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坂の上の雲を! ――――――――――― by 紋起さん |
☆ 氷山の水面下の話(2) ――――――――――――― 2008/10/15
先進7ヶ国の1990年頃から2007年までのGDPのグラフを見ると、実
に奇妙な日本のGDP曲線に驚くだろう。ーーー日本は1996年からGDP
が乱高下するも、伸びていないのだ――――。
その2007年の1996年比率は0.988である。それに比して、米国は
直線的に伸びており、07年の96年比は1.782で、年率5.5%平均の
伸びになっていると計算される。
いま、日本で種々噴出している問題の大きな原因がこのGDPが伸びないこと
にあるのに、政治家も評論家もマスコミも、このことを指摘しない。もし日本
が米国並みの成長ができており、税収がGDPに比例するとするならば、07
年の税収は75兆円あり、種々の問題は霧消するはずなのだ。
いま、日本の政治で問題になっていることの多くは、ーーー収入が増えないの
に老人という扶養家族が急激に増加して、日常的に借金生活を強いられている
家庭の悩み、と共通している。
そういう場合、多くの家庭は何をするかといえば、倹約と収入の増加を図るの
だが、倹約だけで乗り越えようとすると、少しの無駄使いを見つけても「この
大変な時に!」と目くじらをたてた叱責を受けることになる。
倹約は大事なことなのだが、限度までやると人間がいじましくなる。
----民主党は、倹約で12兆円が出てくるという与太話をしているが、実際に
やらせてみると面白いことになるだろう。松平定信の「寛政の改革」のような
「清き川に住み飽きて、いまや昔の田沼ぞ恋しき」という落首が必ずコラムに
取り上げられると思う。
そして、それでも足りないから増税をやると必ず言うだろう。
そういう借金に頼らねばならない家庭は、応急的に借金や倹約は仕方がない。
しかし、継続的に庶民的家庭を維持するために大事なことは、収入を増やす算
段なのである。
日本の話に戻せば、仕事のない時代なら分かるが、世界的な交易がなされてい
るのだから需要はいっぱいある。それを満たす仕事を日本が作っていないだけ
の話なのだ。ーーーだから、実質的に働けない人が沢山いるのだろう。
バブル以降の世界で売れているものを見ると、携帯電話、iPodなどがあるが
日本企業は蚊帳の外である。半導体産業も壊滅に近い。
NECと日立の合弁で生き残ったエルピーダメモリー社だけが、不世出の経営
者のおかげで生き残って気を吐いているが、1兆円を超える工場を台湾に作り
最近中国に作る計画が発表された。
資本が日本であるという理由だけで日本で生産するのは、諸コストの面で困難
なのである。
したがって、世界の人たちが欲しがる物で日本でしか作れない(特許だとか、
技術だとか、テイストの丁寧さとか、発想だとか、が、その製品の死命を制し
ているような)商品だとかサービスを生み出さずには、今の給料の高さは正当
化できないし、維持できないのである。
そのような企業を興す人たちがいっぱい出てきて、国が沸き返るような有様に
ならないと、日本は今の生活レベルの維持すら難しいように思う。しかし、
そのような活力を生み出す精神状態とは程遠い方向へ、国全体が動いている。
国が沸き返るような状態になるには、ある意味カオスが必要であり、カオスの
中には、いかがわしい連中が混じるのは致し方ない。いかがわしい連中を取り
締まるのは、カオスから何かが生まれ育った後にしなければ、カオスはすぐに
冷える。
バブル崩壊で冷え込んだ、守りだけの精神が高揚しかけたのが、郵政解散での
小泉政権の圧倒的勝利であった。しかし、ベンチャー企業も出始めていた時に
東京地検がライブドアに強制捜査をおこない、カオスに冷水を浴びせた。
単なる推測であるが、大勲位などに連なる年寄共が検察を動かして、国政捜査
をやらせたのではなかろうか。そして、とどめは村上逮捕である。市場では、
「国家の品格」などという、およそ黴でも生えていた書物を塵だけ払って出し
てきたような秩序維持の本が250万部も売れる精神状態になってしまった。
恐らくは、既存の常識の壁を破って世界の人々が欲しいと熱望する商品やサー
ビスを日本が生み出すことはないだろう。そして、食料高騰、資源高騰の中で
行儀よく、ただ内部ではいがみ合いながらグローバル競争圏の下位に、静かに
沈んでいくに違いない。そして、
貧しくかつ人口が減っていく国は、無視されるか、どこかに実効統治されてい
るのかも知れない。
ーーー少しダラダラしているのでポイントを再述する。
18億人の、給与の低い旧共産圏の労働者が、給与の高い自由圏の市場に参入
して始まったのがグローバリゼーションで、この市場の中では、給与が高い日
本の労働者は給与を下げざるを得なかったのだが、
解雇にならなかった正社員と官僚は、給与を下げずに既得権を守り、新規に職
を求める解雇された人と新卒者が、その分、極めて低い賃金で、職種も非正規
雇用とならざるを得なかった。
真に平等にしたいのであるなら、正社員と官僚の給料を下げ、その原資で非正
規雇用労働者の賃金を上げないといけないのだが、そういう勇気のある人はい
ない。
だから、非正規雇用者の最低賃金を上げろと要求するが、これは仕事が海外に
移転する要因を作っているので、真の解決になっていないのだが、正社員の給
与を下げる要求よりやりやすいので、皆、最低賃金上昇に集約されてしまい、
お茶を濁している。
グローバリゼーションという日本の周囲の環境変化に、日本の給与水準が適合
しなくてはならないのに、企業内組合(終身雇用とセット)が、組合内には寛容
で、非組合員である他労組・他社労働者には我関せずで個々人の給与は極めて
いびつな差を生じてしまったが、「格差解消」とはいうものの、誰も本質的な
解決策を言い出せないまま無為に時間を送っている。
このグローバリゼーションの影響下で、日本のGDPが1996年から伸びて
いない。しかし、老人が増えて、扶養家族は単なる食い扶持(年金)だけでなく
医療費を含めて急激に国民にとって負担増となっている。
このために、節約が金科玉条のなっているのだが、それはそれでやらねばなら
ぬとしても、それだけで長期にわたり国民生活が大丈夫とはならない。日本人
の労働が、他国の必要な物資と良い交易条件で交換できるようにしないと、今
の生活レベルも保てない。
すなわち、新しい商品なりサービスなりを生み出す源が要るのだが、それを生
み出すベンチャー企業創業活動を、支配権を持つ老人共が叩き潰したようだ。
その理由は「お行儀が悪い」であったが、効果は絶大で、ベンチャー企業は絶
滅危惧種に指定できるほどである。そして、「ものづくり」が日本の本来行く
道だと声高に言うが、その道が今の苦境に連れてきた原因だと誰も言わない。
以上が今までのポイントだが、非正規雇用者の賃金について補足したい。
日本の内需が冴えないことの原因に、非正規雇用者の低賃金がある。
正社員や官僚は、バブル崩壊の後でも貯蓄を増やしているので、いま給料を上
げても消費より貯蓄に回すだろう。しかし、日本全体では、貯蓄ゼロの家庭が
25%を超えているが、この層に給料を増やせばそれは消費に回る、すなわち
内需が大きくなり、GDPの伸びにもつながる。
正社員や官僚の給料に手をつけず、正規雇用者の賃金を上げるのは、先述のよ
うに工場を日本から追い出すから、正社員・官僚の給与を下げて、非正規雇用
者の賃金を上げるべきである。
物価は、1990年頃に比べて3割安くなっているのだから、正社員・官僚の
給与を下げる正当性のキャンペーンをマスコミはやるべきであろう。
また、安全保障問題との関連について補足しておく。
多分、これを読んで、国の重要な国防問題を横に置いて、また経済の話ばかり
しているとイライラしている人も居られるだろう。しかし、国防問題は経済が
支えないと実現できない問題である。
ーーー明治の先達が「富国強兵」と言ったのは本質を突いている。
隣国の中国と北朝鮮を比べれば分かる話である。それは、人口が13億人と2
千万人の差ではなく、国力のある国の軍事力は大きく、国力のない国の脅威は
核兵器だけで、これを取り除けば蚊ほどの力もない。----だから彼らは核兵器
を廃棄することはないだろう。
したがって、わが国が必要な軍事力を持つためには、経済力は今以上でないと
いけない。なぜなら、現在の負担は、米国に頼る部分と、武力行使をしなくて
も大丈夫だろうと等閑視して省略していることで、かなり低いからである。
現在の問題である毎年の生活費だけで赤字の国が、必要な軍備を揃えられるは
ずもない。したがって、国防を論じる一方、その兵站である経済を論じないよ
うでは、大東亜戦争時代の軍部と同じ道を辿るだろう。
= この稿おわり =
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┗━┛ ◇ この論に賛成 ---------------------------------------- 26人 (62%)
◇ どちらかといえば賛成 -------------------------------- 9人 (21%)
◇ どちらともいえない ---------------------------------- 0人 ( 0%)
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◇ この論に反対 ---------------------------------------- 4人 (10%)
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┃●┃ お寄せいただきましたご意見や感想。
┗━┛ ┌──────────「b.b.さん」
低所得者層への賃金アップは興味深いアイディアでした。
私を含めた中間層はちょっとキツイですが、日本全体が力を取り戻すよい機会
になって欲しいです。
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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