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坂の上の雲を! ――――――――――― by 紋起さん
☆ 負けないために(2) ―――――――――――――― 2006/11/27
大東亜戦争を語る時、とんでもない論のなされることがある。――――大東亜
戦争は、負けることが分っていながら開戦した、これは特攻と同じだと幾人も
が書いておられる。
戦争は外交の延長である、といわれるが、では、負けると分っていてやる戦争
の目的は一体何だったのだろう。ーーーこの国を亡ぼすことなのか。

特攻と同じだというが、特攻隊員は国家の長久を願って自らの命は投げ出した
はずで、国を亡ぼす一心でやった訳ではない。何も展望がなく負ける戦をする
など、無茶苦茶な筋書きであり、特攻に例えること自体、特攻で散った方々に
失礼極まりない話ではないか。

「負けると分っていても戦わないとその先がない」ような論が世にあり、永野
修身の言葉が美しいとよく引用されている。個人の間の喧嘩と国家間の戦争を
同一の土俵で扱うから間違いとなる。個人間の喧嘩では、負けても相手の奴隷
にされることはないが、国家間の戦争では、敗者は財を奪われ、人は奴隷とさ
れるのが古来からの慣わしであった。

今の日本がまさしくその形で、アメリカの属国である。(古[いにしえ]のロー
マ帝国には、占領した地域を、自治権を認める属国と、ローマから統治者を派
遣する属州と、ローマ本国に併合する地域、に区分されていたが、日本は紛れ
もなき属国である)

アメリカは、比較的オープンにみせて狡いから表に出さないが、ロシア等は、
占領した東欧諸国に対して、ロシアの意図に反する場合は、露骨に軍隊を差し
向けて弾圧した。ロシアが覇権を失うまでその状態は続いた。

今の日本の状態は、戦って負けたからこうなっているのであって、永野の予測
など微塵も的中してはいない。負けては駄目なのである。

負けるからといって、戦わずして相手に屈服すると、それ以降その国が駄目に
なるかといえばそうではない。例えば、日清戦争の後、三国干渉があったが、
日本はそれに屈した。――――それで日本が駄目な国になったのかといえば、
全くそんな事はなく、日露戦争勝利にそれは結実したのである。

孫子も明言するように、「勝ちて後、戦いを求める」のである。だから、負け
ると判断すれば戦わないようにするのが、将の将たる所以[ゆえん]であるはず
なのに、戦略のない戦いに突入している。

傑作なのは、以前談話室に投稿されたもので、吉田首相を恨むというものだっ
た。彼が、軍隊を持たずサンフランシスコ条約で独立したことを批判しての話
だったと記憶している。

アメリカにコテンパンに負けて占領されたためにそうせざるを得なかったのが
根本原因なのに、敗戦を招いた軍事行動は一切非難せず、その後の処置を非難
することは、まさしく倒錯そのものであろう。ーーー5階のビルから飛び降り
て複雑骨折した事は立派だと誉めて、骨折の処置の仕方が悪いと医者を罵倒す
るような話である。

また、戦後の日本を悪し様に言い、戦前を美化する論調もこの談話室に多くみ
られるが、これとても別の意味で「自虐」以外のなにものでもない。徹底的な
敗戦に正面から対峙できない精神の弱さが、そういう倒錯や自虐を作り出して
いる。自虐史観の裏返しの、皇軍賛美はやめたほうが良い。それは再びの敗戦
を招くだけである。

もう一つの論調が、コミンテルンやFDR=アメリカ・ルーズベルト大統領)
らの謀略説である。いずれも、史実として実在している部分もあるだろうが、
「謀略に嵌[は]められたから日本は無罪」とする説は百害あって一利なしだ。

「オレオレ詐欺になど、引っかかるほうが悪い」と公言すると非難轟々となる
日本に広がっている精神の弱さに通じるものがある。オレオレ詐欺に引っかか
るのは、自分だけは金を払ってでも穏便に済まそうという「下卑た下心」があ
るからだ。ーーー謀略ということで「他罰」にして、日本は無罪的な仕舞いの
つけ方も、再びの敗戦を呼び寄せるだろう。

支那事変で、国民党軍が種々の挑発行為をするから戦線が拡大したという説明
も、戦争の本質から逸脱したものである。戦争は外交の延長線上で、何かの獲
得目標のある行動である。――――「暴支膺懲[ぼうしようちょう]」=暴虐な
る支那を懲らしめる)というスローガンで支那事変は戦われていたが、もしも
それが真の目的であるというならば、それは喧嘩ではあっても戦争ではない。

盧溝橋事件からの戦線拡大についても、相手が発砲してきたからなどの挑発で
拡大していくのは、あってはならないことである。なぜなら戦争には目的があ
り、その目的が獲得できたら終るもので、感情による戦であってはならないか
らである。

軍には「拡大したい」魂胆があったから、挑発を理由に拡大したのであって、
相手に無理強いされたものなどではないはずである。

                      = 3回連載の2/3 =
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「せいろん談話室」の、テーマ「あなたにとって『大東亜戦争』とは何ですか」より、紋起さんの投稿「123〜125」を転載させて 頂きました。
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