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中国ビジネス・急がば回れ! ―――― by 張偉京先生

☆ 中日コミュニケーションの本当と嘘 ――――――― 2002/10/09
│30年前と比べて、中日関係はいろんな面で進みました。
│
│情報が氾濫しているから、ちょっと整理したい、と思って上海新聞136号
│を書きました。単に自分が思い付いたことだけで、皆様のご意見もお聞きで
│きればうれしいです。民間レベルのコミュニケーションは、もっと盛んにな
│ればいいですね。                  ――― 張偉京
└--------

せっかくの国慶節だが、どこも混んでいるので、ずっと外出しなかった。
風邪で1日休んだら、いろんなことが頭に浮かんできた――――。

去年から増えている日本の皆さんとの付き合い、中国ビジネスのトラブルの話
などもよく話題になっている。あまり尊敬できない人や企業もあるが、まとも
に頑張っている人や尊敬できる人もいらっしゃるので、彼らのためにも僕なり
の見方を述べたいと思った。
ーーー少しでもいままでのようなトラブルが少なくなればと思う。

はじめに

1986年、初めて国を出て日本に行ったとき、がっかりしたことがあった。
町中の女性が、想像していた綺麗な着物を着ている女性じゃなかったからだ。
メディアも情報も、だいたい偏っている。これはしかたないかもしれない。

例えだが、1日中に世の中で1億件のことが起っているとして、メディアは限
られたスペースと時間とチャンネルで、そのなかの1万件しか伝えられないか
もしれない。1億から1万をどう選ぶのかはメディアの性格や価値観による。
ヘッドラインは1つしかない。どれをトップに扱うかもまた偏った話でしかな
い。

日本の女性が着物を着ている姿は、お正月や成人式のような極稀なケースでし
か見られないにしても、日本的だから新聞や雑誌やテレビなどにたくさん出て
くる。これはもう偏ったメッセージを作っている。われわれの脳はさらにそれ
にフィルターをかけた。我々の好みや経験や先入観で。

メディアは、着物姿以外の日本女性も写しているが、それを我々の目は無視し
てしまう。偏ったメディアと偏ったわれわれの目。世の中は、我々の頭の中に
いつも歪んで映っている。だから嘘だらけの日本企業中国進出物語があった。

「騙された」のは本当?

日本のメディアや日本企業中国駐在員や、たまに中国とまったく関係ない日本
人でも、日本企業の中国進出の失敗に対して、よく「中国人に騙された」と片
付ける。このことをよく考えると、同じ「中国人に騙された」ことでも、以下
のいくつかのケースがある。

―― ケース1:本当に中国人に騙された

これはもちろんある。13億もいる中国人だからいろんな人がいるはず。犯罪
者もいれば信頼できない人もいる。人を騙すのが職業という中国人さえいると
思う。これは世の中どこでも一緒。だから雪印乳業や日本ハムのようなことも
起る。あとは、世の中もっとも威張っているあの米国のワールドコムとか。

このケースは事実。釈明する余地はない。

騙されないためには、結局相手をきちんと見分ける目を持つ必要がある。ちゃ
んと信頼できる人をみつけて信頼関係を築くのは重要。これはビジネス世界の
基本で中国だけのルールではないと思うけど。

しかし、悪い中国人に騙されたのもいれば、信頼できる中国人と出会ったとき
も、ちゃんと判断できる目を持たずに、または行動力を持たずにチャンスを逃
してしまったり、信頼できるパートナーとの関係を悪化したりする逆のケース
もある。結局、どうなことをするにもまず自分の方がしっかりしないと無理。

―― ケース2:知らないから「騙された」と思った

いくら優秀な日本企業や日本企業駐在員でも、優秀なのは中国に進出する迄。
中国は違う国だから、日本と同じように期待するのはおかしい。もともと日本
と全く同じなら、もう進出する価値もなかったと言える。

中国も知らずに、まともな中国語も喋らずに中国に来てしまった。日本の書店
に孫子兵法がたくさん置いてあるが、飾り物だろうか?相手を知らずにビジネ
スをするのは無謀な話。たまたま成功したら単に運がよかっただけ。それが経
験になったらそれ以上恐ろしいことはない。

違うのは当たり前だから、それを前提に考えて行動する。違いをよく調べて明
確に把握する。相手と十分コミュニケーションを取る必要があるが、殆んどの
人は足りない。自分の常識で動いて失敗したら「騙された」というのは的はず
れだ。

相手も単に相手の常識で動いているだけで、騙そうとするつもりはまったくな
い。こういう常識はだいたいそれぞれ一理があり、完全にどちらかのルールで
通用するのは難しい。

たまたまいまはたくさんの日本企業が中国に来ているから、中国人に騙された
話が多いけど、もし中国企業が大量に日本に進出しているなら、日本人に騙さ
れた話も毎日中国のメディアで賑わうだろう。ーーー日本を知っている中国人
も少ないからね。日本の常識を知らないから中国の常識で動いたら、当然違う
よっと..騙された気がするだろう。

こういうケースは、十分な準備や勉強が足りないから起る。本当は十分な準備
や勉強は間に合わなくても、相手を知ろうという心の構えがあればトラブルを
減らすことができるはず。

―― ケース3:欲があるから騙される

簡単にいうと、2人は騙しあって1人は負けただけの話。こういう場合は、負
けた人に同情するか?私の目には2人とも同じ次元の人で、そもそも勝った人
にうまいなぁと誉めるべきかもしれない。

正直に認める人や企業は少ないけれど、中国のために、中国人のために、中国
進出してきたのは、普通あり得ないと思う。(もちろん、少ないけど存在する
のは信じる)欲があるから中国に来ているのだ。まずはお金のためだ。コスト
を下げるためならお金のためで、中国市場を狙ってきたのもお金のため。あと
は、女のため、というのもいるかもしれないーーー。

欲があるから問題が起る。これは永遠の真理。いろんなトラブルの裏を調べて
みれば、答えは簡単に見えてくる。正直に話せる人は少ないけどね。しかし、
みんな大人だから常識で分かるよ。話さなくても。

何回か騙されたことがあるかと聞かれたことがある。
ない。
なんで?
欲がないからだ。物の次元で求めていない。

―― ケース4:責任転嫁

これは当事者はだれも認めたくないと思うけど、駐在員たちは帰国すると自分
の立場は問題になるからだ。同期の人も気になるし昇進などもある。中国でう
まく行かなかったら、自分の責任にするのは当然できない。自分の責任でも中
国人に騙されたとしたら話はしやすくなる。

ーーーこれは人間の弱いところで仕方ない。

―― ケース5:みんなで言ったら恐くない?

これはもっともつまらないケースだ。本当はどうか別にして、みんなそう言う
から自分も口を揃える。

―― まとめ

まとめにはならないちょっと逸れた話だけど。

いつ読んだか忘れたけど、日本の有名なS社から出したビジネス情報誌で、日
本企業中国進出の苦労話の特集があった。ある日本人の大連での奮闘記(?)が
あって、

1回目は中国人に騙されて失敗した。
2回目は中国人を仲間にしないといけないと分かっていろんな方法で中国人に
接近した。しかし2回目も仲間にしていた中国人に騙されてまた失敗した。
3回目はやっと成功し、中国人に勝ったというような「すばらしいお話」。

日本の皆さんは、こういう記事をどう受け止めているか知りませんが、私には
多少ショックだった。商売人と商売人の勝ち負けの話に過ぎなかったのに..。

2回目は、単に中国商売人を利用しようと思って、結果的にもっと騙しあいの
うまい中国商売人に負けただけ。「3度目の正直」で勝ったように見えるこの
人は、いずれ失敗すると私は思うよ。こころに問題があるからだ。こういうと
ころで勝った負けたと思ったら子供の喧嘩みたい。

それで雑誌の編集者の品格まで疑ってしかたない。結局あの雑誌を読んだのは
あれが最初で最後だった。ほんとうのビジネスならもうすこし品があるはず。

我々が尊敬する日本の経営者も中国の経営者も、まず人格が素晴らしい。いく
らうまく設計したシステムでも、人の心が歪んでくると世界は狂ってしまう。
ワールドコムとか雪印乳業とか、どっちが勝っても世界の不幸に過ぎない。ビ
ジネスには心がある。

幸いこれは「日経ビジネス」の記事ではなかった。日本にいた頃日経も日経ビ
ジネスもよく読んでいたから、よく読む雑誌は品格がないと読む自分は悔しく
なる。

話は戻るが「中国人に騙された」というのは、少なくとも以上の5つのケース
があるけど、それ以外のケースも当然あると思う。

ソフトも中国へ?

いままではまず日本の製造業は中国に進出。最近ソフト関係の進出もホットに
なってきた。ホットなできごとをクールに見てみるといろんな問題がある。

7月に大連で、中国のソフト企業と日本のソフト企業との懇談会があった。わ
ざと時間を作って大連まで行ったのに、結果はかなり失望した。形があっても
中身のある交流ではなかったから。

日本からの参加者は、日本のソフト業界を代表する企業の会長や社長が多く、
すごい豪華なリストになっていたが、本気で中国企業と付き合おうという気持
ちは感じなかった。ほとんど中年以上や年配の人で、中国側の若いリーダー達
と比べてみると違う世代。それだけでも中国と日本のソフト業界の協力の難し
さを感じた。

大連の会議で、日本からの参加者の皆さんは規模の差が大きいので、まだまだ
小さい中国企業を相手にしていないように見えたが、このままにいくと5年間
経ったら困るのは日本企業。ソフトは製造業と違うから。

世の中、中国が世界の工場と言っているけど、日本の製造業の強さは世界一。
ソフトに関しては、アニメとゲームは別にして日本は世界一ではない。今まで
の中日ソフト業界の付き合いは、だいたい日本で設計したソフトを中国でプロ
グラミングする形をとる。いろんな問題が出ている。責任?両方にある。

長年日本大手企業のシステムコンサルタントを務める友人は、日本から中国に
発注するソフト開発プロジェクトのトラブルの責任はほとんど日本側にあると
断言。その理由を聞いた。なるほどと思う。

基本的に日本ソフト企業の中国進出は、単にコストを下げるためでも、または
中国マーケットを狙うためでも、製造業以上の壁が待っていると思う。日本と
違って中国のソフト業界は、もっとも優秀な中国人が集まる業界の1つである
ことは、忘れてはならない。

中国と日本、国境を超えたビジネスには嘘が多過ぎる。普通の人はあまり知ら
ないから嘘をつきやすいのかもしれない。

終わりに

2002年9月21日朝。
上海虹橋空港の待合室で成田行きの便を待っていた。今までと違って、中国人
ツアー団体があった。浙江省の人たち。見た感じでは農村の人たちだと思う。

前に一回、関空から上海行きの飛行機に乗ったら、まわりははじめて海外旅行
に出る農民のような人たちで囲まれて、みんな興奮して関西弁で大声で話して
いた。

中国と日本との付き合いは、主席や首相の付き合いだけの時代を遥かに超えて
われわれ普通の国民の付き合いの時代に入ったと実感できる。いまのシーズン
だと着物を見るチャンスはないなぁ、、、浙江省の農民達は16年前の私のよ
うにがっかりするだろうか?

メディアも情報もすべてフィルターを通っていて、本来の姿と違う。自分の国
でもそうだが国境を超えたらなおさらだと思う。同じことはいろんな角度から
見られるので、ぜひとも先入観を持たずにいろんな角度からできるだけ全体像
を見てほしい。感情的にではなく冷静に。

そして、なによりも大事なのは、「善」の心を持つこと。中国人であろうと日
本人であろうと、習慣や表現は違っても、愛・優しさ・思いやりなど、基本的
に大事なところは皆一緒。これはコミュニケーションの基本かもしれない。
┌--------
│上記の記事中、少し解釈に迷う部分があったようで、
│上海新聞137号誌上で解説されておりましたので、
│関係する部分のみ転載させて頂きます。
└--------
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上海新聞136号「特別号:中日コミュニケーションの本当とうそ」
http://www.fushan.com/jp/shanghai/shnews/show.php?showid=154
について読者の皆様からいろんなご意見やコメントをいただきました。
どうもありがとうございます。

「よくまとめた」や「日本を悪く言い過ぎ」のような短いものは別にして、長
い便りもいただきました。

日本の本部が中国支社のことを理解していなくて苦労するようなお話や、それ
で中国人に騙されたと片付けたこともありうるお話はありました。確かに一生
懸命頑張っている現場のことを理解もせずに、いろんな問題を起こしてしまう
ことがありますね。仕事ってけっこう大変です。やってみないと分からないこ
とが多くて。

ちょっと誤解もありましたので少し説明を。

「5年後中国のソフト企業が日本のソフト企業を超えることはありえない;
日本企業が困ることは考えられない」というご意見がありましたが、ちょっと
私の言いたかったことと違います。

「5年後困るのは日本企業」(ソフトの話)と言ったのは、日本の製造業の中国
進出に次いでのソフト企業進出の話でした。すでに、製造業は中国に進出して
いろんな問題が出て困っているから、ソフト企業はもっと大変だと言いたかっ
た。
(1)コスト削減
(2)中国マーケット獲得

という2つの目的で日本企業の中国進出があって、そういうことを前提にして
いる話でした。中国ソフト企業は5年後に日本企業を超えることは当然ありえ
ないし、20年後でもまだ無理だと思いますよ。個人的には、中国が日本に追
い付くのは50年以上かかると思います。

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 編集発行:
 張 偉京@上海浮山媒体有限公司 ( weijing@fushan.com )

 ★「音声で覚える中国語の基礎1」CD-ROMソフト for Windows:
   http://www.fushan.com/jp/jphtml/hcidx.htm
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   http://www.fushan.com/jp/jphtml/tpidx.htm
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   http://www.rakuten.co.jp/fushan/
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   http://www.fushan.com/download/chugokugo/index.html
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   http://www.fushan.com/diaocha/20021012/index.htm

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┃┃ お便りで頂きました感想。
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┌──────────「大脇@名古屋さん」――――――― 2002/10/16

正直な感想です。ただ、感想だけです、ハイ。なぜ、このような記事が、日本
のメディアに出ないのか不思議です。日経はそんな記事(中国にだまされた)
を載せていないかも知れない。が、この様な記事も各社載せないのでしょうね
きっと。

成功したことを高らかに宣伝する人がいないのは当たり前じゃないですか?
だって成功を真似されたら、自分が儲からなくなってしまうじゃないですか。
で、騙された、と自分を取り繕わず、商売に負けた、と素直に受け止められる
日本社会になれば、構造改革も簡単に進むでしょうね。(関係ないか?)

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└→ 感想や激励、ご意見などをお待ちしています。 
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