現在年金をもらっている世代と、現役〜2005年に生まれた世代との「世代
間格差」を主として考えてきたが、予測もしない程大きなものとだったと思う
し、
それ以上に問題なのは、その格差を数値化し、系統立てた原因究明・対策がな
されていないことだ。
騒がしく議論されているのは、人気取りに汲々としたものか、あるいは場当た
り的な、当面している問題への対処療法であり、残念なことに次世代のことな
ど殆ど俎上に登ることもない。
そして、現在子供である被害者は、選挙権もなく声もあげられず、素直に親の
世代の言うがまま動いている――――。
マクロで世の中を観察すれば、意図的ではないだろうが、実社会を牛耳る一方
選挙で政治的にも大きな影響力を持つ老人層が、自分たちに都合の良い社会に
なるように権限を行使している面が強い。
誰も、わざと孫子の世代に悪条件を押し付ける積りはなかったのであろうが、
過去の先輩世代と同じ基準で考えて要求したり、行動したりしていると、人口
構造や世界経済構造が大きく変わっているために、結果として、極めて深刻な
副作用を、もの言わぬ次世代に押し付けていることになってしまっている。
ーーー例えば、非正規雇用問題でもその面が強い。
従来のやり方を踏襲しただけだが、中国等の新興国からの労賃低下圧力を若者
に犠牲を押し付けた形で解決した。
ーーー国の累積負債問題も同じケースであろう。
90年代の不況を解消する為に、大きな財政出動を行ったが、何の効き目もな
く終わってしまい、国に負債だけ残った。しかし「政府が悪いのだ」では済ま
されないところがある。
90年代の不況の中でも、国民の金融資産は300〜400兆円増えている。
マクロに見れば、国庫から個人に資産が移動したとみれないこともない。
景気浮揚を求め財政出動をしたのは、従来のケインズ的考え方であったが、通
貨変動相場制の市場では、経済理論通り景気浮揚効果はなく、国に負債だけが
残った。ーーー負債は次世代のツケとなっているに対して、現世代は金融資産
を増やしているのだ。
私達は「世代間格差」問題にどのように立ち向かうべきか。
私は、小手先の対応ではなく、仕組みを変えるようにしなければ解決できない
と覚悟を決める必要があると思う。
以前にも延べたように、非正規雇用問題の解決には、セフティネットを完備す
る一方、正社員の解雇が今より容易にできるようにし、同一労働同一賃金、の
原則を適用していくことが必要であり、
マスコミや共産党、社民党等の主張のように「派遣切りを止めろ」の部分変更
では解決できない。ーーーましてや、品格とか武士道を説いて経営者のモラル
を旧に戻すことでは解決するなどとは程遠い。その企業がつぶれるのである。
また、
少子化でありながら世界から資源を調達できる為には、今まで以上の生産性を
高める努力を、製造業だけでなくサービス業まで広げねばならない。そういう
中で、官僚が行うコストだけである仕事は、必要最低限のものに限る事が大切
であろう。
また、付加価値の高い商品・サービスを世界に提供するには、ベンチャー精神
を発揮して、新しい事業分野の開拓・確立することが必須である。しかしなが
ら、そのような活動は極めて少ないと報告されている。
これらをマクロに考察すれば、今までの常識を再検討して、時代に合わないも
のは潔く破壊する勇気を持たねばならない、に帰着すると思う。
私が、一つの良き例となるのではないかと思っているのは、大阪府知事 橋下
徹氏である。彼のやっている具体的政策が全て正しい等と言うつもりはない。
しかし、「子供が笑う大阪府」をスローガンに、今の世代の府民に痛みを我慢
して欲しいと、半ば強引に押し付け、負債を減らしている。私学助成金を削減
したり、府職員の給与を減らしたり、公共投資も削減して、09年度は黒字化
できる見通しだという。
痛みを押し付けられている府民からの支持率は、就任1年後で81.6%だと
いう。
あるだけの税収の中で行政の絵を描かねばならないのに、私達は、赤字債を発
行してでも、従来の出費を維持するのが普通のような錯覚を持っていたのでは
なかろうか――――。こういう錯覚を打破する為には、何よりもエネルギーが
必要である。
39歳という若さと、彼のやんちゃな、行儀の悪いところが、優等生では到底
できない現状打破を可能にさせているのではなかろうか。前任の太田房江氏の
ような、行儀は良いが前例主義から抜けれない官僚体質とは全く異なる結果と
なっている。
彼のような政治家があと10人おれば、日本も変わるのではなかろうか。
例に出して悪いが、山の井議員のような、一見国民を思っているように見える
口当たりの良さに騙されては駄目だろうと思う――――。
そのシッペ返しは、更に酷いものとなって次世代に祟ることになるだろう。
= この稿つづく =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
▽
原田泰氏「大阪府はなぜ財政再建できたのか」
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/harada.cfm?i=20090305c3000c3&p=1
Wikipedia 橋下徹
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%8B%E4%B8%8B%E5%BE%B9
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┃●┃ 読後アンケートの結果。
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◇ この意見に賛成 -------------------------------------- 51人 (72%)
◇ どちらかといえば賛成 -------------------------------- 13人 (18%)
◇ どちらともいえない ---------------------------------- 4人 ( 6%)
◇ どちらかといえば反対 -------------------------------- 2人 ( 3%)
◇ この意見に反対 -------------------------------------- 1人 ( 1%)
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┃●┃ お寄せいただきましたご意見や感想。
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┌──────────「SPさん」
本質的な問題は、日本の潜在成長率の低下と思います。優れた政治家の登場は
良いことですが、単なる夢でしょう。
ーーー現状の政治家でもできる成長率向上策が必要。
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
現在明確になっている世代間格差問題の原因は、
1−確かに成長率低下の問題(GDP減少というのが正しいでしょう)がありま
すが、
2−年金給付を受け、かつ医療費、介護費の掛かる高齢者人口比率の高率化
3−GDP比率でも異常な国の負債問題(利率がアップすると国家破綻となる)
4−予測される食糧、石油、資源の高騰が引き起こす問題
5−地球温暖化問題から派生する問題
などがあり、どれも一筋縄ではいかない問題だと思います。
└──────────
┌──────────「うしさん」
確かにそうだと思うのですが、若者は、この変化に対応する努力をしているの
か? 豊かな社会になったら人は堕落してしまうのは一般的で、アメリカでも
創業者は移民の1、2世が6割を占めているそうです。
北朝鮮のミサイルが降って来るような事態が発生しなければ、ずるずると滅び
の路を歩むのもやむをえないかと思います。後は、個々人が、自分や家族を守
る為に、この右肩下がりが見えている国に何も期待せずに行動を起こすことで
しょう。
父母の世代は、神の国日本が戦争で惨敗し、その後教育方針がまったく変わっ
たことから国家を信頼できないと強く考えたそうです。ーーーそういいながら
国家公務員として真面目に働いていましたが、日本人は徹底的な危機に追い込
まれた時には強く、それまではだらだらと、お湯の中の蛙として生きて行くで
しょう。
まだまだ平和なんだと思います。だから、大騒ぎする事もないと思いますよ。
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
┌--------
まだまだ平和なんだと思います。だから、大騒ぎする事もないと思いますよ。
└--------
次世代が直面するであろう問題は、危機感を持てば=自分たちの行動を変える
ことで解決できる種類の問題とは思えません。
例えば、1.5人で1人の老人を支えるということから、国民負担率が50%
を超え70%近くなる危険性もあると思われますが、そうなるとこの国から逃
げ出す人ばかりになるのかもしれません。
国の負債のように、現役世代が解決しなくてはならない問題なのですが、プラ
イマリーバランスが更に拡大する赤字国債の発行についても、みんな危機感等
希薄ですよね。
それは、次世代が何とかするよという安易な考えだからではないでしょうか。
└──────────
┌──────────「さぶろうさん」
ーーー今回も、投票はしておりません。
なぜか?と自問したところ、「世代間格差」問題への紋起さんからの具体的な
解決策が、制度を“潔く破壊する”ことしかないように読み取れるからでした
----これは私の読み取り能力の不足かも知れません。
役所の仕事は“コストだけ”であるという御主張など、賛成な点が多いので、
これはとても残念なことです。
おそらく、紋起さんの憤りの根源は将来への不安にあるのだと思います。
----少なくとも私はそうです。
これに対するアプローチは、将来に渡って生産性を高めてゆける日本をいかに
して作り出すか? ということでしょう。
おそらく教育が重要であろうと私は考えます。能力別に、できる子はどんどん
進むことができ、できない子も、それを羨むことなく幸せになれる=できる子
の足を引っ張らない)ような社会が目標にならないでしょうか?
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
┌--------
これに対するアプローチは、将来に渡って生産性を高めてゆける日本をいかに
して作り出すか? ということでしょう。
└--------
私にも明確な解決の道筋が見えている訳ではありません。しかし、現状の日本
の政治ないしマスコミ、評論誌が扱う問題を見ておりますと、2050年の日
本など全く視野にない「今が良ければ」論を、口角泡を飛ばして論じているよ
うに見受けます。
その精神が最もよく表れている例は、高齢者医療保険制度問題でしよう。
直近の負担が増える人が少しでもおれば、老人を殺すことになるのだそうです
し、公務員の無駄遣いをなくしても、借金を返すより老人医療費に当てるのだ
そうですから、選挙での票が取れれば良いだけのことでしょう。
今の日本での問題は、中国等に移転してしまった事業の代替として何をするの
か、が全く見出せていないことだと思います。
このためには、ベンチャービジネスが雨後の筍のように出てきて育ち、今の旧
態然とした大企業を新陳代謝しなくてはならないのですが、そういう状況には
全くないことです。
国全体を見れば、覇気はなく、英気も失せ、スケープゴートに罵声を浴びせて
ひたすら閑居して愚善をなす状態に呆然としています。
今回の問題提起は、この問題は重いけれど、皆で考えなければならないもので
しょうという意思で行いました。受け止めていただければ、それだけでありが
たいことでございます。
└──────────
┌──────────「しょーちゃんさん」
広く社会全般の将来像を想像できない政治家や官僚にはうんざりです。同様に
古典化した構造論に終始している某主義者らにもうんざりです。
ーーーそろそろ老境に差し掛かっている世代として、未来を拓く子供たちのた
めの痛みは甘んじて受けます!
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
┌--------
広く社会全般の将来像を想像できない政治家や官僚にはうんざりです。同様に
古典化した構造論に終始している某主義者らにもうんざりです。
└--------
その通りですが、そういう権力構造を使わねば世の中が変わらないのもまた、
真実です。そして、世の考えが変わらないと、未来を拓く子供たちがいらざる
苦労の中で溺れるだろうことも、多分当っているのだと思います。
お互い「うんざり」ですが、何かをしなくては、「うんざり」以上の「絶望」
になりそうで、ーーーそれだけは避けたいものです。
└──────────