覗き見中国社会の底辺
☆ 中国語では乞食は「要飯」「討飯」 ――――――― 2004/12/05
                          by HAJIMEさん

ニイハオ!!
日本語の「乞食」は、中国語では「要飯」とか「討飯」といいます。この中国
は----みんなは忘れてるかもしれないけど----共産主義国家である。少なくと
も「有中国特色的社会主義」国家だな。HAJIMEさん学校時代グレてたから勉強
したおぼえがないけど、社会主義国にはいわゆる「乞食」っていうのは居るこ
とになってたっけか?

ーーーとにかく、この「有中国特色的社会主義」国家は乞食が多い。

日本という温室ぬるま湯国家から、この自己責任現世欲の塊の国にやってきた
普通の家庭の子女が、ショックを受けるとか馴染めないとか、どうしていいか
分からんとかいう項目は、ずいぶん発達した現在の中国でも数々あるだろうけ
ど、
そのうちのひとつが乞食ではないでしょうか。少なくともワタクシは、もうす
ぐ10年目ですが、いまだに慣れることができませんの――――。

今にして思えば、留学先の天津で乞食を見たことがなかったのは何でなのか?
さっぱり分からない。97年にシンセンに仕事探しに来て、その日から乞食さ
んたちとの戦いが始まった。

天津から電車でシンセン。降りたシンセン駅前広場は子供の乞食が集団でウン
カの如くたかってきて、ーーー振り切っても走っても、かなり遠くまでついて
来る。ーーーマジで泣きそう。

駅のあたりにウッカリ行ってしまうと、靴を履いてない汚い垢だらけの子供が
マグカップを一定のリズムで縦に振りながら駆け寄ってきて、小銭が無いから
なんて言い訳したって無駄で、じゃあ大きいお金でいいなどど発言され、また
ガキ乞食の3割ぐらいが、なんでか赤ちゃん抱いてんだな。ーーー泊まってた
安ホテルまで集団で延々尾行されるし――――。

その後就職して、ゲートの向こうの開発区に来る。経済特区じゃないからいな
いだろうか、、甘い。経済特区は一応第二ゲートで出入りを超制限してるが、
こっちは基本的に外地から入り放題だからもう…。繁華街、飲食街、人通りの
多いところ、デパートの傍、特に夜のいかがわしい場所とちょっと高めのレス
トラン、足マッサージ屋さん、高級ホテルの傍、・・・つまり日本人が生活の
中で利用度の高いところには満遍なく必ずいるんだな。

そして、この「有中国特色的社会主義」国家の乞食は
1−子供
2−老人
3−身体障害者

この三種類で99.95%を占めるんだな。つまり日本の偽善有識者の大好き
なところの「社会的弱者」ってやつですね。

中国で生きて初めて発見したが、日本という国には乞食というものがいないの
だ。日本にいるときはこんなこと考えもしなかった、、。地下道でダンボール
ハウスで寝てるおじさんはそりゃあイッパイいるし、近年の不景気でその数は
激増してるんだろうけど、でも、

子供や老人や重度の身体障害者に、悲しげな瞳でじっと見据えられて「老板、
老板、哀れんで下さい」なんて追い掛け回されることは、日本では考えられな
い....はずだ。

免疫がないから、ぶつかった時、いったいどう対処するのが正しい路なのか?
答えが見つからない。頭の中で、スーパーコンピューター並みの速度で様々な
葛藤が渦巻く。3分ぐらいだが、ひどく消耗する――――。

「この人にここで1元や2元、いや、5元、いや、20元あげたって、ワタシ
の暮らしがどうかなることは全くありえない。10元なんて、いつもくだらな
いことに無駄遣いしてしまう金額だ。見もしないVCDを100元ぐらい簡単
に買えて、なんでこの子供に、おばあさんに5元があげられないか?」とか、
乞食慣れしてない日本人のワタクシは太宰治並みに苦悩するのである。

が、工場時代3年間の観察では、工場のみんなはすっごく乞食さんに冷淡だっ
た――――。お客の接待で、鎮の目抜き通りのレストラン、足マッサーに行く
と、玄関を出るや否や、待ってました!、とおばあさんや幼児の乞食にわーっ
と囲まれ、

服をひっぱられたり車のドアをつかんで閉めさせてくれなかったり、ワタシな
どは、2元札など出してあげてしまおうと考えるのだが、運転手さんも、いっ
しょに来るスタッフもことごとく「ダメ!!あげちゃダメ!!納って!!相手
にしちゃダメ!!」と、札を持った手をぐいぐい押し返されて、犬でもおっぱ
らうように、

「おまえら!!じゃまなんだよ!!ほらほら!!どけ!!手・は・な・せぇぇ
ぇ!」と、ドアをつかんだ手を引き剥がしてバーン!と閉めてしまう―――。
ーーー2元ぐらいあげてもワタシは全然困らないんだけど…、と車の窓からオロ
オロしてるおばあさん乞食を見送りながら――――。

しかも、3年間に何回か工場のスタッフに「なぜこんなに乞食がいるのか?」
という質問をした時の答えが、違う人間に聞いているのにいつも一致していて
「あいつらは怠け者なんだ。働きたくないんだ」ーーーだった。

全中国人がこう考えてるとは言わないが、少なくとも湖南省人はこういう考え
なんだろうか?戦後日本の、行き過ぎの「社会的弱者擁護論」の渦の中で育っ
た人間には、このセリフは乞食が多いことそのことより更にショックだった。

今の中国では、自分の生活は自分で働いてまかなってゆくものであって、国家
に頼るとか、慈善に頼るとかは既に「甘え」なんだなあ、と彼らのこの一言で
思い知った。で、働き口が見つけられない、または働けない人間は、乞食をし
て「怠け者」と言われながらその日その日を生きてゆくしかないのだな。

しかし上述のように、シンセンで見る乞食さんの圧倒的多数は子ども、老人、
身障者で、そもそも働いてないのが普通、または働きようがない人たちなので
あるが、、、。

南通は、シンセンに比べると経済的には地味な街であったが、その地味な繁華
街に、やっぱりレギュラーの乞食、それもおじいさんとおばあさん、がいて、
失業中の私であったが、シンセンで見るのと違って、極寒の南通で見るのはな
んとも気の毒で、毎日小銭を貯めて、会う度に全部の小銭をあげてしまった。

シンセンは、冬もそう寒くないので、そういう意味では悲壮感が不足か----。

で、南通でしんどかったのは、日曜礼拝に教会へ行くと、門のところに毎週レ
ギュラーで身障者の子どもの乞食が待ち構えていたことだ。下半身が未発達で
聖書でいうところの「足萎え」で、雑誌ほどの大きさの板に4つキャスターの
ついた車にのっかってコップをふりながら手で這ってくる。膝が健常者とは逆
に曲がっていたと思う。

しかし、教会満杯の信者の皆さんは一様に冷淡で、ほとんどあげてる人がいな
い。私はいつもあげるべきか否かどえらい葛藤した。この子のほかにもう2人
ほど乞食レギュラーがいたが、そちらもやはり身障者であった。

で、ある日、教会の牧師さんの説教でいきなり、
「皆さん、うちの教会の玄関にいつも乞食が待っていますね。確かに見たらか
わいそうです。しかし、決してお金をあげてはいけません。わかりますか、彼
らを助けるのは私たちの仕事ではないんです。では誰が彼らを助けるのでしょ
うか?_社会です。政府が助けるのです。だから決してお金を上げてはいけま
せん」

と、田舎生真面目青年丸出しの牧師さんが、南通人的ばかデカイ声で、教会に
響き渡れとばかり断言していたのでありました――――。

それ以降、思想的バックアップができたので葛藤はなくなり、言われたとおり
決してお金をあげませんでしたが、しかし「政府が助けます」というこの一言
はちょっと、いまだに信じられない。ーー牧師がウソついたらいかん・・・。

なにせ、今、私が通ってるシンセンの豪華大型教会も、礼拝終わって出てくる
と、門からバス亭までわずか50メーターの歩道に、あらゆるパターンの乞食
がいて、ものすごい精神的プレッシャーなんだから・・・。

▽▽ 乞食さんのパターン別分類。

1−子どもがマグカップを振っている。

2−「1」の子どもが、垢だらけのきったない真っ黒な赤ん坊を抱いている。
 (ちなみにこの赤ん坊は、100%乞食用のアクセサリーで、100%絶対
  に兄弟ではない..他人。おそらく乞食用にどこかから攫って、或いは買っ
  てくると思われる)

3−子どもが路に新聞大の紙を広げて座っていて、その紙には自分の気の毒な
  境遇を綿々と達筆でしたためてある。
 (この綿々身の上話乞食は、大人、おじいさんなどもある)
  ヒマな中国人はこれをホントに読んで、さらに不明点を子供に問いただし
  ていたりする..のをよく見かける..サクラかな?

4−「3」と同じなんだけど、チョークで道路に直書きしてある。毎回改めて
  書いてるのか?原稿があるのか?しかし..乞食してる=学校に行ってない
  はず..なのに達筆??

5−重度の身障者がただ地面にうつぶせに転がっている。よく見るのは全身、
  または半分以上重度火傷。腕が片方または両方無い。または足が片方また
  は両方無い。身体欠損+重度火傷など。
  障害部分をアピールするため、上半身裸、またはパンツ一丁だったり。
  シンセンは冬も確かに寒くはないが、やっぱりみんながセーターやジャン
  パー着てるのに裸で転がってるのは、見ていてつらい。自分で動けない体
  なので、どうやって毎日この場所に来て、どうやって帰っているのか??

6−重度の障害者が両手をついて、ものすごいリズムで土下座、お辞儀をひた
  すらに繰り返す。これは一番つらい。ロックのリズムぐらいの速さで地面
  に頭を打ち付けながらお辞儀を繰り返すのだから。
  地面に当たってるのも痛そうだし、だいたい頭に血が上りそうだ。普通の
  人なら3分もたない運動なのに、ずっとずっとやっている。見ているほう
  の首筋が痛くなってくる。

7−お年寄りがコップをもって座り、哀れみを乞うセリフを繰り返す。ワタシ
  はこのお年寄り乞食に弱い、、子供の乞食と違ってウソっぽくないから。

‥‥政府が助けてるか?ホントにそういう部門や機関があるのか?どうみても
違うと思う。特に、身障者パターンを見ていると、ほとんどは生まれつきでは
なく、後天的な、つまり事故が原因と思われる状態である。

建設現場の農民工さんたちを見れば、安全靴を着用してる人などまずいない。
あのチャチイプラヘルをかぶって、普通の革靴やサンダルである。足の上に何
か落ちたら、即、足な無くなるはず。調べたわけではないけど、こういう事故
後遺症乞食さんたちは、ひょっとして保険も労災も勿論ない出稼ぎ職場の被害
者なのではないだろうか。

実際、靴工場時代に、電工さんが修理中に感電して、まだ若いのに植物人間に
なってしまい、市内のいい病院の集中治療室に入院させられたが「一日の入院
費がバカにならない」と総経理がパニックになって、最終的にどえらいハシタ
金だけ与えて故郷に送り返してしまった。

家族全員が迎えに来て、若い、農村女性丸出しの奥さんがわんわん泣きながら
担架にくるまれた旦那さんを工場の車に乗せて門を出て行った光景はいまだに
目にやきついている――――。あれがとおってしまう今の中国――――。

元紅衛兵の総経理でさえこうだから、普通の中国系の中小企業の老板なんか、
どんななんだろうか。あの電工さんは今はどうしているのだろうか?

ちなみにこの総経理は、その後1万米ドルを出して人民日報に一面広告記事で
そのサクセスストーリーインタビューを掲載し、更に、もっといっぱいの金を
共産党にせびりとられて北京の人民大会堂で演説までさせてもらったらしいが
・・・。

こんなふうに会社から放り捨てられ、田舎に戻っても厄介者扱いされて、最後
に都会に乞食をしに出てくる、というパターンなのではないか。教会で、ロー
ウーの駅で、夜のネオン街で、昼の高級ショッピング街で、「社会的弱者」の
乞食さんたちにぶつかるたび、いろいろ考える――――。

日本は、確かに悪いところはいっぱいあるが、少なくとも子供、老人、身障者
が乞食をやらなくてもいい国なのだなあ。当たり前みたいに思っていたけれど
実は非常にありがたいことに違いないのだなあ。乞食にぶつかったとき、こん
なふうに、あげるかあげざるべきか葛藤するのも、世界中で日本人だけなんで
はないか?など考えることはいっぱいあるのでした。

そして、間違っても将来日本を、子供や老人や障害者が道端で乞食をするよう
な国にしてはいけないと思う。ーーーODAは、こういうことには使われない
のかね?え?

                        = この稿おわり =
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