといえば賛成」です。仰ることは納得できるのですが、反面「少子
化」をことさら問題とすることに違和感を覚えるからです。
人間現象・社会現象を、全て「経済」の問題としてとらえるのは現代病の一種
でしょう。民族としてのあり方を踏まえて、もっと総合的に考える必要がある
と思います。
歴史のなかにアナロジーを求めれば、パックス・ロマーナ時代のユダヤ人が、
パックス・アメリカーナ時代の日本人です。
ローマ帝国とアメリカとの類似性はよく指摘されるところですが、その根本は
奴隷制を持つ多民族国家であり、その市民権が政治的概念であることです。
一方、「日本人」「ユダヤ人」は人種的概念です。
ローマは、征服した地域の、有力者どころか、解放奴隷にさえ一定の条件さえ
充たせば市民権を与えましたから、帝国の拡大と共にローマ市民は増えていた
はずです。
アウグストゥスが心配した「少子化」は、ラティヌム出身の貴族階級が相対的
に少数派となることでアメリカのWASP=White/Anglo-Sacson/Protestant)
が、少数派転落に危機感を持っているのと同じです。
アメリカも、人口は増加していますが、増えているのはフランス同様非白人で
す。
帝政末期のローマでは、解放奴隷を祖先にもつ市民は市民階級の90%に及び
解放奴隷出身の皇帝(ディオクレティアヌス帝・在位284−305)さえ出現しまし
た。ちなみに最初の黒人皇帝はセプティムウス・セヴィルス在位193−211年。
しかしユダヤ人をエルサレムから追放したローマ帝国は亡び、流浪の民となっ
たユダヤ人は1900年後に祖国復興を果たしました。ーーー人口は国内外合
わせて僅か1400万人ですが、その存在感は、良きにつけ悪しきにつけ現代
世界でも圧倒的。
ーーー日本が学ぶべきはどちらでしょうか?
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
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仰ることは納得できるのですが、反面「少子化」をことさら問題とすることに
違和感を覚えるからです。
└--------
経済問題として捉えておられるのかも知れませんが、今の少子化の原因の一つ
は、自分が楽しむ事を優先させることから発生している、他の問題や不祥事と
共通する「根」があると思います。
ましてこのままでは、民族が消滅してしまうのですから、問題とせざるを得ま
せん。少子化を解消する為に「民族の消滅を防げ」などのスローガンでは賛同
されるはずもなく、経済的・社会的内因性動機を強くする施策が必要だと思い
ます。
┌--------
ユダヤ人をエルサレムから追放したローマ帝国は亡び、流浪の民となったユダ
ヤ人は1900年後に祖国復興を果たしました。(中略)ーー日本が学ぶべきは
どちらでしょうか
└--------
ユダヤの人は、宗教の戒律を守ることを含めて強烈なアイデンティティがあり
ます。それが2000年の放浪、分散をしていても民族としてまとまれる大き
な要因だと思います。
一方日本人は、宗教といえばローマ人と同じ多神教であり、アイデンティティ
は強烈ではありません。現に、江戸初期にアユタヤにあった日本人町は繁栄し
ていましたが、江戸が鎖国されて半世紀後には消滅していたとも言われていま
す。
現地に同化する能力の高い日本人は、孤高を維持する変わり者で居続けられな
いように思います――――。
したがって、この国で、集団で、(他国の人を同化させながら)文化を維持存続
させるべきと思います。
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┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
わたしが「少子化対策に外国人花嫁を!」と提起しましたら、相当数の反対の
ご意見を頂戴いたしました。そりゃ、日本国内だけで解決できるものであれば
わざわざ外国から花嫁を迎える必要などありません。
この「皇帝アウグストゥスに学ぶ」は、独身者や子供を持とうとしない夫婦に
は懲罰的な義務を課す、という要旨ですけれど、では、
地方に在って、結婚したくても相手がおらず困難な独身男性が約1千万人もい
る、というのが現実ですが、結婚したくない独身者と、結婚したくてもできな
い独身者をどう線引きするのか、
経済的な理由からではなく結婚したくてもできない、これは少子化問題以前の
人間としての尊厳にも関わる問題ではないでしょうか。ーーーこうした人々に
どのようにして伴侶を提供(?)したらいいのか、
ーーー外国人花嫁という方法以外で、適当な処方箋があるのか?
ーーー稿を改めましてでも、お示し頂けますと幸甚でございます。
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┌──────────「紋起さんから」
私は、必ずしも移民に反対ではないのですが、反対の方が多いのは存じており
ます。
確かに、嫁の来手がないために独身でおらざるを得ない男性が多数おられるの
でしょうが、その方々の為に外国の女性を紹介するという方法は次善の策では
ないでしょうか。
一番は、日本人女性が、結婚しようと思う施策を打つことですが、私の提案の
独身者高率税制は反対が多く、難しいかもしれません――――。
しかし、年金制度が成り立たなくなるというのは早晩明らかになりますので、
その際に、子育てをしないと大幅減額、という制度はあり得ると思います。
しかし、ーーーそれまでのつなぎとしては、OJINさんのお考えは、実行に移す
価値はあると思います。
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