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坂の上の雲を! ――――――――――― by 紋起さん |
☆ 慣行の賞味期限―出でよ!志士たちよ! ――――― 2009/02/04
年末の、日比谷公園での年越派遣村に関する議論がいろんなところでなされて
いるのはご存知のことと思います。
このメルマガでも紹介頂いた「氷山の下部の話(1)」で述べたように、旧共産
圏の給料の低い大量の労働者が、G7の高い給料の国の市場に入ってきたので
世界中で賃下げ圧力が掛かり、日本では、人員整理から免れた正社員が従来の
給料を保証されている反面、非正規雇用の労働者に極めて低い賃金で働くこと
を押し付けてしまったメカニズムを紹介した。
正月のTVを見ていてびっくりしたのは、年越派遣村に支援に来ている労働組
合の幹部が、満面に同情を浮かべつつ政府の無策を非難していたことである。
社民党の党首や共産党の幹部、民主党の菅直人副代表も、労組と一緒の非難を
政府に浴びせていた。ーーー喩えは仮想で悪いかもしれないが、オウム真理教
の上裕氏が、自ら加担している意識がないので、地下鉄サリン事件の被害者に
支援をしながら、警察の無力を非難している情景を思い描いてしまったのであ
る。
本人には意識がないのであろうが、正社員の特権的地位が守られる代わりに、
バッファーが派遣に押し付けられて不安定な状況と低賃金にあえいでいるわけ
で、労組幹部は、自分たちも意図しないものに加担していたのである。
野党の対応策は、製造への派遣の禁止復活を目指して法案を出すことだそうだ
が、このことのもたらす副作用をどの程度検討したのであろうか。
大前研一氏がご自分のメルマガで紹介していることだが、最近、彼の経営する
中国の入力代行会社が極めて忙しくなったらしい。その原因を調べると、注文
を出す日本の会社が、パート労働法改定でいろんな規制が強まり、日本でパー
トを雇うのが大変だから中国の会社にアウトソーシングしたのだという。
これと同じように、非正規社員の給料を正社員と同等にするということは、日
本に生産拠点を作ることを実質的に禁止するに等しい。
「氷山の下部の話(1)」などでも指摘したように、終身雇用、年功序列賃金、
会社別労働組合、同一労働多種賃金、等々は、現在のグローバル化に適応でき
ないために、種々の不適合症状を露呈している。
これらは、別に法で規定されているものではないが、広く日本の社会の中で定
着している私達のやり方である。いわゆる「慣行」なのだが、
「慣行」は文化に近いから、変えることは不愉快だし、不利益を伴う人も多い
ので難しい問題を生み出している。
しかし、この「慣行」は賞味期限を過ぎてしまったようで、もしこの「慣行」
を墨守すると、次々と解決の難しい不適合症状が出てくるだろう。
国交省はタクシーの台数規制を復活したいようだが、「氷山の下部の話(1)」
でも述べたように、タクシー運転手には唯一の産別労組=タクシー運転手労働
組合があり、
他の労組からの採用を禁じるクローズドユニオン制になっておれば、運転手へ
の競争の皺寄せは防げ、経営者間の競争になるから、運転手を犠牲にした消費
者のメリット享受という形にはならない。
だから、規制復活より組合の再編が根本策となるのだが、極めて難しく国交省
も手も足も出ないであろうし、組合にもそういう汚れ役をする人がいないのだ
ろう。
更に、日本の労働慣行を変えたほうが良いだろうと思われることがある。
それは、有力企業は、日本だけを市場とした会社経営が人口減のため成り立た
ないことに由来する。ーーー世界を相手にした事業とせざるを得ないだろし、
事業をする各国にその国の会社を作り、その国の人で事業を運営することにな
る。
そこに日本の労働慣行を押し付けることは、人事的にも効率的にも到底無理だ
ろう。そして、事業所間で、幹部人事を含めて交流をする時、日本だけが特殊
な慣行を残せるはずもない。
今、小泉改革を非難する政治家、評論家が多い。
2ちゃんねるでは、竹中平蔵元財務金融大臣を「売国」と断じている。
私にはそれらは、開国した井伊直弼を桜田門外に襲撃した水戸浪士と重なる。
安政の大獄に相当するのは、郵政民営化反対自民党議員の追放なのかもしれな
い。しかし、結果として見ると、井伊直弼の開国の方向は誤りではなかった。
明治維新は、巨大な列強に軍事的に対抗するのに、小集団の集合体である幕藩
体制では不適合であったので、徳川幕府を倒したのである。
ーーーそれと同時に、長らく継続してきた種々の慣行をも棄てた。
非常な混乱もあったであろうが、見事に乗り切った。ーーー同様に、官僚政治
を含めて、我々も慣行を捨て去る勇気を持たねばならない。
その面で見れば、終身雇用が理想と述べる小沢民主党は、幕藩体制の守旧派そ
のものであり、水戸浪士相当が適当なところだろう。
残念ながら今の日本には、西郷吉之助も、大久保利通も、坂本竜馬も、現れて
いない――――。
!!出でよ!!志士たちよ!!
= この稿おわり =
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◇ う〜〜む、しかしな〜 -------------------------------- 28人 (34%)
◇ 今のままでいいだろ! -------------------------------- 0人 ( 0%)
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┃●┃ お寄せいただきましたご意見や感想。
┗━┛ ┌──────────「梶さん」
表舞台で踊っている連中だけを槍玉に挙げて派遣問題を批判するのは如何なも
のか?いずれにしても、
紋起さんも含めて、国民が愚かな政治家を選び、「派遣切りされた方々を暖か
いストーブの傍にてワイドショーで見ている」連中こそ問題なんではないか?
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
梶さま、コメント感謝です。
┌--------
表舞台で踊っている連中だけを槍玉に挙げて派遣問題を批判するのは、如何な
ものか?
└--------
とのご指摘ですが、誤解なさっては困ります。私は、批判が主旨ではなく、真
の原因を見出して、それに対策を打たねばならない、
その点から見れば「年越派遣村」の行動は的外れで、かつ、原因の一つである
正社員の労組が、自分たちの関わりを自覚せずに正義を振りかざすのではなく
もっと根本的な対策に関係しないのはおかしいと述べたのです。
例えば大阪大の大竹文雄教授が、ある雑誌で、派遣を1人解雇するなら正社員
も1人解雇するように法規制すべきだと述べておられるようですが、私は正解
に一歩近づいていると思います。
労組は、苦しくてもそういう問題の捉え方をしないと真の解決にはならないで
しょう。
重要な問題は、戦後続いてきた労働慣行でグローバリゼーションの世界競争に
向かったのでは相手に勝てない、ということを認識するところから思考を開始
しないと、間違った目的を一生懸命やる憂き目に遭うのです。
日本人は、ペリー来航のごとき外圧が来ると、見事に既得権益層を一掃するよ
うな革新をやりますが、現在のような真綿で首を絞められる衰退の中では、既
得権益層の側に付いた扇動に乗せられたりしています。
反小泉、反市場原理主義を唱えている人達の中に、既得権益層の代弁者が多数
紛れ込んでいます。官僚もそうですし、公共事業受益者もそうでしょうね。
今こそ目利きが必要だと思い、一文を投稿させて頂きました。単なる現象に対
する批判の積りではありません。ーーーもしそう理解されたのでしたら、私の
筆力の足りなさでしょう。
└──────────
┌──────────「M&Sさん」50代@男性@会社員(管理職)@東海
派遣問題に関してはマスコミの論調が騒がしく、異様な感覚を持っていました
が、1136号の紋起さんの回答を拝見し、益々その感が強まってしまいまし
た。→ http://chinachips.fc2web.com/argue3/0904.html
そもそも、マスコミの騒ぐ派遣切りとは、派遣先である各大手製造業の問題で
はなく、雇用関係にある派遣元企業の問題であるはず。
派遣先と派遣元とは企業間契約でしかないのですから、外注先に生産委託して
いる数量の増減、と基本的には変らないはずと認識しています。
その前提で見たときに、「労組は、苦しくてもそういう問題の捉え方をしない
と真の解決にはならないでしょう」との部分は、大きな違和感を感じます。
ここで表現される「真の解決」とはどんな状況を理想形として思い描かれてい
るのでしょうか?「労働者全員のワークシェアリング」でしょうか? では、
翻って派遣以外の外注先(下請け企業)を見たときの事態を、どのように理解さ
れるのでしょうか?
それらの下請け企業、孫請け企業、その下と広がりをみせ中小零細規模にまで
至りますが、それらの企業でも人員整理や規模縮小、時には倒産に至ったり会
社整理という企業もあります。
これらは、派遣切り問題の陰に隠れて、ひとまとめにして「倒産件数が〜」と
いった報道がなされているだけです。
これらを含めた今の不況感の「真の解決」を議論するなら、派遣問題を切り口
にしたら方向違いの議論しか出てこないと思います。
人材派遣という職種でも良しとしてこられた、現被派遣切りの方々もいれば、
零細企業でも汗してパートなり社員なりにで働いていながら解雇された方々。
これを比較した時に、派遣切りだけがクローズアップされるのは「マスコミ不
況」でしかないと思います。
派遣切りされた方々の中には、再就職の斡旋にも、なかなか次が決まらないと
いった方もいるようですが、良く聞いてみれば「きれいな工場のなかで、汚れ
ない仕事で、さらに派遣ではない雇用」を探しているから決まらない。という
事例も多いようです。
一方で、零細企業を解雇された方たちは、「何でもやります」といった積極姿
勢で、いわゆる3K仕事でもどんどん頑張っている。
こういった事例を見るにつけ、今の派遣問題の報道の仕方、色々なところでの
議論の取り上げ方に、大きな違和感を持ち続けています。
これらの「真の解決」を目指せば、結局は「金融バブルに踊った米国市場」と
「その市場を読み誤った各企業の経営責任」に行き着くだけでしかないと感じ
ています。
それとも、労働分配性の公平平等を強調する共産主義的な思想に走ってしまう
のか…それは、現代では危険な方向ではないでしょうか?
└──────────
▼
┌──────────「紋起さんから」
M&Sさま、ご指摘のことに関してお答えいたします。
幾つかの事柄が交錯してますので、一つ一つ解きほぐしてみたいと思います。
┌--------
人材派遣という職種でも良しとしてこられた、現被派遣切りの方々もいれば、
零細企業でも汗してパートなり社員なりにで働いていながら解雇された方々。
これを比較した時に、派遣切りだけがクローズアップされるのは「マスコミ不
況」でしかないと思います。
└--------
マスコミが正社員の解雇をあまり騒がないのは、正社員には失業保険の給付が
あり、次の仕事を見つけるまで余裕があるからだろうと思います。それに対し
て、
非正規雇用者の解雇で騒ぐのは、登録型の派遣社員の場合等、失業保険が給付
される条件を満たしておらず、解雇即生活困窮となるからだろうと思います。
確かに、正社員的な雇用を前提としてのセフティネットで設計されているので
非正規雇用者の失業をカバーする失業保険は制定する必要性があるのですが、
あまりこの主張がなされず、「派遣を切るな」に論が集中するのは、セフティ
ネットをまた企業に押し付けて根本問題を解決しない悪弊で終ると思います。
┌--------
派遣切りされた方々の中には、「きれいな工場のなかで、汚れない仕事で、さ
らに派遣ではない雇用」を探しているから決まらない。という事例も多いよう
です。一方で、零細企業を解雇された方たちは、「何でもやります」といった
積極姿勢で、いわゆる3K仕事でもどんどん頑張っている。
└--------
自分の意思で派遣を選んでいる方もおられるでしょうが、平成の大不況の時代
の新卒で、企業の新卒採用がなくて=会社が抱えている正社員の雇用を守り、
新卒に失業を押し付けた)派遣以外働き口がなかった人も多くいます。
しかし、派遣から正社員になろうとしても、新卒雇用の年功序列賃金では、中
途採用で正社員になれる可能性は非常に少ないのが実情でしょう。
確かにご指摘のような選り好みをする非正規雇用の失業者もおられますが、全
てをその論で処理するのは無理です。
┌--------
これらの「真の解決」を目指せば、結局は「金融バブルに踊った米国市場」と
「その市場を読み誤った各企業の経営責任」に行き着くだけでしかないと感じ
ています。
└--------
非正規雇用の問題は、現在騒がれていますが、米国金融危機の問題が解決して
も継続して残る問題です。だから、各企業の経営責任を追及して、経営者は倒
産して責任をとっても、何も解決しておりません。
「真の解決」
非正規雇用者を正規雇用にせよという要求があります。あるいは、非正規雇用
者の賃金を大幅に上げろという要求があります。しかし、これを企業に無理強
いをすれば、企業は中国やベトナム製の商品との競争に負けて倒産します。
これは、正社員も非正規雇用者も失業することになり、最悪の政策でしょう。
中国やベトナムと貿易をし、それらの国でも作れるような物を生産している限
り、中国やベトナムの労働者と競争しているわけですから、正規雇用者といえ
ども賃金を下げざるを得ないのです。
そして、同一労働同一賃金の原則で、非正規雇用者も同じ労働をしているのな
ら、同じ賃金をもらえるようにするのが真の解決でしょう。
これは、正規雇用者に賃下げを押し付けているように思う人がいるかもしれま
せんが、安い労賃で働く競争相手が出現した以上、運が悪かったと受け入れざ
るを得ないのです。
もっと良い解決方法は、中国やベトナムで作れないような商品を生み出し、日
本だけで生産することです。そのためには、もっと色んな勉強も要るでしょう
し、努力も必要です。
そういうベンチャービジネスの起業が必要なのですが、残念ながら今の日本に
はそういう芽が見えません。逆に、ライブドア事件でそういう熱を急冷させた
検察という官僚が存在し、それでほくそえむ既得権者がいるようです。
ーーー小泉・竹中バッシングの嵐も、既得権者の策謀に国民が乗せられている
のでしょう。
年越し派遣村なども、一見人情的なボランティア活動のように見えますが、正
社員の既得権を守る、労組・労組支援の政党が画策しています。そして労組は
春闘だと、賃上げを要求しているのです。これが通ると、非正規雇用の人の賃
金をまた下げないと国際競争ができないでしょう。
今までの労働慣行を根本的に変えなければ、次世代の人達が路頭に迷うような
環境変化が起こっていることを真剣に考えなければならない時だと思います。
└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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