世界のトイレあれこれ
☆ 世界のトイレ考 ―――――――――――――――― 2001/10/03
                          by 藤田健さん

ーーー先週、先々週の私(藤田健)の投稿、
「なぜトイレで紙を流さないのか?」と「水で処理するとは?」に続きまして
ーーー今回もトイレについての話題を。
皆さん、トイレって世界中の人が使ってるって思っているでしょう?でも案外
そんな常識も、決して世界の常識ではないんですよ――――。

私が、パキスタン北部の山間の町ギルギットの、とあるツーリストロッジで迎
えた爽快な朝――――。各個室にもトイレが完備されている、なかなかに快適
な安宿の広い庭で、気持よく朝の空気を吸い込んでいたその時、私の視界に、
なんとその宿のオーナーが、気持よさそうに庭で用(大きいほう)を足している
のが目に入りました。

「えっ!なんで?」早速彼に尋ねてみました。「なんでトイレでしないの?」

彼曰く、「なんでせっかくの気持のいい朝なのに、よりによってあんな狭っ苦
しい暗いとこでせな〜あかんのや。表のほうがよっぽど気分がいいやんか」

これを聞いてなんだか、人目を気にしてその狭っ苦しいとこ以外では用を足せ
なくなっている自分が、つまらない常識にとらわれているように感じて、妙に
納得してしまいました。だって、経験のある方には分かっていただけると思う
のですが、“野糞”って開放的でなんとも気持がいいものですよね。

車の入れないような山奥や砂漠を旅していると、トイレの存在しない地域とい
うのがけっこう多いことに気付きます。地元の人に「トイレはどこですか?」
と聞けば、「お好きなところで」ーーーという返事。

奥地でも、密集している集落ではトイレのあることも無論多いけど、考えてみ
たらインドの大都会でも、近くの川原や原っぱがみんなのトイレっていう場所
は多かったもんね。早朝、列車で移動しているとよく、車窓から朝のトイレの
情景が眺められました。

また、そんな田舎では、自給自足の生活にちょっとだけ貨幣経済が入り込んで
いるといった地域がほとんどです。だって、車が入り込めない地域での流通手
段は人力やラクダですよ。だから物は貴重品です。お金を使うということは、
地元では手に入らないスペシャルな物を買うということ。トイレットペーパー
なんかに貴重なお金は使えません。

よって、トイレットペーパーが発明された近代以前からの伝統に従って、水の
手に入るところでは水で、水では不具合な場所では、何か身近にある適当なも
の、葉っぱや小石、砂など、思い付くもので処理することは実に自然なことだ
と思います。ーーー現代でも、ちょっと途上国の奥地に入り込めば、世界中い
たるところで見受けられることだと思いますよ。

次に、中国で話題の仕切りのないトイレについて。

中国では、政府によって認可されている外国人の宿泊できる宿では、トイレに
仕切りがあることが一般的です。しかし、ーーー1990年頃の雲南省では、
外国人用の安宿や長距離バスの休憩時の公衆便所など中国式の便所もよく利用
しました。

そんな外国人用の安宿では、ドミトリー(大部屋)に宿泊することが常でしたが
大部屋に泊まっていれば当然同じ部屋の旅人たちとは仲良くなります。そして
朝、やっぱり皆のトイレタイムも重なります。そんな時、中国式トイレで一番
恐ろしいことは、仲良くなった日本人旅行者とトイレで鉢合わせをしてしまう
事。無論、大のほうの用を足している最中にです。

こんな心理は、日本人同士ではすぐに以心伝心して、共同トイレであるにもか
かわらず今誰がトイレに行っているかをみんなちゃんと把握していて、順番に
トイレを使っていました。ーーーしかし、欧米人の心理は違います。

そう、仲良くなった欧米人の旅人とはトイレで会ってしまうのです。そんな時
朝一番の出会いですから、当然いくらこちらがしゃがみこんで力んでいる瞬間
であっても、視線が合った瞬間に「Good morning!」と声を掛け合います。
この瞬間の照れくささ。どうか想像してみてください。ーーー出るものも引っ
込んじゃいますよ。

その時私は気付きました。----どうやら彼ら欧米人は照れくさくないらしい。
でも、「ホントなのかな〜」という気持ちもまだ残ってはいました。

しかし、それが本当だと確信した証拠に、後日、New Yorkで出会いました。
マンハッタンのダウンタウンにあるワシントン・スクエア・パーク(だったか
な?)の公衆便所に入ったときです――――。なんとそこには個室は存在せず
ただ単に洋式の便器が整然と並んでいるだけなのです。無論、治安上の理由で
そうしているのでしょう。

果たしてそんな状況で、ここに座って用を足すことのできる人がいるのだろう
か、なんて思っちゃいましたが、やっぱり普通に使えると思ったからこそこん
な形式のトイレがあるんでしょうね。ーーー日本人にとっては理解不能です。

中国人は、日本人男性が小便をしながら世間話をするように、大便をしながら
楽しげに世間話をしています。この光景を初めて目にしたときは、「この国民
には羞恥心というものはないのか!」と驚き、「世界には、こんな民族もいる
んだな〜」と思いましたが、ーーーもしかしたら、考え直さなければいけない
のは日本人のほうかもしれません。

小学校では、大便をしたことが級友にばれるとハヤシたてられてしまうほど、
日本ではどことなくウンチをすることに羞恥心があります。ーーーしかし排泄
ほど動物にとって自然な、しかも例外なく全員が日常行っている行為はありま
せん。もしかしたら、排泄に必要以上の羞恥心を感じる日本人の感性のほうが
変わっているのかもしれません。

ーーー最近の、潔癖過ぎる清潔ブームと関係があるのでしょうか。

                        = この話おわり =
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◇ まあ..まあ(゜.゜) -----------------------------------  9人  (19%)
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┃┃ コメントボードに頂きました感想。
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┌──────────「中国一人出張さん」

考え直さないといけないのは日本人かもしれませんね。本当に。

私は中国在住期間が3年以上になり、しかも、一般庶民の家(友人宅)で遊んだ
り、泊まったりしますので、公共便所を始めとして、一般日本人がちょっと!
と躊躇するような場所にしょっちゅう出入りします。〜〜〜公共便所は広くて
私は好きです。

たまに日本に帰り、家のトイレに入ったら狭くて嫌になる。もう(日本に)帰っ
ても順応できないのかもしれない・・・・。

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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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