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戦争に負けた国 ―――――――― by やせ我慢さん
☆ 予測されている未来 ―――――――――――――― 2009/09/07
少子高齢化という問題は、報道やウェブでも何度も取り上げられています。

すると、「人口が減っても良いじゃないか」という人が必ず出てきます。或い
は構造改革の必要性を語れば、今までどおりでいいじゃないかとか、70年代
80年代の頃のようにやれば良いんだ、という人が出てきます。

以前、それはクレジットや借金で買い物をしまくった後、膨大な支払いがある
のに、収入が減ってもいいからノンビリ暮らしたい、というような夢物語だ、
と書きました。

その時は具体的な数字を出しませんでしたので、ちょっと実感が湧きにくかっ
たかもしれません。

国立社会保障・人口問題研究所 http://www.ipss.go.jp/index.html というと
ころが、日本の将来推計人口というデータを出しています。

日本の将来推計人口(平成18年12月推計)

予測値は出生率の仮定で、高位(1.55)、中位(1.26)、低位(1.06)
の三種類で計算されています。ちなみに2005年の合計特殊出生率は1.2
6で、2007年は1.34です。
※−この出生率の回復は、団塊ジュニア世代の出産適齢期といわれている。

その推計から、出生率を中位(1.26)と仮定した数値で考えてみます。

―――【総人口】

2009=現在   1億2756万人
2019=10年後 1億2334万人 現在比:96.6%
2930=21年後 1億1522万人 現在比:90.3%
2050=41年後   9515万人 現在比:74.5%

―――【年少人口(0〜14歳)】

2009=現在   1713万人(人口比:13.4%)
2019=10年後 1348万人(人口比:10.9%現在比:78.6%)
2930=21年後 1115万人(人口比: 9.6%現在比:65.0%)
2050=41年後  821万人(人口比: 8.6%現在比:47.9%)

―――【生産年齢人口(15〜64歳)】

2009=現在   8183万人(人口比:64.2%)
2019=10年後 7419万人(人口比:60.0%現在比:90.0%)
2930=21年後 6740万人(人口比:58.4%現在比:82.3%)
2050=41年後 4930万人(人口比:51.8%現在比:60.2%)

―――【65歳以上人口】

2009=現在   2859万人(人口比:22.4%)
2019=10年後 3565万人(人口比:28.9%現在比:124.6%)
2930=21年後 3667万人(人口比:31.8%現在比:128.2%)
2050=41年後 3764万人(人口比:39.5%現在比:131.6%)

ーーー以上から計算してみると、

―――【年金受給者(65歳以上)の国民比率】

2009=現在   人口比:22.4%
2019=10年後 人口比:28,9%
2930=21年後 人口比:31.8%
2050=41年後 人口比:39,5%

―――【年金受給者(65歳以上)の生産年齢に対する比率】

2009=現在   34.9%
2019=10年後 48.0%
2930=21年後 54.4%
2050=41年後 76.3%=生産年齢人口比

つまり41年後には、日本の人口の半分が非生産人口になり、10人中4人が
年金受給者になり、生産年齢の三人で、二人の高齢者を支える事になる、とい
う事です。

※−しかも、実際の生産年齢は18歳以上の人口が現実的で、もっと負担は増
える。

現在の半分に激減した生産年齢の人たちが負担するのは、これだけではありま
せん。国の借金である国債に対する支払いが、平成21年度予算でも20兆円
を越え、一般会計の23%になっています。

2015年頃には、国債費が30兆円を大きく突破するという試算もあります
が、41年後には一体どれほどの金額になっているでしょう。ーーーもちろん
公務員の人件費や諸経費を含くめた予算も、今のままでは減る事がないでしょ
う。

しかし生産年齢人口は、半分になっているのです。

これでも、「経済はそこそこで、人口も少なくなっていい」そう言えるでしょ
うか?
┌--------
・国債の発行を抑え、国の財政を健全化する。
・公務員のシステムを見直し、縮小低コスト化させる。
・経済の効率性を高め、成長を促す。
・高齢者への過剰なケア部分は削除し、可能なら勤労と納税をしてもらう。
・出生率を上げるか、生産年齢人口を上げる。
└--------
こういった根本的な改革なくして、41年後に日本は先進国に留まれるでしょ
うか? 今年生まれる子供たちが40歳を越える頃、この国に生まれた事を幸
せに思うでしょうか?

表面的な愛国主義だけでは、この予測された未来を変えることはできません。

――― 戻れない過去

このネタは、以下に明快なエントリーがあります。なので、サラッと…^^)

「もうあの頃には戻れない?」
http://toto-bunko.iza.ne.jp/blog/entry/1196220/

戦後日本の古き良き時代といえば、明日はもっと良くなると信じられた高度成
長期の1955年から1973年であり、その貯えの上で安心できた1980
年代ではないでしょうか。

そんな、一番上手くいってた時代に戻りたい、というノスタルジーを抱く人は
少なくないようです。でもそれは不可能なことです。少なくとも当時と同じ方
法論では、絶対に不可能です。

ところで、明日に希望を持てた時代、その蓄積で安心できた時代、それを実現
させた要因は何だったのでしょう? ウィキペディアから引用してみます。

┌--------「日本の高度経済成長」
この経済成長の要因は、良質で安い労働力、余剰農業労働力の活用、高い貯蓄
率=投資の源泉)、高率の民間投資、輸出に有利な円安相場=固定制)、消費
意欲の拡大、安価な石油、安定した投資資金を融通する間接金融の護送船団方
式、管理されたケインズ経済政策としての所得倍増計画、政府の設備投資促進
策による工業用地などの造成や、戦中の軍需生産のために発達した技術力が挙
げられる。
└-------- 出典:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」

この中から、すぐに違いが判るものだけを抜き出してみます。

・良質で安い労働力

1960年、都市勤労者世帯の月平均収入は4万895(実収入)だったそうで
す。これは、同じ年のアメリカにおける一人暮らしの貧困ラインよりも1万円
以上低い数字です。

人件費が安く、しかも為替レートが有利であったからこそ、安価な製品を大量
に輸出できたのです。ーーー今、同じ事をしているのが中国です。

・余剰農業労働力の活用

地方の農村から都会へ集団就職する若者が、金の卵と呼ばれたのは遥か昔のこ
とです。大都市圏に人口の大半が集まっている現在、しかも少子化が進む今、
活用できる余剰労働力などあるでしょうか?

〜〜〜高齢者という大金脈はありますが…。

・輸出に有利な円安相場

1970年まで、1ドル360円の固定相場であり、対米輸出が大きな収入で
あった日本にとっては大きなアドバンテージでした。しかし現在は1ドル10
0円前後の変動制になっています。

現在、かつての日本のように、有利な為替レートで安価な商品を大量に輸出し
ているのは中国です。

・消費意欲の拡大

特に欲しいものがない、そんな消費者の声が当たり前になってから随分と経ち
ます。敗戦によって何もかもなくした人たちが、家や電化製品を強烈に求めた
時代とはまるで変わってしまいました。

誰でも直ぐに判る点だけ並べても、当時と今とでは条件が違い過ぎると気が付
くはずです。

これで、当時と同じやり方で上手くいくと思う人がいるのでしょうか??

同じように、ノスタルジーを抱く人たちが愛する、日本的経営の年功序列と終
身雇用も、それを可能にした要因が大きく変化しています。

まず年功序列も終身雇用も、成長を前提にした仕組みです。また、若い労働者
世代が高齢者よりも多く存在し、それが次々と続くことが必要です。高齢者の
高い給料を若い労働者の薄給で支え、それが順送りに続くというわけです。

しかし、若い労働者世代よりも高齢者の数が多くなってしまったら、このシス
テムは維持していけません。

ーーーでは、そうした条件が、現在と近い未来で満たされるでしょうか?

答えはもうお判りだと思いますので、下に人口ピラミッドの表を載せて終わり
にします。
「1960年(高度成長の最中)」

「2010年」

「2050年」
                           = おわり =
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ 読後アンケートの結果。 ┗━┛
◇ この意見に賛成 -------------------------------------- 28人 (47%) ◇ どちらかというと賛成 -------------------------------- 9人 (15%) ◇ どちらともいえない ---------------------------------- 9人 (15%) ◇ どちらかというと反対 -------------------------------- 5人 ( 8%) ◇ この意見に反対 -------------------------------------- 9人 (15%)
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ お寄せいただきましたご意見や感想。 ┗━┛
┌──────────「あ〜さん」 比較対象が飛びぬけていて、戦後の高度成長期と今は話になりません。 対ドルレートで110円ラインであれば、日本国民が今の所得を得たとしても 十分国際競争力はあります。少子高齢化という事態を、中国の現在と比べてト リックを使っているのでしょうか。 単に国際競争力をいうのであれば、まだまだ十分に競争力はあると考えるのが 当たり前と思われ、この先の成長戦略を考えるのであれば、対中国論もありか と思います。 全てを横並びにして、国債の件、少子高齢化の件、成長戦略の件、中国の競争 力の件を同時に比較するのは非常にオカシイと思います。 また、ただ単純に比較してはいけないという事ではなく、取り上げる年代を、 1ドル360円の固定相場時代と比較すること自体がマジックです。現に直近 の1ドル120円時代は、貿易黒字を積み上げ、国としては比較上十分に豊か な国であったはずです。 寄せ鍋論で、靴下も牛肉も入れた話には納得できません。
└────────── ┌──────────「やせ我慢さんから」
┌-------- 比較対象が飛びぬけていて、戦後の高度成長期と今は話になりません。 └-------- 話になるもならないも、現実に70年代のやり方に戻るべきだという人がいる からこの記事を書いたのです。もちろん、円高や人件費の高騰に対して企業が 努力し、競争力を維持してきたのは事実です。 しかし、それは高度成長期の遺産の上に築かれたものであり、これほど環境要 素が激変した今では、過去と同じ方法で続ける事は不可能です。 └────────── ┌──────────「Hal さん」 いささか古い話になりますが、一世を風靡した春山さんの『脳内革命』には、 活きのいい高齢者の活用の話が載っています。やせ我慢さんは、あまりにも統 計数字を信奉し過ぎではありませんか。 「年金生活者」さんの言われるように「仕事に生き甲斐を感じる老人はたくさ んいます」し、「付加価値の高い製品を少量生産する方向に向かうべきでしょ う。そのような仕事は長年の経験と勘が必要で、これもまた日本人の民族性に あっています」「そのロボット化はこれまでも日本の得意分野です」 というお説と合わせて、高齢者が健康に働けるように社会制度や日常生活の改 善整備、税金を無駄使いする官僚や国家予算の管理等々の工夫を凝らすことで 小手先の移民などに頼らなくても、人口減を好機と捉え、日本を守り立てる方 策は間違いなくあると思います。 ただ、宇宙の進化に伴い『生類は皆兄弟』の方向に行くだろうことも考えると 日本国の得難い独自性はなくなるでしょうが、この時期に人類融和の痛みを、 沼正三さんに倣って進める必要があるのかもしれません。ーーーちょっと残念 な思いは残りますが。
└────────── ┌──────────「やせ我慢さんから」
┌-------- いささか古い話になりますが、一世を風靡した春山さんの『脳内革命』には、 生きのいい高齢者の活用の話が載っています。やせ我慢さんは、あまりにも統 計数字を信奉し過ぎではありませんか。 └-------- わずか2、3のデータを出しただけで、統計に頼り過ぎているといわれるのは 驚きです。実際にその時代を体験した上でも、過去と同じようなやり方では無 理だと実感しています。 誤解があるようですが、私は日本がダメになったとか、可能性を失ったと言っ ているのではありません。ただ、過去の高度成長の時代と同じやり方ではダメ だと言っているだけです。 高齢者を生産者として活用するにしても、ロボットを大幅に受け入れるにして も、官僚制度を変えるにしても、つまりは過去のやり方と違う思考やシステム を作り出すということです。 また、時間の余裕はそんなにはなく、おそらく10年前後の内に、高齢者人口 の増大による社会負担の大きさが明白に出てくると考えます。 └────────── ┌──────────「御座候さん」 勝間和代さんが、日本の社会システムは、老人による老人のための「シルバー 資本主義」であると喝破していましたが、実に言い得て妙ですね。 少子化対策の公的支出が必ずしも出生率の向上に繋がるとは限らない、との意 見もありますが、少なくとも高齢化対策の公的支出ばかりが重視され、少子化 対策に冷淡という政策の方向性は是正されるべきなのではないでしょうか。 民主党政権は「子供手当」を謳っていますが、一方で後期高齢者制度の廃止も 唱えており、どうやって財源を確保するつもりなのか不安です。
└────────── ┌──────────「やせ我慢さんから」
┌-------- 勝間和代さんが、日本の社会システムは、老人による老人のための「シルバー 資本主義」であると喝破していましたが、実に言い得て妙ですね。 └-------- つまりは、過去のやり方やシステムとは違う方法を考えて、可能な道を選ぶし かないということでしょうね。 └────────── ┌──────────「MickeyDLさん」 人口減少化を可とする意見には反対で、その意味では筆者のご意見に同感です が、経済効果を絶対値だけでみることには違和感があります。可処分所得額と 物価との対比がなければ、正確な評価はできないと思います。 中国の賃金にしても、地域による差はありますが、実質的な可処分所得効果= 金額ではなく物品換算)では、あまり大きな違いはないように思います。その 点を踏まえての経済論でなければ、意味を持たない議論になると思います。
└────────── ┌──────────「やせ我慢さんから」
誤解があるようですが、小論では本格的な経済問題の比較をしているのではあ りません。一部の人たちが望む良き時代(70年代〜80年代)と今とでは大き く環境条件が変わっているということを示したのです。 だから、少なくとも同じ方法では、良き時代の再現は不可能だと言いたかった のです。 しかし、同じ記事で、統計に頼り過ぎという人と、データが足りないという人 がいるのは、実に面白いですね。 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ ▽  この記事はブログ「戦争に負けた国」より転載させていただきました。
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┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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