深セン経済特区より ―――――――――― by HAJIME さん
☆ サヨナラ〜ひと昔前の中国〜 ―――――――――― 2005/01/16

ニイハオ……

今週はいよいよネタがないので、ヤケクソで中国と全然関係ない話題から始め
てみる。ーーしかも、趣味のオタク映画のご紹介エッセイだ…
!?・・・あ?、編集長 OJIN さんブチ切れてる・・・。

―― 去年、ゴンちゃんにVCDをもらいました。

なんでくれたのかというと、ジャケがいかにも思わせぶりな....つまりスケベ
映画っぽいデザインだったのに、観てみたらただのクラシックラブストーリー
だったからイラナイということで。
ーーそれは1950年代製作のアメリカ映画「SAYONARA」でありました。

思いがけず手に入ったものすごいカルト映画でして、ストーリーは1950年
代に、朝鮮戦争で朝鮮半島に来てる米軍の士官が休暇で日本に来て、全然期待
もしないで来た日本という国で「マツバヤシガールズ」という女性だけの劇団
つまり宝塚ですね、の、トップスターの美女と恋に落ちたことによって日本に
魅せられて、軍隊の保守的で非合理な規則と戦いながら愛を貫く、
ーーというまあ、くだらんメロドラマなんです。

腰が抜けるようなヘボなドラマなのに、主演がなんとまああのマーロンブラン
ドで、監督がまああの「南太平洋」なんかの名作で知られたジョシュアローガ
ンなんです。

で、ワタクシはこのVCD見て涙が出るほど好きになってしまいました。
この映画に描かれているニッポンが、なんかすっごいヘンだからです。
だいたい、
ストーリの主眼として「マツバヤシガールズが日本の文化を代表するもの」と
してどえらいご大層に紹介されて登場する。たしかに宝塚もSKDも松竹少女
歌劇も、戦前戦中の人気と影響力は現在の比較ではなかったらしいが、しかし
なんぼなんでも日本の文化を代表してはいないだろう。

ヒロインは「お父さんが亡くなって一家の生活のために」少女時代に歌劇団に
入ったはずなのに、映画の中では流暢な英語で通し、ほとんど日本語を話さな
い。貧しかったのにどこで勉強したのだ..それも敵性語を。

そのステージシーンも、ちゃんと日本のレビュー団の指導があったらしいのに
なんか..地方温泉のショーみたいで、ほんとに宝塚見たことあるのか、という
感じ。その他、ヒロインが毎回成人式みたいな派手な振袖で会いにくるとか、
テーブルの上の料理もデートで行く割烹?の屋台??のつくりから、出てくる
食べ物から、いちいち怪しい。

しかも、どこの街という設定になっているのか(神戸か?)さっぱり分からんの
だが、ブランドが親友(日本女性と結婚して民家を借りて住んでる)の家へ遊び
に行くたびに通る近所の川で、3人の労務者風おじさんが色とりどりの染物の
反物を洗っているのがたまらん。そんなドブ川みたいな小さい川ではやらんと
思うが・・・。

この親友がまた「日本通の日本びいき」という設定で、家の中ではいつも和服
着てて、木でできた風呂桶で風呂に入って、英語の流暢な最愛の日本人の奥さ
んに背中を流してもらってご満悦。???すいません、戦前の日本では、入浴
する旦那の背中を..着衣の妻がゴシゴシ流したりしていたのでしょうか???
ーーまあ、奥さんが裸でスクリーンに登場するわけにはいかんだろうけど。

クライマックスで、ブランドの出世のために身をひかんとするヒロインを追っ
かけて、マツバヤシガールズの劇団本部??に飛び込むブランド。男子禁制の
劇団の建物は、誰がどう見てもお寺そのまんま。
若いお嬢さんたちが、畳の部屋で正座して歌のレッスンしてるわ、本堂でレオ
タードでバレエのレッスンしてるわ、、、もう頭が割れそう、、、。

あと、重要な人物として歌舞伎のスターのナントカカントカ蔵というのが出て
くるのだが、アメリカ人が無理矢理メイクで顔を扁平にして、黒いコンタクト
はめて演じている。もちろん終始英語を喋る。

そんな、何回見てもずっと笑いっぱなし突っ込みっぱなしになる宝物のような
作品であります。
とっても気になるのが、このバカ映画は、名優ブランドのフィルモグラフィに
おいてどのような扱いになっているかということですが・・・。

―― で、この映画を見てただ笑ってはいられない。

スクリプトを見ると、ちゃんと原作小説があるらしい。おそらくほんとに朝鮮
戦争に従軍した人が書いたのかもしれない。少なくとも軍隊にくっついて日本
に来て、ある程度滞在したか、取材したには違いない。

太平洋戦争中、アメリカはもの凄く日本という国を調査研究したという話だ。
その上、終戦後進駐軍ということでもの凄い数の、普通のアメリカの若い人が
日本に来て、滞在して、日本人と深く関わって、付き合って、日本を深く理解
して、アメリカに帰っていったはずだ。

当時既に、世界一の先進国のアメリカの情報量と教育レベルと文化レベル相当
高かったはずだ。しかし、この映画に描かれた日本は、ずいぶん頑張っていい
線いってるけど、やっぱりかなりヘン。当時、日本についての情報も交流も、
おそらく世界一だったはずのアメリカなのに。

----たんにローガン監督と脚本家が、オリエンタルムードで映画を埋め尽くす
ために、わかってて、しかし意識的に、ムチャクチャに日本アイテムを並べて
いる、と考えてやるのが一番真っ当ですか----

で、何がいいたいのかというと、いくら情報がいっぱいあっても、毎日たくさ
んの人間がその国に出入りしてたり、長期で滞在していたり、その国の生産物
が輸入されてて生活の中に溢れていても、それもすぐ隣の国であっても、よそ
の国というのを正確につかむというのは非常に難しいものなのだなあ、という
ことであります。

では、中に住んでいれば、それも何年も住んでいたら、ずいぶん分かるのかと
いえば、ワタシ自身に関していえば、中国はいればいるほど分からなくなる国
なんであります。
その上、皆さんもご存知の通り、年9%とか11%なんて信じられない勢いで
成長発展している国ですから「この国はこんな国だ」と思い込みますね。その
言葉も言い終わらないうちに、もう「そんな」ではなくなっている、という感
じ、といってもけっこう誇張ではないのが今の中国です。

簡単な例を出すと、去年までは「中国の若い娘は化粧しない」とけっこう自信
を持って言えましたが、今、毎日経済特区を歩いて見回せば、あれあれお化粧
してる娘の多いこと。

去年までは「中国のものもずいぶんよくなったけど、ストッキングはやっぱり
香港へ行って買わないと」なんて言っちゃってたけど、いま街で娘さんたちの
おみ足をギンギン眺めると、もう、例の肉ジュバンみたいな、くるぶしにたる
んで段々にたまる、厚ぼったいストッキングを穿いてるのを見つけるほうが稀
になってしまっている。

去年あたりは「女の子はまあけっこうイケてるけど、男はやっぱり全然おしゃ
れというものがまだまだで・・・」なんて言ってたけど、今シンセンの繁華街
を歩いてみれば、日本のイカレタ10代の若者と区別もつかないような、服装
や髪型の研究に余念のない、ふうのアンちゃんたちが金髪でスケボーで駆け抜
けて行くのはザラ。

ーー経済特区では、タンを吐く若いおねえちゃんやオニイチャンもほとんど見
ないです。

もっと卑近な例を出しましょうか。こういうHPを読んでらっしゃる日本人の
皆さんは「中国にはニイハオトイレというものがあって、中国人は人前で排泄
するのが平気だ」と思い込んでいらっしゃるかもしれません。

が、ワタクシが毎日会社のビルの共同トイレで観察(≒8ヶ月)したところでは
このビルで働くOLさんたちはですね、洗面所に誰かいると、トイレに入らな
いんです。つまり、他人が出て行って一人になるまでトイレに入って排泄しな
いんです。これは驚きましたよ。

どうしてか?まさか聞くわけにもいきませんが。都市部の高学歴のホワイトカ
ラーというのは、農村出稼ぎの若者と全然違う生き物のようです。ひとつの国
のなかに2つか3つ国があるような感じですか。

だから、今の中国を「中国はこうだ」と伝えるのはけっこう難しいのです。
「今のところこうだけど、3ヶ月後は分かりません」というのが安全でしょう
か。
いま、ワタクシが毎日頭を悩ましているのは、10年前初めて来たときの強烈
なイメージからなかなか抜け出せず、ドンドン変わっている中国にどう随いて
いったらよいか分からんということでしょう。どうしても10年前のイメージ
によって出来た色眼鏡で見てしまうクセが抜けません。

例えば、10年前の天津でも北京でも、道を行く人、街角でたたずむ人、仕事
場の人、道端の売店の人、自転車の人、みんな「コーヒーの瓶みたいな空き瓶
にお茶ッ葉と温水をいれたもの」を持っていたんです。ほんとに。乾燥してる
から、いつも水分を補給するためなんだろうけど、とにかく歩いてる人までこ
のお茶の瓶--たいていは果物の瓶詰めなんかの瓶の廃物利用だったなあ--持っ
てるんですから。
ーーで、いまは..瓶持ってる人、ゼロ。

開発区のワーカーさんも、ここ2、3年ぐらいで、みんなお金出して市販のミ
ネラルウオーターを買って、飲みながら歩いてます。時々たま〜に瓶のお茶を
見かけると、じ〜んとしますね。でもそれも、お茶携帯用のスーパーなんかで
売ってる専用の容器だったりして、もう果物の瓶の人はシンセンではほとんど
見かけません。工場なんかではまだいるかな?って感じですか。

お茶といえば、中国人はとにかくいつもお茶を飲んでいる人たちなんですが、
シンセン経済特区のコンビニでは、、お茶っ葉を売ってないんです?!すごい
ショックでしたよ。
開発区だったら、どんな小さい売店なんかでも、袋入りのお茶ッ葉、売ってい
るんです。それも、日常水代わりですから、安ければ安いほどいいというわけ
ですっごい安い。日本の緑茶の袋サイズで2元≒30円)3元ぐらいか。

それが経済特区では、スーパーに行けばまあ、そういう袋茶はあるけど、コン
ビニには売ってない。コンビニにあるのは、おしゃれでずいぶん高い有名メー
カーのティーパックと、パックのコーヒーだけ。
ええ?葉っぱのお茶、飲まないのか?
そんなビンボ臭いもの飲まないのか?
と開発区との差にびっくり。たった一時間のところにあるのに。

「SAYONARA」が、実際に日本を見ているのに、そのままを描かず、自分の中で
固まってる日本のイメージをむりやりかぶせてしまっているのと同じではない
か、と自分をバシバシ叩いて目を覚まさせる、その繰り返しです。
昔の中国を知ってるというのは、今の中国を正しく見るのに、かなりの障害に
なるかもしれません。

そのぐらい、中国の変化が早いということです。こんなに早くめまぐるしく変
わって、なんで中にいる人たちは振り落とされずに車酔いにもならずに平気な
のか、実は不思議でしかたがありません。

なにせ、ワタシが中国に初めてきた95年の天津では、人々は「もっと高級で
いい自転車を買うこと」を夢みてたんですから。それがいまのシンセンでは、
20代の若者が、けっこう気軽に「本田の車を買う」なんて口にだしちゃうん
ですから..変われば変わったものです。はああ・・・。

―― さて、最後に

ああ、でもやっぱりまだまだ中国だあ....とワタクシをホッとさせた話題を。

今週(10日の週)は、著作権推進キャンペーン期間だったようで、ニュースで
毎日「今日○○省で海賊DVDの販売拠点を数箇所、公安が手入れをして・・
・」のパターンが報道されてました。

で、なんでもこの期間で押収されて処理された(例によって例のごとく、ガソ
リンかけられて燃やされたり、ローラー車でバリバリ踏み壊したり)海賊盤が
がなんと6000万枚だと。ほんとかよ?
人口が13億というのは、何をやっても数の桁が違うとはいえ…。

でも、ワタクシの見る限り、シンセンのどこのお店も普段どおりに普通にいっ
ぱい海賊100%DVDを並べて商売をしているのです。つまり、普通に生活
してたらそういう取締りをしてるのを感じることができないほど、どこでやっ
てるか分からんような比率で行っても、6000万枚…。
ーーいったい中国全土の海賊DVDの総生産量って・・・。

----まあ、ひょっとして北京等のお膝元に近い地域では、お店が軒並み空っぽ
になってるのかも知れませんが----

これもワタクシの色眼鏡かもしれませんが、あと10年経っても、中国はやっ
ぱり海賊版天国のままだと思います。
ーーでないと「SAYONARA」みたいなマニアでカルトな映画も手に入らなくなる
しね!!

                        = この稿おわり =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
↓
―― 今週の別冊付録:

読者のS先生と密会デートして
るとき、街で見かけてふたりし
て
「HPに載せるんじゃあ!!」
と撮りまくってしまいました。

なぜ多摩ナンバー???
さて、
(1)盗難車
(2)おしゃれなアクセサリーと
  して実は広州のオートバッ
  クスで売っている、

ーーーーのどちらでしょうか。知りません!!

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