☆ 中国生活の中の自己責任〜バス編 ―――――――― 2004/08/08
by HAJIMEさん
ニイハオ!!
中国の大手物流会社に見学と打ち合わせに行ったのですが、会食時、その大手
会社の董事長やら総経理やらと、メタメタな中国語で----テレビを見ないとす
ぐ中国語喋れなくなるのだ----おしゃべりの中で、
「我々は、日本に学ぶことがたくさんあります」
△△ これはけっこうお決まりのセリフですが・・・
「な〜にをおっしゃいますか、既に日本が中国に学ばなければならない時代が
きていますよ」
「そんなことはないでしょう、あなた方は先進国、我々はまだまだ発展途上国
ですよ。理屈からいったら我々が日本に学ぶものです」
「確かに中国はまだ発展途中ですが、日本がこれからも発展し続けていく意思
があるならば、自分の前を行く国からはもちろん、後ろに迫っている国からも
学ぶ姿勢でなくてはいけません」
「まあまあ、この人はまたお口がお上手で、はっはっはっはっ」
・・こういうやりとりがあった。大手さんの、これは接待の席で、こっちがお
客さんだから、7割がたお世辞だろうけど、HAJIMEさんは決してお返礼で言っ
ていたのでなく本当にそう思っているのである。
真面目に語ろうと思えばいくらでも語れるが、、まあ演説ぶっても読者は面白
くないだろうから、真面目な「中国のここに学ぼう」はきっとわたくしのよう
なBSE脳ミソでない、偉い学者先生や中国専門家の皆さんが日経新聞やプレ
ジデントなんかで啓蒙してくれてると期待して、
やっぱりスーダラ方面でスイスイス〜ラス〜ラいきましょ〜〜♪
―― HAJIMEさんが「日本人は中国のここに学ぼう」の一番に挙げるのは
「中国ってぇー、基本的にぃー、自己責任って感じぃ〜、かな?」です。
いつだったか忘れたが、ネットで日本のTBSニュースを見たら、特集記事で
公共バスに乗ってて、停車時に二段階停車した拍子に反動でバス内で転んで、
腰を強打してしまった年配の主婦が、バス会社に治療費を請求訴訟、というの
をやってた。
一回、バス停の少し手前で停まった。アラ着いたのね、と主婦が立ち上がった
ら、前に停まってたバスが発車したのでまたちょっと前進して再度停まった。
で、主婦は転んだ。腰の痛みのため、バス停に降りた後よろけて、前のめりに
転んで頭を強打して失神。ーーーこの頭のほうの治療費もバス会社に出せ、と
いう訴訟だった。
間に挟まる、他の利用者の皆さんの声。
「急停車、ありますね」
「急ブレーキとかよくあります」
「運転が荒いときも多いですね」
…ふわ〜ぁ(←あくび)、日本はいい国だなあ。公共バスの運転が荒いとか、急
ブレーキ急停車で賠償訴訟ができるんだなあ。中国では…いや、よその地域は
知らないが、とりあえずシンセン広東省界隈では、「急ブレーキ・急カーブ・
急停車」という言葉は存在しない。ーーーなぜなら..基本的に常に急ブレーキ
・急カーブ・急停車だから。(爆笑)
もともと節約精神で、バス愛用主義のHAJIMEさんですので、開発区のバス体験
データは豊富ですが、経済特区にきて以来、その大好きなバスで通勤すること
になり、毎朝毎夕方(たった10分ぐらいですが)同じバス(26路皇崗口岸⇔
世界の窓)を継続観察することが可能になりました。♪♪嬉しいじゃございま
せんか。
経済特区の市バスは、開発区と違って決まった停留所でしか停まらない。開発
区のバスは、お客が道端で手をふりふりしてたり、乗客が「降りるよ!」と叫
んだら、どこでも停まってしまうので、もうひっきりなしに急停車急発進なん
ですが、経済特区はその点ね、、え?やっぱり急停車急発進だ?
ううむ、この酷暑の中、エアコン無しだから運転手さんもイライラするんだろ
うけど、なんで決まってるバス停なのにいちいち急停車急発進なのかしら??
カーブも、おもいっきり遠心力をかけて曲がってくれるし。バス停では、荷物
を持ちきれなくてモタモタしてると、降りないうちにドアがバシャーン!!と
閉まってしまって降りそこなう。ーーーまたは挟まれそうになる。
普通は道路の外側にあるバス停車用路(バス停にくっついている)に入ってきて
停まるのに、決まりなのか運転手の気分か、ときどきその通路に入ってこない
で、大通りの安全地帯の脇で停ることがある。
バス停車用路のほうで並んでたお客たちが、それこそ血相変えて大通りまでみ
んな必死で駆け出す。←なぜかというと、駆けつけるのが遅いと、大変にあっ
さりバッシャーン!とドア閉めて当たり前のように行ってしまうから。これで
何回も置いていかれたーーー。
多分、通路に別のバスが停まってて、入ってきて待つのがメンドクサイだけだ
と思う。今朝もこれで、私は駆け込んで乗ったけど、バス停の陰にいてみんな
の気配に気づかないで置いてけぼりになって、あわてて駆けてきたお兄さんが
いました。けれどやっぱり置き去りになった。----彼は会社に遅刻したんだろ
うか、やっぱり。
急停車・急発進・急カーブ、HAJIMEさんはバスの中であっちへヨロヨロこっち
へバタバタ、脱水機にかけられているように振り回されます。なにしろ通勤時
間なのでまず座れません。通路もみっちりで、普通の運転なら周りの人々に支
えられてそんなにヨロケルわけがないのですが。ーーー人でみっちりを押し退
けて、向こう側まで転げていきそうなすごいGがかかるのですね、Gが。
が、毎日観察しててすぐ気づくのですが、カーブだ停車だ発進だ、でいちいち
ヨロけているのは、バスみっちりの乗客の中でなんとこの日本人ひとりだけで
あった――――。??これだけスゴイGがかかっているのに、スマートな、し
かもハイヒールやミュールのOLさんも、微動だにしないでしっかり立ってい
る。
むむむ…子供の頃からこういうバスに乗りつけてて、もう身体にリズムが叩き
込まれているとみた。ーーー中国が有人宇宙飛行に成功したカギは、案外こう
いうところにあるのではないか?と、毎朝バスの中でひとり木の葉のように振
り回されながら真面目に考えた。
彼らは、すごい耐G訓練を幼少の頃から受け続けている!!(笑)
それでも時々、コントみたいにバスの乗客全員が慣性力で一方にドドドッと崩
れる時がある。そんな時でも運転手に怒ったり文句いったりする人はいない。
わあっ、とか、きゃあっ、とか、危ないなあ、とか、独り言や互いに言い合っ
たりはするが、「何やってんだ!!ヘタクソドライバーめ!!」というような
クレームは今のところ聞いたことがない。
もちろん!
運転手がお詫びのアナウンスなんかすることもまた絶対にない!ガタガタ
になってる乗客を一瞥もせず、きっぱり背を向けたまんま、不機嫌そうに
ハンドルを切り続ける。日本のバスドライバーさんが見たら、涙を流して
一回でいいからやらせてくれって言うだろうか…。
―― つまりその、
日本では「お金を払ったら誰でもハナた〜かだか、天下を取ったも同然!」な
「お客さまは神様ホトケ様」が当たり前なんだが、中国ではまだまだこういう
「金払っても、なんでか売るほうと買うほうがけっこう対等」なんだなあ。
もちろん、皆さんがテレビやインターネットや新聞で見るように、中国はもの
すごい勢いで成長発展変化改善している真っ最中なので、中国に住んで、毎日
その変化に触れているワタクシは
「む〜んんん、眼からウロコ落ちちゃった。中国のサービスという概念もここ
まで改善したのか!!」と、驚くことほんとに度々でして、こういう昔ながら
の「中国的」は、やっぱり他の先進国方向に向かって変化改善されて、いつか
はなくなってしまうのだろう、とは思うんですがね。
それでも、中国で生活してて、この手の、つまり「金を払っても全ての責任が
売る側に押し付けられるわけでない」イコール「金払っても、こっちにも一部
責任がある」という状態は、なんかピリリとしていいものだなあ..とも思う。
ある意味、日本人、日本の消費者は、あまりにも消費者として甘やかされ過ぎ
かもしれないなあ、、消費者が「大阪の大店のアホのぼんぼん」になっちゃっ
てるなあ。それはボーダーレス時代に世界の中で生きてゆける消費者人間とし
てはどうかなあ、、、、なんてバスに振り回されながら考察したりしている。
開発区では、地域・バスの種類関係なく、停車してドアが開いてお客が乗り降
りするときは、まず100%間違いなく「早くしろ!!早く乗れ!!早く降り
ろ!!」と、ハッキリ命令口調で怒鳴られます。
ワンマンバスなら、運転手のあんちゃんが男らしい荒っぽい口調で、車掌さん
がいるタイプならいずれも20歳前後と思われるうら若き娘っ子車掌が、その
可愛い顔のどこからそんな言葉が、という感じで、やっぱり超荒っぽい、どっ
ちが金払ってるのか分からんような口調で。
中国語には男言葉女言葉がなく、基本的に尊敬語丁寧語もないから仕方ないの
か、それともホントは丁寧な言い方があるけど、それを使う気がないのか、ま
るで刑務所の看守にせかされて護送車に乗り込んでる気分〜♪♪
開発区の場合、バスはどこでも停車なので、つまりはそこに長く停まってると
交通の障害になるから..という理由らしきものはある。でもちゃんとしたバス
停で停まってる経済特区の公共バスでもやっぱりしばしばこの「早く!!早く
!!早く!!(やたら何回も言う)」が。英語のPLEASEにあたる「請」が
ついていたことは一回もない。ーーー精神マゾの人にはたまりませんね〜♪♪
98年ぐらいのことなのでずいぶん昔のことですが、シンセン駅から東莞のあ
る鎮までの高速ミニバスに乗って、その某鎮にもうすぐ着くなあ、という頃、
気がつけば乗客は私1人。なんか用があって運転手さんに話しかけたら、
運ちゃん「なんだあ〜?まだいたのか客が〜?あ〜ああ、ったくう!あんたが
いなけりゃ俺はここからまっすぐウチに帰って休めるってーのに、あ〜ああ、
あんた一人のために終点まで行かなきゃならね〜よお」と、はっきりブータレ
られた――――。
確かに、夜10時になってて、これは終バスだったんだが。中国バス体験の豊
富なわたしも、これには驚いたのでいつまでも執念深く憶えている。この高速
ミニバスは25元もして、当時はいわゆる高級な部類に属すバスなのにこれで
ある。この時は「申し訳ないですねえ、よろしく頼むよ」なんて運ちゃんの機
嫌とって終点まで行って「いただいた」。
毎週、礼拝&取材でシンセンの
市内から公明鎮へ行くのも53
3K郊外線ミニバス。
エアコンつき立ち席無しの高級
バス。――――――――――→
よく見たら・・・実は女性です
運転手さんも愛用。中国お約束
ステンレスふた付マグ
なんでか化粧してる子供がバス
でうたた寝
乗るのは決まった停留所に限定されているが、降りるのはどこでもOK。乗客
が、「運ちゃん、その先の十字路で降ろしてよ」なんて言うのだけど、「今頃
言ったってもう停まれるかい!なんでもっと早く言わねえんだよ!だめだだめ
だ!!」なんて言われてしまうこともたびたび。ーーー車の混雑するポイント
や停まりにくいポイントは早めに申し上げておかないと怒られてしまいます。
―― さて、中国のバスが
日本のバスより自己責任なのは運転手さんとの関係だけではない。
皆さんもご存知の通り、中国のバスはおつりが出ない。日本のバスにも昔から
一応「ご乗車の際は細かいお金をご用意ください」のお願いが表示されている
が、――――やっぱり5千円札や、ひどいときは1万円札なんかを出して、あ
の素晴らしい両替機から、ざざ〜っと夢のように大量のおつりを溢れ出させる
自己責任意識のない輩は多い。
開発区のバスは、基本的に車掌さんがショルダーバッグ下げて切符を売るタイ
プなので、100元出してもおつりはくるが、経済特区や、他の都市のバスは
非情のライセンスで、おつりなんか出ない。もし小銭がなかったら、
涙を呑んで10元札を突っ込むか、恥ずかしいのを我慢して他の乗客に両替し
てもらうか、後から乗ってきた人からおつりの分をもらうか、その便をあきら
めて傍に売店がないか探し回ってジュースでも買ってくずすか、いずれも全て
自分で解決しなくてはならない。
白い手袋の運転手さんが営業スマイルで、「かまいませんよ1万円札でも、さ
あどうぞ」なんて甘えたことは決して言ってくれないのだ。おかげでワタクシ
など、毎日毎日眼が開いてる間は、財布の中に1元硬貨が何枚在庫されている
かばかり心配している。
最近は、昔と比べておつり事情が良くなった中国、昔はどんなとこで買い物し
ても100元札だすと、お店全体でもおつりが足りなくて断られたりして泣き
そうだったが。今は100元札だして大騒ぎになるのは、道端のかなり小さい
規模の屋台ぐらいだ。
そして中国お釣り問題、その最後の砦が多分バス。中国のバスにおつりマシー
ンがつく日は来るかって?――――現在の香港を見てみなさい!バスはおつり
が出ません。地下鉄駅の切符自動販売機もおつり出ません。(多く入れた場合
次の人のお勘定にカウントされる、つまり知らない人が得をする)
でもオクトパスカード(バス、電車、地下鉄など共有のプリペイドカード)があ
るから、みんなそれを使ってますね。多分中国もおつりマシーンなんて甘えた
ものは導入しないまま、プリペイド時代に突入するのでしょう。
と、いうわけで、「金払ったらワシャ神様」とふんぞり返れる日本とは対照的
に、中国では、金払っても運転手さんを対等な立場の人間として尊重するし、
自分の責任範囲で解決すべき部分はバス会社に押し付けない、お客ではあるが
一定の割合の緊張感を持つ必要があるわけですな。
こういう空気の中で生れて育った中国の人たち、だからでしょうか、ローウー
駅や、その他ボーダーイミグレで並んでる行列、日本人は顔つきですぐ見分け
られますな。――――ビジネスマンのおじさんたちではなくて----彼らは服装
で分かってしまうので除外して、
旅行で来てるお年寄り・主婦・OLさん・家族連れなんかです。ーーー顔が平
和過ぎる。訓練を受けたことがない顔、という感じか。どうも“ほやぁっ”と
してるんですな。
しかし、彼ら彼女ら運転手さんたちは(中国の国営バスの運転手さんは驚くほ
ど女性の比率が高い!!)荒っぽくて無礼千万である一方、実は不思議な親切
人情があるんですな。なにしろシンセンは出稼ぎ地帯なので、バスには田舎か
ら出てきて勝手のわからないお上りさんはつきものですが、お上りさんが
「このバスは○○に行きますか?」
「××に行きたいんだけどこのバスは通りますか?」
「このバスは△△に行かないんですか…、そしたら何番のバスに乗ったら行け
ますか?それはどこから乗るのですか?」
−−運転手さん達は、日常的にこの手の質問を雨あられのごとく浴びせかけら
れるわけ。それに対して運転手さんは、口調はすっごい荒っぽく、いかにも鬱
陶しそうに超めんどくさそうにではあるが、ほとんど間違いなくいちいちチャ
ント教えてやっている。
無愛想100%の、怒鳴って怒っている口調ではあっても、フクザツに乗り換
える路線の乗り換えバス停まで細かく教えてやってたりする。知らない時はさ
すがに「不知道!!」と乱暴に答えるが「あっちにいってあの人に聞け」ぐら
いのことは言ってくれたりする。
開発区の“どこでも停まる”バス。出稼ぎワーカーさん達がほとんどの乗客、
自分の行きたいところの一番近いところで降りたいのは分かるが、誰かが停め
て降りて、10メーターも行かないところで「有下!(降りるぞ)」なんてシー
ンがしばしば。もし私が運転手だったら
「なんだそりゃ!!なんでさっき一緒に降りないんじゃ!!そんなやたらに停
まってられるか!!」と怒って怒鳴ってしまうだろうが、たいていの運転手さ
んは黙ってギュッと停まってくれます。これには驚きます。歩いたって1、2
分のピッチのところをいちいち停まってくれるなんて。
また、シンセンはよく渋滞するわけですが、渋滞してバスがずーっと停まった
まんまになったとき、乗客の誰よりも、運転手さんが一番イライラしてるのも
感心します。無線でもって他のバスの運ちゃんとウギャーッ!と叫びボヤキま
くる声がバス中に響き渡ります。ーーー責任意識なのか単に短気なのかは措い
といて。
ちょっとでも隙間をみつけ、割り込んで前に出よう出ようとするその熟練危険
なテクニックを見てると、乗客は渋滞への不満など口にできません。だって彼
が一番頭にカッカきてるんだもん。
こんな感じで、最低限の重要ポイントだけは押さえたまま、余分なフリンジの
部分を全部省いたかっこうの中国バス的“サービス精神”に漬かっていると、
日本の、もうすっかりドップリな“サービス”が、果たしてホントの“あるべ
きサービス”なのかな??ーーー消費者はマグロではいけないのではないかな
あ、と考えてしまうのですが、、いかがでしょうか?皆様?
= この稿おわり =
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