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戦争に負けた国 ―――――――― by やせ我慢さん
☆ 何を守ろうとしているのか? ―――――――――― 2009/04/27
久しぶりに、「桜チャンネル」をいくつか見てきました。ーーー驚いたことに
「かんぽの宿」問題の疑惑を取り上げ、また小泉改革は日本をアメリカに売り
渡した、などという論調がここでも多いようです。

最初に指摘しておきたいのは、入札でもなんでも、不正や疑惑は付き物だとい
うことです。

たとえば「かんぽの宿」の売却に疑惑があると言う人たちは、「かんぽの宿」
の営業を継続した場合の疑惑や利権については何も言いません。

不正や利権は、物事の目的とは本来別個に考え対処すべきことなのです。

消防車の購入に疑惑があっても、火事現場に消防車は絶対に必要なのです。

さて、改革とは、従来の方法や構造を変えることですが、人間には「変わるこ
と」を嫌がるという習性があるのだそうです。

以前に中堅のサービス会社の専務さんに聞いたのですが、新しい事を始めよう
とすると必ず社員から抵抗があると仰っていました。新しい事を始めた場合の
予想されるマイナス点をズラズラと並べて反対するのだとか。

専務さんが気が付いたのは、不思議なことに、予想されるプラス面については
誰も指摘しなかった点です。つまり、新しい事の是非の前に、本質的に変わる
ことを嫌がるのだそうです。

確かに、日常の生活の中でも、今までとは違うやり方をしなければならない時
には、漠然とした不安が付きまといます。

ただ、漠然とした不安で、未来の可能性を潰すのも馬鹿げた話です。

そこで、小泉総理以降に広まった構造改革に反対する人たちの不安を、箇条書
きで考えてみたいと思います。

私が知る限りの範囲では、構造改革に反対や疑念を持つ人たちが守ろうとして
いるのは、以下の三点に集約されると思います。他にもあるかもしれませんが
とりあえずということで――――。

・国益:安全保障と国内の経済や富を守りたい。
・文化:日本の良き伝統や文化、社会のモラルや調和を守りたい。
・弱者:弱肉強食の社会ではなく、弱者にも優しい社会を守りたい。

たしかに、どれも大事なものですが、それらは本当に構造改革で失われるもの
なのでしょうか? もしそうだとしたら、改革のメリットを確保しながら大事
な部分を守る方法はないのでしょうか? 個々の要素を考えてみます。

――― 国益を守ろうとしている?

※―ここでは、既得権益を守る為に難癖を付けて構造改革を止めようとする人
たちは想定していません。日本と日本人の未来を考える中で、改革路線に不安
を感じる人たちが守ろうとするものについて考えていきます。

・国益

ここでいう国益とは、国の生存を守る「安全保障」と、国の繁栄と国民の幸せ
に直結する「富と経済」の二つを指します。

・安全保障

経済と重なるのですが、自由化が進み経済利益が最優先となってしまうと、国
防に関わる技術や情報を持つ企業が外資の支配下に入るのではないか、という
不安です。

しかし、実際のところ、国防に関わるような企業が、いったいいくつあるので
しょう? また、アメリカなどのように、そうした企業の身売りには政府が介
入して認めない、という法律を作ることも可能なはずです。

日本の企業全体からすればごく少数の例を取り上げて、しかも例外的な対処が
可能な問題を根拠にして不安がるのは、ちょっと不合理だと思います。

先にそうした例外に対処する法律を整備してから、自由化へと進むべきという
意見ならば納得できますが、そうした危険があるから規制の緩和には反対とい
うのは極端な反応ではないでしょうか。

構造改革による規制緩和を求める人たちも、すべての規制を廃止しろなどとは
言っていないはずです。

本当に国益の為に必要な防波堤はしっかり作る、しかしそうでないものは規制
緩和によって活性化を促すという、ごく当たり前のバランス感覚が必要ではな
いでしょうか。

・富と経済

日本の富をアメリカに売り渡している…、小泉・竹中改革路線を批判する時に
決まり文句のように出てくる批判です。アメリカの年次要望書に従った改革で
結局はアメリカの利益の為のものだとか、郵貯の莫大な資金をアメリカの投資
会社に任せ、日本人の金がアメリカ企業に流れている…、などなど。

しかし、日本の富がアメリカに吸い上げられているということを数字で示して
くれた人を未だに知りません。

郵貯の運用は利益を求める為のものであって、利益が期待できるのであれば、
宇宙人の会社にだって投資しますし、実績のある投資会社であるなら、どこに
だって運用を依頼するでしょう。

こうした批判をする人は、郵貯の運用を依頼されたアメリカの投資会社が、利
益も期待できない会社に資金を溶かし続け、それにも関わらず日本は何も言っ
ていない…、というようなデータをお持ちなのでしょうか?

あるいは日本の投資会社で、主に日本の企業だけに投資してもっと利益を上げ
られるという会社をご存知なのでしょうか?

そうした具体的な事実や選択肢を出した上で、なぜアメリカの投資会社なのか
なぜアメリカの企業ばかりに投資するのか、という批判ならば頷けるのですが
…。
富と経済に関しての不安は、結局のところ外資による買収を是とするか非とす
るかだと思います。

しかし、日本もアメリカ始め複数の国で企業を買収し、あるいは不動産を買収
してきました。もちろん、先に挙げた安全保障上の問題がある場合の対処を用
意した上で、相手の国と同じ条件ならば原則として認めるべきだと思います。

法による規制で日本の企業を守る事が、そのまま日本と国民の利益に繋がると
は思えないからです。

保険商品を見ても、外資が入ってくるまでは、入院給付などの制限が厳しかっ
たり、よけいな保障が多くて高い保険商品しか選択肢がなかったりしていまし
た。それが今では、実にバリエーションに富んだ商品が出てきていますし、保
険金支払いを不当に拒んできた問題も明るみに出ました。

消費者の利益を無視して、仲間内で談合して怠惰に暴利を貪っているような企
業は、外資との競争で敗れて買収されても仕方ないのではないでしょうか。

そんなことをしていると競争力を失って負ける、という緊張感が出ることで、
より消費者のほうを向いたサービスが増えるのだろうと考えます。

そう単純ではないとか、市場規模や実力からいって対等に戦えば日本企業の殆
どは外資に負けるという人もいるでしょう。

その企業や業種を保護することが、将来の日本経済や国民の利益になると強く
推測できるものなら、そうした考慮も有り得るでしょう。しかし、単に今まで
通りの甘い考えや、既得権益の維持の為ならば、そうした規制や保護は許され
ないと考えます。

民間になった後のNTTも、ずっと公社時代の甘えと非効率さを維持していま
したが、規制緩和による新規企業の参入によって、ようやくその姿勢を改めだ
したのです。

ネットの初期には、通話とは異なるデータ通信でも従来通りの料金を取ろうと
したり、批判されるとテレホーダイなどという馬鹿げたサービスで誤魔化し、
深夜時間の回線を渋滞させたりしていました。

消費者の利益も、時代の流れも考えずに、設備を独占している自分たちの利益
だけしか見なかったNTTのお陰で、日本のネットの立ち上がりは歪な形にな
りました。

そうした既得権益しか見ない企業や経営者は、決して日本の経済発展や社会的
な豊かさには繋がりません。しかし、いくら消費者が文句を言っても彼らは動
じませんので、やはり外部からの風が必要だと考えます。

※―自立自存ができる国になれば、アメリカのようにいくら買収されても「イ
ザとなれば資産凍結できる…」ぐらい肝が据わるのでしょうが。^^)

――― 日本の文化を守ろうとしている?

・文化

日本の良き伝統や文化、社会のモラルや調和を守りたい。

さて、構造改革に不安を感じる理由のひとつとして、「日本社会の良さが失わ
れる」ということを言う人がいます。確かに、日本人が育んできた作法やモラ
ル・感覚は素晴らしいものですし、なくしてはならないものです。

しかしそれが構造改革によって失われるとは限らないのではないでしょうか。

単に改革を拒否する為に、あるいは単に変わることへの漠然とした不安の為に
日本独自の良さが失われる、と言っている人が多いような気がします。

そもそも、日本社会独自の良さとは何でしょう?

改革や規制緩和によって日本的な良さが失われると言う人は、非常に曖昧で情
緒的な表現を使うのでよく判らないのですが、目にした範囲では以下のような
ことだと思います。

・日本的経営

経済原理主義による弱肉強食の企業間競争が起きると、社員を家族のように見
なしてきた日本型経営が破壊されてしまう。結果として、労働者はより厳しい
状態に追い込まれる。

・日本的モラル

お金がすべてという拝金主義が蔓延したら、世界が認める日本のモラルの高さ
が破壊され、調和のある社会が破壊されてしまう。その結果として、治安は悪
化し社会はギスギスしたものになってしまう。

・日本的平等社会

競争社会になると貧富の格差がどんどん大きくなってしまう。その結果二分化
が進み、社会の調和が失われていき、社会不安や治安悪化を招く恐れがある。

ここに挙げた三つの点が、小泉改革以後に始まったように言う人がいますが、
私の感覚ではもっと前から始まっていたように思います。

日本型経営の特徴であった終身雇用が崩れ始めた時期、あるいは格差や治安が
悪化し始めた時期、拝金主義が蔓延り始めた時期。ーーーマスコミが騒ぎ始め
たのは最近ですが、感覚的には1990年代、つまりバブル後半あたりからで
はないでしょうか。

以下は特に根拠もまい、単なる推測です。

以前にも書きましたが、戦後から1970年代の終わり頃までは、戦後復興の
時期だったのだと思います。ーーー官僚が方向を決めて、皆で一緒に頑張ろう
という時期です。

そして復興が終わったのが、9割の国民が中流だと感じた80年代の初めだと
思います。

その後、バブル時代から以降の時期は、復興期という非常時ではなく、普通の
時代(つまり競争社会)に戻り始めただけではないでしょうか。

日本は、戦前まで、普通に競争社会でした。

政府が金と制度で、庶民の面倒までみたのは戦後の30年程度だけなんです。

高いモラルも、調和を優先する社会も、戦前の競争社会(格差社会)の中で、既
にあったものです。もっと辿れば、身分社会といわれる江戸時代に生まれたモ
ラルも少なくありません。

規制を緩和した競争社会がモラルや調和を崩す、と単純に結びつけるのは事実
に即していないのではないでしょうか。

日本のモラルの高さは、教育と世間の目という抑止力があったからです。

教育が戦後に大きく乱れ、首都圏への人口集中によって世間の目というものが
希薄になったことが、日本社会のモラルが下がってきた大きな原因だと考えま
す。

また、調和のある社会の基盤は「立場は違っても、人間としては同じ」という
宗教や教育によって刷り込まれた成果だと思います。そのお陰で、日本は人種
差別がほとんどない国とよくいわれています。

そして、一定レベルの格差社会は、戦後の30年を除いて日本社会にはずっと
あったものです。というよりも、自由と資本主義を掲げる以上、格差が出るの
は当然のことです。

極端な格差にならないように対策は必要ですし、社会保障も必要ですが、それ
らが資本主義の自由な競争を阻害するようでは本末転倒ではないでしょうか。

改革を求める人たちは、規制の全廃を主張しているのではなく、あくまで不要
だったり意味のない煩雑な規制をなくしたり簡略化しようということです。

それをまるで、弱肉強食の無法なジャングルを作り出そうとしているかのよう
に捉えるのは、既得権益者達の宣伝に騙されているように思えてなりません。

――― 弱者を守ろうとしている?

・弱者:弱肉強食の社会ではなく、弱者にも優しい社会を守りたい。

構造改革による規制緩和の推進で、競争が激しくなったり外国からの参入もど
んどん増える。そうなると弱者は競争から脱落して浮かび上がれない。そうし
た弱肉強食の社会を誰も望まないはずだ、ーーーそういって改革のマイナス面
を強調する人たちがいます。

しかし、本当にそうなのでしょうか?

競争が激しくなるということは、社会に活気とチャンスが増えるということで
す。ビジネスの世界でもそうですが、従来の談合的なやり方が崩れ、新規参入
や競争が激しくなると、色々なチャレンジをしないと生き残れなくなります。

従来通りの安定した状態ならなかった仕事やチャンスが、発生するのです。

新しいアイディア、新しい人材を企業は求め、厳しい競争を勝ち抜こうとしま
す。

そうした競争の中で、負けた企業の従業員はどうなるのでしょう?

その業界、あるいは産業界全体に、新しいビジネスチャンスが存在する限り、
新規参入が起こりますから人材の需要が生まれます。

固定化しジリ貧状態で一部の人たちを守ろうとするよりも、産業を活性化させ
新たなチャンスを作り出すことで労働市場の拡大を目指すほうが、多くの人に
とって望ましいのではないでしょうか。

学生の就職活動が売り手市場だった時の事や、地方からの集団就職の時代など
経済に活気があり働き手が足りなかった頃には、能力のいかんに関わらず働く
気持があれば仕事はあったのです。

構造改革と規制緩和によって、競争が巻き起これば、ビジネスチャンスは増え
るでしょう。そのチャンスを狙った新規参入が増えれば、労働市場も活気を帯
びます。

怖れて引き篭もるよりも、外に出て人と出会う事でチャンスも世界も広がるの
です。

構造改革と規制緩和によって競争が激化すると、それは弱肉強食という弱者が
苦しむ悪い社会になる…。そう言って改革路線を否定する人たちが、本当に心
配しているのは何でしょう。

それは各種の規制によって守られ、ヌクヌクと既得権益を得ている現状を守り
たいだけなのではないでしょうか? つまり本当の弱者ではなく、その名を利
用して自分たちを守ろうとしているように思えてなりません。

以前にも書きましたが、構造改革と規制緩和を進める以上、社会保障の改革は
必須です。

本当に支援の必要な人に届く仕組み、不正を徹底的に排除する仕組み、そして
恒常化ではなく社会復帰を促す仕組み…、本当に弱者を案じるならば、こうし
た点をこそ論じるべきではないでしょうか。

そうした社会保障の改革を言わずに、単に競争社会で弱者が苦しむとイメージ
を煽り続ける人たちは、やはり別な意図を隠しているとしか思えません。

ダラダラと書いてしまいましたが、守るべきものを守るということと構造改革
は相反するものなのでしょうか? 改革や規制緩和を止めて、今までどおりの
日本社会ならば、本当に守るべきものが守られるのでしょうか?

小泉・竹中改革が始まるずっと以前から、日本は本当に守るべきものを守れず
に崩れ始めていたと、私は考えます。

                           = つづく =
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ 読後アンケートの結果。 ┗━┛
◇ この意見に賛成 -------------------------------------- 38人 (54%) ◇ どちらかというと賛成 -------------------------------- 11人 (15%) ◇ どちらともいえない ---------------------------------- 7人 (10%) ◇ どちらかというと反対 -------------------------------- 4人 ( 6%) ◇ この意見に反対 -------------------------------------- 11人 (15%)
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ お寄せいただきましたご意見や感想。 ┗━┛
┌──────────「細野孝司さん」 けなしているだけが主旨で、あなたが目指している方向が解りません。
└────────── ┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
すみません、あと2回続きがありますのでよろしくお願いいたします。 └────────── ┌──────────「尊野ジョーイさん」 やせ我慢さんの「何を守ろうとしているのか?」は、とても首肯できる内容で した。 郵政民営化選挙の時、信頼していた言論人が、そろいもそろって小泉改革反対 の大合唱をしていました。ーーー私は賛成だったのですが、自分が本当に正し いのかどうか、ちょっと迷ってしまうほどでした。 しかし、それでも自分を信じて、小泉改革に賛成する一票入れて正解だったと 思います。 いまだに小泉改革や竹中さんを声高に批判している、注目の選挙区である静岡 7区の落選議員がいますが、彼は完全に判断を間違っていたということでしょ う。 他に良い仕事もしていたので応援しているのですが、個人献金までするのはや めたほうがいいかなぁ、、、。
└────────── ┌──────────「やせ我慢さんから」
ありがとうございます。ただ、これはまだほんの一部分なので…。 └────────── ┌──────────「1国民さん」 スパイ防止法、国家反逆罪、非常事態宣言に関する法を整備しない状態では、 開放改革路線は危険極まりない。 人に喜ばれることをする、人の為になることをする、これが日本の心だろう、 守るべきは日本の良心だ。
└────────── ┌──────────「やせ我慢さんから」
┌-------- スパイ防止法、国家反逆罪、非常事態宣言に関する法を整備しない状態では、 開放改革路線は危険極まりない。 └-------- この稿では、移民や外国人受入れの話はしていません。 もちろん、スパイ防止法は必ず必要です。 ┌-------- 人に喜ばれることをする、人の為になることをする、これが日本の心だろう。 守るべきは日本の良心だ。 └-------- それがどこから生まれ、どのように育まれたのかを考えれば、構造改革や自由 競争とは関係ない話だとご理解頂けるでしょう。 └────────── ┌──────────「オロヘナさん」 読んでいると、何を言いたいのか判らなくなってきた。具体的にどうあるべき かが示されていない。これでは賛成も反対の言えない。抽象的で捉えどころが ない!
└────────── ┌──────────「やせ我慢さんから」
ええ、これは長い文の一部分ですから。 └────────── ┌──────────「あ〜さん」 全く意味不明です。ーーー個別に箇条書きにしたものでさえ分らないというの は、私の国語力の無さか、ライターさんの頭が混乱しているのかのどちらかで しょう。他の方のコメントも、私と同じように感じた方もいたようですね。 改革という言葉の独り歩きに害されているとしか思えません。(笑) 改革が改悪になった好事例を、全く直視していないのは奇跡としか思えません ね。(笑)
└────────── ┌──────────「やせ我慢さんから」
┌-------- 改革という言葉の独り歩きに害されているとしか思えません。(笑) └-------- 誰にでも同じようなことを言っていますね。(笑) ┌-------- 改革が改悪になった好事例を、全く直視していないのは奇跡としか思えません ね。(笑) └-------- 具体的なものを示さないのが、あなた達の特徴です。 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ ▽  この記事はブログ「戦争に負けた国」より転載させていただきました。
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