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わたしの主張:賛否何論可希望討論 |
☆ 政権交代〜1選挙民から見た日本の政党政治の行方 2009/10/02
by 流水長思さん
2001年、自民党政権の守旧路線の利権構造と官僚主導の政治から抜け出す
べく、小泉構造改革が始まって、自民党政権による改革の流れが加速したわけ
だが、構造改革の弊害と批判された格差拡大や地方経済の冷え込み等が本格的
に叫ばれるようになった。
小泉政権後の、安倍、福田政権を引き継いだ麻生内閣が誕生する直前に、アメ
リカの金融危機が勃発した意味は深い。これは、今にして思えば、今度の民主
党政権誕生の前触れだったと言っていい。
ちょうど、一時優勢が伝えられていたアメリカ共和党マケイン氏を、金融危機
以降、人気の高まりに乗って逆転し大統領に選ばれた民主党のオバマ氏の政権
の誕生と、時期は少しずれたが金融危機の影響が強くあったと思われる点で、
流れはある意味で似たようなものになったといえる。
今のところ、日本の民主党新政権の評価は高まる一方だ。
脱官僚政治を謳う野党政権ともいえる鳩山政権は、清新なイメージがあるし、
年金問題のエキスパート長妻厚労相の存在をはじめ、悪名高き天下りの霞ヶ関
官僚集団に大鉈を揮うべく、いざ出陣という姿は、自民党政権の宿痾=持病)
となっていた官僚病を治療する特別編成の医師団のような感じさえする。
おまけに、甘いマスクの鳩山氏の存在も、まさに友愛というソフト路線を象徴
しているようだ。だが、前途は遼遠で、闇に包まれているのも確かだ。
オバマ政権は、発足時の人気に早くも影が差し、九月に入ってワシントンDC
では、医療保険等の問題に抗議する数十万人規模のデモが起こった。
ーーー大統領に就任してまだ八ヶ月である。
このようなことは今のところ日本では考えられないが、インド洋上での給油活
動の撤退という、アメリカとの話し合い以前にNOを突きつけた強気の外交が
どのような結果を招くのか心配される。
日米対等の関係という、自民党なら決して言い出さないような文言を簡単に口
にし、自民党政権の対米従属外交を暗に手厳しく批判しているともとれる硬派
の主張は、民主党が硬軟を使い分ける高い政治理念を有している証左とも取れ
るが、
初めての政権獲得でいささか舞い上がって、本分を弁えない成り上がり内閣と
いう印象を持つ人もいるようだ。
今回の総選挙における民主党勝利の要因は、小泉内閣を引き継いだ自民党政権
の政治改革の道筋が行き詰まったことにあるだろう。すなわち、
郵政選挙で公認されなかった自民党議員の、党籍復帰を巡る党の内部体制の混
乱、また、国内経済の格差拡大やアメリカの金融危機等によって党の構造改革
路線への批判や翳りが深まった結果、
郵政選挙で大勝した構造改革路線の勢いが逆に災いに転じ、自民党の継続政権
に求められていた不断の改革路線が方向を見定められず失速したからである。
つまり、郵政選挙に勝つために有効だった選挙戦術が、政権の首を絞めること
になり、政権の出番を促すはずの内外の経済情勢が、逆に、麻生政権の行く手
を阻むことになったのである。
ちなみにあの金融危機が勃発した時、アメリカの未曾有の金融危機の未曾有を
ミゾウと読むところをミゾウユウと読み違えた麻生首相が、漢字の読み方を知
らないとして、漢字に詳しい日本国民の失笑を買ったのは記憶に新しい。
ただ本当は、経済大国No.1を自負するアメリカで勃発した金融危機のほう
が、失笑、冷笑に値する真にお粗末な出来事だったと思う。
漢字の覚え違いなど誰にだってあることだ。漢字の読み方の知識の欠如程度で
笑われても救いはある。救われないのは、詐欺契約の蓄積が野放しにされた国
と、その影響を被った関係国である。
さて、麻生氏の首相としての不人気は、勿論こんなことに原因するのではなく
吉田茂の孫、麻生財閥の御曹司という、超名門で金持、まさに育ちが良すぎて
世知辛い浮世を生きる庶民の日々の生活実感を総理の立場で理解できる男では
ない、という判断を早々に下されてしまったことのように思われる。
ただ、そんな個人的なことが自民党敗北の主因ではなく、何といっても自民党
の政策的な行き詰まりである。つまり、今回の選挙で自民党が支持層の改革派
からも保守派からも見放されたのは、
根本は、小泉政権以降の、官僚を内閣主導で引っ張っていこうとする意識改革
の芽を伸ばす機会を与えられながら、構造改革に起因するとされた格差拡大等
の事態に効果的な対策を打てなかっただけでなく、
アメリカ発の金融危機で、国内企業の危機を救うために政府系金融機関の役割
が逆に見直される等の政府系金融機関の民営化、という構造改革に逆行するよ
うな内政の事態に直面し、構造改革以来の与党自民党内部の思想的亀裂が修正
されるどころか、逆に深まるような流れができてしまったこと、
そしてそれゆえに、小泉構造改革のそれ自身の手直しを含め、それをどう引継
いでいくのかという大事な役目を背負わされた、いわば、改革舞台の正念場に
立たされた麻生内閣であったにもかかわらず、
その置かれた状況に対する危機意識が、自民党の内部亀裂に呑み込まれる形で
空回りした結果、政権の舵取りがその場その場の状況対応で事態を乗り切ろう
とする姑息で政権維持を強く意識した運営手法に終始し、改革のヴィジョンそ
のものを、責任力という抽象的な言い回しをすることで不透明にしてしまった
からである。
これでは、農家の戸別所得補償や子供手当の支給、高速道路無料化という具体
策をふんだんに盛った民主党政権のマニフェストに差をつけられないわけには
いかない。
つまり、そのような民主党の明快な提言に比して、自民党の言う責任力とは、
いかにも説得力に欠けた抽象的な表現であり、景気回復や所得アップという言
葉も、目新しさのないお題目に過ぎない印象を与えたのである。
ともあれ、アメリカ発の未曾有の金融危機の波紋が、今回の衆議院総選挙では
民主党優勢の流れを後押ししたことは間違いないだろう。
国会で、小泉政権時の郵政改革には立場上やむを得ず付き合った、とまでは言
わなかったけれど、それに近い発言を麻生氏がしたことがあったが、あれは、
郵政改革を錦の御旗に立てた小泉構造改革は、麻生氏の心の中ではついに馴染
むものにはならなかったという正直な述懐だったろう。
つまり、金融危機に直撃されて、小泉改革以前に、アメリカ頼りの日本経済の
体質の脆弱さこそ問題だ、と麻生氏は首相としてあらためて実感したのではな
いか。
その意味で、郵政民営化を改革の本丸とする小泉構造改革は、自民党の目指す
本質的な改革ではない、と麻生氏は心底では言いたかったように思えるのであ
る。(小泉人気に遠慮して口には出さなかったようだが)
だから当時の鳩山総務相が、かんぽの宿問題で執拗に西川日本郵政社長の更迭
を主張して譲らなかったのは、金融危機の直撃によって、小泉構造改革が内外
からの圧力に晒されることになって、
かつての精彩を完全に失い、そのような事態になったことを契機に、構造改革
の本丸とされた郵政改革の象徴になった西川氏の存在を否定することで、人気
に引きずられ斬新だが急進的な郵政の全面的な改革を急いだ小泉政権と完全に
一線を画す、保守本流の麻生内閣の独自性を確立したかったように思えるの。
ただ、麻生氏は、小泉政権の閣僚でもあり、これまでの経緯やその責任を感じ
ているから、鳩山邦夫氏に自由な発言を許しながら、西川氏を更迭せず、その
ような状況になお麻生政権の独自性を打ち出そうとして自らの主張に固執する
鳩山氏を逆に更迭せざるを得なくなったのだろう。
ここのところは、麻生さんは偉かったように思う。
今度の政権交代は、まだしかとは判断できないが、自民党が長期政権ゆえに抱
え込んでしまった、死角ともいうべき官僚政治の病巣を本質的には野党政権と
もいうべき民主党によって荒療治してもらえる絶好の機会、になるかもしれな
い。
もしそのようになるなら、民主党には、その点で感謝すべきであり、新たに出
直す自民党との政権獲得競争で日本の民主主義の質を高めるため、保守本流と
新保守の二枚看板で、今後、大いに日本の政治刷新に新たな道を切り開いても
らいたいものである。
――― 追 記
日本郵政の西川社長の自発的な辞任を求める亀井新大臣の発言があったが、水
面下では、官僚の意識改革が遅々として進まない状況で、表の世界ではど派手
に政治改革の演目として、総選挙を賭してまで実行されたのが郵政民営化であ
る。
つまり、構造改革派から、既得権益にしがみつく官僚体質と十把一絡げに批判
され、改革を阻む守旧派と槍玉に挙げられた保守政治家が、ようやくその汚名
を晴らすべく、新保守政権誕生と共に郵政担当大臣にまで登り詰めた亀井氏の
心中は、ようやく無実の罪を晴らせたような感慨深いものがあったのではない
か。
もっとも、その発言の仕方に、郵政問題で複雑な思いを抱いている亀井氏の個
人的な感情がいささか滲んでいるような気がするのは公の政治家として心配な
のだが、郵政選挙では、あのホリエモン氏と一騎打ちするまで追い詰められた
当時の状況を思い出すにつけ、その気持は痛いほど伝わってきそうだ。
しかし、日本人の保守的体質にしては斬新すぎる、郵政改革という熱気を帯び
た改革の嵐は、時を経て、ふと気づけば、経営効率より素朴な通信サービスの
文化を守ろうとする骨太の土着的地域性の前に、いわば、股裂き状態になって
いる赤裸々な現実が、亀井発言によってあらためて知らされた。
建前としては小泉政権からの今までの経緯を考えれば、西川社長は決して辞め
させるべきではないし、政権交代した今、郵政も見直す観点からすれば、本音
では絶対辞めさせるべきだということになる。
しかし、本音だけを実行した場合、あの郵政選挙は何だったのかということに
なる。さらに本音の本音を言えば、
300兆円の郵政資産が心配だというのなら、例えば郵政民営化を1/10の
規模に縮小して考え、30兆円程度の資産でモデルプラントのような事業をや
る形で、都市部を中心に完全民営化を実行するということならば、
リスクは抑えられ、西川社長で問題ないし、今までの経緯をすべて活かしなが
ら郵政民営化を改革の象徴のように進めていくこともできるのではないか。
つまり、小泉改革では改革の本丸とされた郵政民営化だが、股裂き状態の現実
を知ったことで、改革の象徴に止めるのである。
こうすれば、郵政文化という草深い、電脳文化とは異質な近代文化の古き良き
伝統を地方に残しながら、郵政民営化という都市部限定の先進的実験に、勇ん
で踏み込んでいけるのではないだろうか。
素人考えだが、民主党と自民党のような二大政党政治の発展のためにも、徳川
政権が豊臣政権を根絶やしにしたような、前政権の仕事を抹殺するようなやり
方は避け、お互いあっての自分達という、余裕のある発想で政権運営をやって
ほしいと多くの国民は思っているに違いない。
なにしろ、今は戦国時代ではなく、国内の民主政治の質を高めることで複雑な
国際情勢に対応する、日本の政治力の醸成が求められている現代なのだから。
= この稿おわり =
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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