☆ パチモン城アゲイン ―――――――――――――― 2006/07/07
by サムライ駐在員さん
帰国が来週に迫り、早急に土産
を買わなければならない。
そういうわけで、本社から出張
に来ていた上司と再びシンセン
パチモン城へ繰り出したのであ
る。
ーーーなにせ今回はいろいろと
購入しなければならないので、
前回とは違ってかなりキアイを
入れて臨んだ次第である。
―――「GOCHI のハンドバッグ」
まずは妹の土産でハンドバックを買う。以前のパチモン城は、下層階がファッ
ション関係で、上層階が仕立屋及び電器関係になっていたと思うのだが、今で
はどの階もすっかりゴチャ混ぜになっていて、気のせいか、上の階に行くほど
偽ブランド物が目立つような感じであった。
まずはキアイ一発5階までエスカレーターで上がり、上から下まで物色して回
るのだが、やはり最上階のほうが品揃えがよさそうに見えたので、5階に戻っ
て「アタリ」をつけ、大体イメージしたものがそれなりの値段で見つかったの
で早速交渉に入る。
「這一款 売多少銭?=この店では、この型はいくらで売るかね?)」まず
は常套文句であるが、「多少銭?」とストレートに聞くのとは結構応対が違っ
てくる。
普通に「いくらや?」と聞けば「XXX元だ」とすぐに返答が返ってくるのだ
が、まとまった注文を匂わせる上述の聞き方だと店の小姐はしばらく考えて、
おもむろに電卓を叩き「XXX元です」というように、なかなか結構な値段を
出してくる。
狙いのカバンは、ピンク色の布地でジャカード織で生地全面にブランドロゴが
入っている。私はブランドはぜんぜん分からないので元はなんというブランド
なのかよく分からないが、作りは悪くない。ーーー皮側面の塗装も、ハミダシ
やスレがないのでなかなか厳しい検品をしているようだ。
店が電卓でハジき出した売値は220元ということであった。
そこで、「100個のオーダーを出した場合、単価はどうなる?」と聞いてみ
たところ、小姐は傍にいたラオバンと相談し一括購入なら150元だと言う。
小姐いわく、
この型は、カバンの裏地にも皮チップでブランドロゴがきちんとついているの
で、本当なら420元で売るのだといっている。(おそらく割安感を演出する
ための誇張だろう)
さっそく隣にいた本社上司を「日本から買い付けに来たエライさん」にデッチ
上げ、わざと難しい顔をしながら「どんなもんでしょうね」と聞いてみると、
「うーむ、まあまあやけど、店は一杯あるさけ、まからんのやったら他あたる
か」とのことであった。そこで、ダメ元で180元で言ってみて、店を出てか
ら10歩以内に店が負けてきたら決定することにした。
「とりあえずサンプルとして持って帰ってみんことにはどもならんので、サン
プルとして1個180元で何とかならんか」と打診したところ、「アカンアカ
ン、200元がやっとだよ」というので面白くない。
それじゃあジャマしたわい、と店を後にして8歩ほど歩いたあたりで「分かっ
た分かった、180元でいいよ!」という声が追いかけてきた。
もともと予想していた展開ではあるが、上司と一緒に「しょうがねえなあ」と
か言いながら店に戻り、180元を支払う。店のラオバンが新品を持ってきて
くれ、意外にもきっちり包装してあるので感心した。
ついでに「量を発注する場合『産地証(原産地証明)』はとれるのかいな?」と
キョーレツな質問をぶつけてみる。
日本の税関では、中国製品であることが証明できるなら特恵関税が適用され、
普通こういった品目であれば5.3%の税率が適用されるところを「原産地証
明」があれば非課税で通関できるのである。
「パチモン」に「原産地証明」をつけて日本の税関に申告した場合、税関吏は
どんな顔をするかおもわず想像してしまったが、やはり小姐からは「ごく常識
的な解答」として、「なんじゃそれ?」ということであった。
品物は丁寧に梱包されており、皮などの傷
がつきやすい部分は薄紙を巻くなどちゃん
と配慮されているので、パチモンといえど
あなどれないーーー。
改めて品物をよく見てみるが、
しっかりしたつくりをしていて
高級感もあり、私には本物だか
パチモンだか分からず、とりあ
えずは「いろんな方向を向いた
広島カープのマークが全面にち
りばめられているシナモノ」を
180元で入手した。
紙タグには「GOCHI 」と書いて
あるので「ゴチ」というブラン
ドなのだろうと思うが、私はブ
ランドには疎いのでよく分からないーーー。
―――「手裏剣マークの財布」
今度は上司の番である。なんでも実用で使うサイフをご所望とのことであった
ので、同じく5階をうろついてアタリをつけ、店先で同様の会話を展開する。
店の小姐は「さあさあ、座れ座れ」とプラ製のイスを勧めるので、ドッカと座
り込む。
棚にはあまりサイフは置いてい
ないと思っていたら、小姐は床
においてあったバカでかいスー
ツケースをいきなりガバッと開
けると、中身はすべてサイフで
あったので驚いた。
早速上司はスーツケースの中の
サイフを物色し始める。
「おおー、これXX XXXXやげー
おお!これはXXX けや!」とか
言いながら物色し、いくつかをカウンターにピックアップするが、
どうも上司のお気に召す型はな
いらしいので物足りない顔をし
ていたところ、店の小姐はおも
むろに「カタログ」を取り出し
て見せてくれる。
この「カタログ」が実にフトド
キなシロモノで、各ブランドご
とに整然と分類されており、
例えば「手裏剣マークがびっし
りちりばめられている XX XXXX」
の欄を開くと、オーソドックスなブラウン地に手裏剣マークが入っているもの
から、最近の若い女性の間で流行っているらしい白地にカラフルな手裏剣マー
クのもの、はては一定間隔でパンチで穴が開いていて、ブルーのラメ地が入っ
ているものなど、なんでも揃う。
私はブランドにはまったく疎いので、どこの国のなんというブランドなのか見
当もつかないが、よく見かけるおなじみのデザインがギッシリと並んでいる。
カタログ自体も、しっかりしたフルカラー印刷のもので、表紙にはラミネート
状の光沢紙を使っておりとても「闇の世界の裏流通カタログ」とは思えない。
商品写真も、シャキンとしたプロのブツ撮りカメラマンが取ったものらしく、
カタギの業界の商品カタログとまったく変わらないクオリティであったので、
大陸のパチモン業界のパワーが窺い知れる。
なお、裏表紙には「このカタログには版権があるので無断で転載してはいけな
い」と書いてあったのだが、まったく本気なのか冗談なのか分からないーー。
カタログをみて上司は「これとこれ、そしてこれ」というように指定すると、
横のカウンターでぼけっとしていたラオバンが「よっしゃ!」と言って商品を
取りに行く。その間に値段を小姐に聞くのだがサッパリ要領を得ず、要するに
現物を見てみないと値段が言えないのだということらしい。
「自分が売ってる商品の値段が分からんということがあるか!」とツッコミを
入れるのだが、どうやらラオバンでないと分からないらしいので仕方がない。
なおパチモン城のテナントでは、店に並べているのは見本だけで、新品は「ど
こかからもってくる」ことが多いのだが、時折、商品をとんでもないところに
在庫していたりするのですさまじい。
前に、パチモン城の別の店で***を買ったときなど、一旦店のシャッターを
閉めた上で、商品陳列の棚に足をかけ、天井を押したかと思うと天井裏が在庫
ストックになっていたので驚いたーーー。
やがてラオバンが息を切らせて「どこからか」在庫を持ってくる。上司はこれ
を吟味し、いろいろケチをつけながら最終的に2つに絞った。
ひとつは白い合皮の全面にカラ
フルな手裏剣マークがちりばめ
られているもので、
もうひとつは生成(キナリ)のキ
ャンバス地に、なにやらいろい
ろ字が書いてあって、その中に
「どこかで見たことがあるスペ
ル」が印刷されていたーーー。
値段については「手裏剣マーク」
が260元で「どこかで見たこ
とがあるスペル」が180元ということであったが、艱難辛苦の末に二つあわ
せて350元に落ち着いた。
ものは試しに、「お客さんと打ち合わせするのに使いたいから、例のカタログ
を1部くれんか」と聞いてみたところ、残念ながら店に余分を置いていないの
で、次回来るときには用意しておくとのことだったが本当だろうか。
―――「王冠マークのゴツイ時計」
さらに上司は「時計を買うんやっちゃ」ときた。時計については、以前に何度
かパチモン城で購入した実績があり、ぜひ「なじみの店」で購入したいという
意向であったので、パチモン城1階の中央フロアにある時計屋へと向かう。
よく考えたら、このコンビでこの時計屋に顔を出すのは3回目であり、私も毎
回「国籍不明の中国語通訳」を演じていたのでよく覚えていてくれたとみえ、
ビビアン・スー似で(但し上司談)やや奥目がちの店の小姐も「おおー、よく来
た!入れ入れ」と迎えてくれ、例によってプラ製のイスを勧めてくれる。
上司も「勝手知ったるなじみの
パチモン屋」ということで、ど
こに何があるのか大体見当がつ
いているようだが、今回のお目
当てはすでに決まっているよう
で、おもむろに「****X」と銘
柄を指定すると、間髪をいれず
に小姐は「おお、****X!」と
復唱し、
ばかでかい、不透明ブルーのビ
ニール袋をゴソゴソ開ける。
このビニール袋には、傷がつか
ないようしっかりと個別包装さ
れたパチモン時計がぎっしり詰
まっており、どこがどう目印に
なっているのか、すぐに****X
を何種類か取り出してみせる。
「おおー、****Xやげ!」と言
いながら上司は嬉々として品定
めを始めるーーー。
私はブランドにはまったく疎い
ので、どこの国の何というブラ
ンドなのかさっぱり見当もつか
ないが、
どうやら紳士向けのかなり大型
の時計のようで、ベゼルには王
冠のマークが入っていて、その
下にはなにやら聞いたことがあ
るロゴが「****X」と入ってい
る。
上司いわく、パチモン時計はクリーンルームで作られていないので、使ってい
るうちにキカイの中に入った埃やらゴミやらが文字盤の中に出てくることがあ
るのだそうだ。それから、メッキ(特に金色)が弱いので夏場は着用してはなら
ず(汗でハゲるから)、また、「WATER RESIST」とあっても水に漬けるなどもっ
てのほかという、フェラーリ並みにユーザーを選ぶシロモノなのだそうだ。
なお、ここでも例によって「本物メーカー激怒確実のカタログ」が出てくる。
ーーーまったく大陸のパチモン業界は油断もスキもあったものではない。
やがて上司はそのなかの一つに決め、値段を聞く。私どもが毎回キョウアクな
値切り方をするのを知っているので、店の小姐もあまり掛け値をせず「350
元ですよ」と言うが、店の言値で物を買うのはパチモン城のマナーに反する。
時刻は夕方にさしかかっていたので、「ラーメン代なんとかならんか」と交渉
してみたら330元になった。ーーーなんでも言ってみるものである。
さて、そういうわけでパチモン城にて物件3種を無事入手した。
同日の行動ノルマはすべて完了
となったので、とりあえず一息
入れようと便所に行ったら、
掃除のアンチャンが、溶けたバ
ターみたいになって床にこびり
ついて一服してござる。
さすがはパチモン城、あらゆる意味でキアイの入り方が違うなと大変感心する
のである。
――――2006/06/25/記
= この稿おわり =
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┃ ┃ メルマガ掲載読後感アンケートの結果。
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◇ 面白かった! (^○^) --------------------------------- 78人 (90%)
◇ まあまあかな〜(゜.゜) ------------------------------- 8人 ( 9%)
◇ まあまあ..の..まあまあ(-_-) ------------------------- 1人 ( 1%)
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┃ ┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。
┗━┛
┌──────────「bossさん」
貴職の古里(?)の福井銀行でも、中国元が日本円に両替可能となりました。
ーーー窓口嬢に<偽>中国元を渡し、真偽の鑑定が出来るかご試行下さい。
ーーー但し、ビデオカメラにご注意下さい。
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
へえ、そうなんですか。あの汚ったない人民元を受け付けるようになったとは
時代も変わったもんですね。偽札があまりにも多いので、そのうち音を上げる
銀行も出てくるのではないでしょうか。
ちょうど手元に偽50元札がありますので、次回帰国の際にちょっと試してみ
ましょうかね?(ヤバイヤバイ!)
└──────────
┌──────────「しょーちゃんさん」
いや〜笑った笑った♪
つい会社で見てること忘れそうになっちまったよん★
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
わはは、毎度お笑い頂きありがとうございます。
まったくこちらにいると、ネタにはまったく不自由しません。
よろしかったら、ぜひ大陸にいらしてご見物ください。特にシンセンパチモン
城はネタの宝庫です。
└──────────
┌──────────「heroさん」
2年前に羅湖商業城へ行ったことがあります。その時は、按摩店で足裏按摩を
やってもらいましたが、ビル全体ががニセブランド品の専門店であるとは知り
ませんでした。ーーー次回にゆっくり見て回ろうと思います。
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
そうなんですよ、、、一見普通のショッピングセンター風なのですが、開けて
ビックリ!中身はぜんぶパチモンというすさまじいところです。中を観察する
だけでもかなり興味深いですよ。
結構いいものも置いてますが、しかしやっぱりパチモンである点ご注意くださ
いませ。
└──────────
┌──────────「あ〜さん」
遂に私も行ってきました!(笑) 場所は瀋陽ですが、サムライ様と展開は全く
同じです。
実は、商談で共産党の幹部様3名と、政府に内緒のお話が終わった後、日本語
の堪能な部下を2名つけていただき、瀋陽版バチモン城へ出撃してまいりまし
た!(笑)
手裏剣マークの財布は全く同じで、椅子まで同じというのは中国全土同じなの
でしょうか? ただ、財布は頼まれもので、どれがよいか分からなくなったの
で、
5種類180〜280元までのブツを全部で幾らにするかという交渉になり、
元値の1180から1050までいったのですが、激しい抵抗に会い幹部さん
の部下(女性)と交代しました。
何を言っているのか分かりませんでしたが、激しい口調で怒鳴って400元!
と言ったら、渋々ながら本当に400元になってしまったのには、驚きを通り
越して感激してしまいました。(笑)
ーーー奥の深いところです大陸は。(笑)
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
それもまたすさまじい話ですね。泣く子と共産党には勝てぬ国のようですので
何でもやり放題ですね。やっぱり、ーーー別の意味でもここはマトモな国では
ないです。
それにしても、合計で400元になるとはおそろしい、、。パチモン城で売っ
ている30元ぐらいのXXXは、工場出し原価がだいたい8元ぐらいなので、
パチモン全般の小売が工場原価の約4倍として計算すると、1180元の売値
の原価は大体300元強なので、店はまだかろうじて利益があるでしょう。
いずれにせよ共産党にさからうと、店などひとたまりもないんでしょうね。
└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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