パソコンにあるファイルを削除する場合に、画面で見えるファイルをゴミ箱に
捨てるという直感的な操作を可能にしたアップルが、コマンドを打ち込んで指
示するという、誰が考えても使いにくいマイクロソフトのMS−DOS、ある
いはそれをベースにした初期 Windowsに負けたのは何故でしょう?
個人レベルでの使用を考えれば、直感的な操作が可能なアップル=マック)の
ほうが使いやすく、誰にでも受け入れられやすいのは間違いありません。
しかし、現実にはマイクロソフトの圧勝であり、アップルは破産の崖っぷちに
まで追い込まれ、ライバルであるはずのマイクロソフトに助けられたのです。
業務用ソフトが強かったとかいろんな理由はあるでしょうが、MS−DOS或
いは Windowsが使えるパソコンがPC/AT互換機であったことが大きな要因
の一つだと思います。
PC/AT互換機は、仕様さえ守ればどこのメーカーでも作れるというオープ
ンなものでした。
一定の約束を守れば、あとは好き勝手にやって良いよ…、この姿勢があっとい
う間に世界のメーカーの参入を招いたのです。作る会社が多ければ多様な商品
が生まれ、また価格も競争にさらされて安くなります。
ーーーユーザが増えれば、ソフトも多様で安価になります。
一方のアップルは、自社で作ったパソコンでしか使えないものでした。=一時
数社に解放しましたがすぐに中断。
もちろん、その使い勝手の良さや多くの利点は知られていましたが、パソコン
の値段が高いことや種類が少ない事が、大きなマイナス要因となったのです。
一時はパソコン界のポルシェとか呼ばれたぐらい、PC/AT互換機との値段
に開きがありました。
同じように日本でも、NECが独自仕様のNECPC−9800シリーズなど
が一時は国内市場を席巻しましたが、日本語表示を可能としたDOS/Vが出
てからはPC/AT互換機が普及し、国内メーカーの独自仕様パソコンは姿を
消しました。
或いは昔、「ニューメディア」などと喧伝された時期には、専用マシンに専用
回線というネットワークサービスが作られました。
ーーーしかし、そのどれもが見事に失敗したのです。
もしも今のインターネットが、専用の機械でないと使えないようなサービスな
ら、決してここまでの広がり方はしなかったでしょう。
どこのメーカーのパソコンでも、インターネットの約束事を守って実行するソ
フトさえあれば利用できるというオープン性こそ、この驚異的な広がりの理由
だと思います。
すべて自社の決めたとおり、自社の管理下で行う。ーーーそれは、高品質な商
品を作るためには有効です。しかし一部の専門家相手ではなく、多数の人々に
向けた商品やサービスの場合、それはたいてい失敗します。
市場や人々は、多様性を求めているのです。
それは、商品の内容や価格で競争が起きることで実現されます。
日本で生まれる商品やソフトは、その会社以外の参入を嫌う傾向が強いと思い
ます。すべて自分たちで管理し、そして利益もすべて受け取りたいのです。
言うならば囲い込み戦略ですが、狭い国内ならまだしも、世界という大きな市
場では、競争と多様性のないサービスや商品が成功するのはかなり難しいと思
います。
自然界の生物は実に多様な姿をしていますが、実はその基本的な規則性はごく
単純な繰り返しなのだそうです。ずいぶん昔に読んだのでソースは失念しまし
たが、フラクタル構造のように短い式を繰り返していくだけで、自然界に見ら
れる多様な姿が再現できたそうです。
グタグタ書いてしまいましたが、要は、多様性と競争を生み出す仕組みでない
と社会は活性化しませんし、発展もありえないということを言いたいのです。
その為には規則を、原則と最小のものにして、その上で自由にやってもらうこ
とです。
ところが、経済対策にしても役所の規制や認可にしても、一つの型を押し付け
たり、すべてを管理しようという意図が露骨に見えます。
繰り返しますが、一団となって突き進むことが有効な時もあります。
しかし、今の日本は、敗戦直後の何もない時でも、鎖国を解いた明治維新でも
ありません。充分な力がある状況では、縛りをできるだけシンプルで基本的な
ものにして、あとは自由にやらせるほうが多様性と競争を呼び起こすのではな
いでしょうか。
もちろん、規則が少ないと色んな問題や失敗も起きるでしょう。
それが法に反するものなら厳しく取り締まる必要がありますが、思わぬ考え方
や使い方が生まれることも少なくありません。
政府や役所が、金を出すから決まったようにやれ、という方法は、多くの失敗
を生んできたのですから、別な方法を考えるのは不思議な話ではないと思いま
す。
ーーー活気や自由な発想を管理することなど、誰にもできないのです。
= おわり =
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┃●┃ 読後アンケートの結果。
┗━┛
◇ この意見に賛成 -------------------------------------- 58人 (70%)
◇ どちらかというと賛成 -------------------------------- 15人 (18%)
◇ どちらともいえない ---------------------------------- 3人 ( 4%)
◇ どちらかというと反対 -------------------------------- 4人 ( 5%)
◇ この意見に反対 -------------------------------------- 3人 ( 4%)
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┃●┃ お寄せいただきましたご意見や感想。
┗━┛
┌──────────「反日な茶坊主どもが夢の跡さん」
DOS、Windows ともに、根は他社のアイディアや技術を違法○ピーした商品
だったものを、ご両親が有力弁護士だったという政治力を駆使してゲイツ君が
売り捌くことができたのが、MS社勝利の最大要因だった、かな。(^^;;;
ーーー多様性が勝因だった事も否定しません。
Apple のクアドラ、ウン百万円もしましたもんねぇ、周辺機器までまとめて揃
えると――――。
とはいえ、あれはあれで、いい時代でしたね。フロッピー一枚で、書きたいだ
け気軽に日本語を打ちまくる事ができた軽快なDOS環境が懐かしい今日この
頃です。w
└──────────
▼
┌──────────「やせ我慢さんから」
たしかに多様な要因があったと思います。ただ、IBMが「軒先を貸して母屋
を取られた」と未だに揶揄されるように、OSを自由に供給したことが大きな
要因だったと思います。
┌--------
ーーー多様性が勝因だった事も否定しません。
Apple のクアドラ、ウン百万円もしましたもんねぇ、周辺機器までまとめて揃
えると――――。
└--------
業務用のシステムを考えると、一千万を越える投資をするのもザラでしたから
ね〜
└──────────
┌──────────「竹下義朗さん」
総論は賛成(支持)しますが、各論では少々違う考えです。
日本独自のOS「TRON」が普及しかけた時、それに待ったをかけたのは米国、
あのスーパー301条で恫喝する悪名高き「米国通商代表部(USTR)」だった事
は周知の事実です。
Windows よりも低スペックのPCで、動作が軽快で世界中のあらゆる言語・文
字体系を標準で扱えるマルチタスクOSだったTRONは、マイクロソフトや米国
政府にとっては脅威以外の何ものでもなかった訳で、米国の「国策」で市場か
ら排除されました。
確かにApple の排他性にも一因はありますが、上記のようにマイクロソフト+
米国政府による寡占化政策が主因だったのではないかと思います。
実際、当初は世界最大のPCメーカーだったIBMですら、TRON陣営に参加し
ていたぐらいで、自由市場による「標準化」の観点からすれば、米国の横やり
さえなければ、これ程のマイクロソフト独占体制は実現しなかったものと思い
ます。
└──────────
▼
┌──────────「やせ我慢さんから」
マイクロソフトが市場を独占し続けた理由という意味では、そういう要因もあ
るでしょう。
しかし、トロンの概念が提唱されたのが1984年、アップルの最初のヒット
マシンが1978年、マイクロソフトがIBMのパソコンに乗ったのが198
0代前半です。
マイクロソフトが最初に市場を獲得した時には、トロンの実態はほとんどあり
ませんでした。
また、新しい画期的なOSは、トロン以外にもいくつも出てきましたが、やは
り敗退しています。ーーー画像分野では、Beという驚異的なOSがありまし
たが、やはり消えていきました。
└──────────
┌──────────「Jan さん」
確かにそのとおりですね。
パソコンも、ン十年前、富士通が後発で出てきた時、1円入札の騒ぎがありま
したが、仕様が、どのパソコンで作った資料でも使えるというのが画期的で、
一番有難かったことを覚えています。
当社も、それで一気に業務のパソコン化が進んだ恩恵にあずかりました。(^^;
狭い国内でもそのような状態だったのですから、インターナショナルでは当然
だったと思います。
それに比べると、役所が遅れていることはご承知の通りですね。入札をする時
VISTAでは受付けない(プログラムが起動しない)ところがあるんですよ。
業者間ではブツブツ文句を言っていますが、誰も鈴をつける会社がないんです
ね。したがって当社のパソコンも全部XPです。(^^;
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▼
┌──────────「やせ我慢さんから」
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仕様がどのパソコンで作った資料でも使えるというのが画期的で、一番ありが
たかったことを覚えています。
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この点が一番重要なのに、目先の利益で囲い込みをしようとするんですよね。
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それに比べると役所が遅れていることはご承知の通りですね。入札をする時、
VISTAでは受付けない(プログラムが起動しない)ところがあるんですよ。
└--------
ネットが入る頃にも、労働強化だと文句を言っている人がいたそうです。
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┌──────────「アダムさん」
当時、日本にはトロンという素晴らしく高性能でオープンなプロジェクトがあ
りましたが、アメリカに潰されました。結局は政治力がものをいうのでした。
アップルよりマイクロソフトのほうがアメリカの国益に適っていたから、だと
思います。
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┌──────────「やせ我慢さんから」
竹下義朗さんへの返信で書いた通りです。そして、アップルとマイクロソフト
でアメリカの国益に何の差があるのか判りません。
F2にしてもトロンにしても、アメリカの妨害という部分が過大に言われてい
るように思います。そういう面は確かにあったでしょうが、他の要素もあった
結果ではないでしょうか。
アメリカが思うようにできるなら、日本の自動車メーカーはなぜ自主規制程度
で済み、結局アメリカメーカーを追い詰めることになったのか説明がつきませ
ん。
└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
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この記事はブログ「戦争に負けた国」より転載させていただきました。