☆ 成都誤認逮捕事件(4) ――――――――――――― 1995/05/26
by ブーザンさん
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彼女とは、6時半頃、成都の中心部で若者3人が嫌がる彼女を車に乗せようと
していたので、通りかかった私が救ってあげた。若者の車が走り去ったのを確
認して歩き出したところ、彼女が横にくっついてくるので、コーヒーでも飲も
うと繁華街で感じの良い喫茶店に入った。私はコーヒーを頼み、彼女はウィス
キーを飲んだ。
そこでは1時間ほどいて、勘定の時2400元(31200円)を要求された為
その事で押し問答となり、上の者を呼ぶからと電話を掛けだしたので200元
(2600円)をテーブルの上に置き、彼女の腕を掴んで3、400mほど走っ
て夜店が並ぶ人ごみの中に逃げ込んだ。
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もう安心と、30分ほど彼女と夜店に出ている品物を見て歩いた。時計を見る
と8時過ぎになっていたので、彼女に帰るように言った。その時、彼女がメモ
用紙にホテル名と部屋番号を走り書きしてくれた。そのメモをポケットにしま
いこんで歩き出したところを、お宅の刑事に逮捕された。ーーーと、いままで
の事情を話した。
勿論、すべて中国語でスラスラと話せたのではない、筆談も交えた。彼女から
貰ったホテルの名前・電話番号が書かれたメモも見せた。
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刑事は、「ん〜」と考えていた。そして「多分あなたの言っている事は本当で
しょう。しかし困った事にウチの刑事が一人、怪我をしてしまっている」私は
「正当防衛」とメモに書きその事を強調した。
「タバコでもどうですか?」と、出してくれたので「ありがとう」と受け取り
ポケットからライターを出そうとしていると火を点けてくれた。タバコを吸っ
ている間にお願いをしてみた。「あの〜腹が減ってしまって、何か食べるもの
はありませんか?」と。
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「食べ物ね〜、、中国人なら絶対にダメですが・・・・まーいいでしょう」と
言ってくれたが、しかし変なものを食べさせられてまた食中毒になっても困る
ので「うどん類にして頂けませんか?」と頼んだ。刑事は「あなたは拘束中の
身ですよ、おかしな人だ」と笑った。
部下に命じて外から取り寄せたのだろう「うどん」が届いた。私は右利きであ
る事を伝えて手錠を外してくれるように頼んだ。が、この時は電話で別の誰か
を呼んだ。刑事が来るのかと思っていたら、警官が二人入ってきて手錠を外し
こんどは左の手首と机の脚を繋いだ。
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警官はスグに出ていくのかな?と思ったが、その場に立って食べるのを見てい
た。そんな事には構わず、ズルズルと大きな音を立てていっきに食べてしまっ
た。もう一杯とも思ったが、さすがに言うのはやめた。警官は、うどんの碗と
箸を持って刑事に敬礼し出て行った。
「お腹はイッパイになりましたか?」と言いながら、刑事はニタッと笑った。
時間は既に12時近くになっており、腹が一杯になった事も手伝ってか睡魔が
襲ってきた。旅行の疲れもここにきて出たようだ。
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そしていつのまにか寝入ってしまっていたようだ。目覚めると、時計の針は1
時を廻ろうとしていた。ーーー刑事の姿もなかった。
そのうちにまたドアの向こう側で話し合う声が聞こえだした。そして中に入っ
てきたのは、眼鏡をかけた年の頃50才ほどの男性と、二人の警官、そして先
程の刑事部長が入ってきた。
刑事部長は「よく寝られましたか?」と言いつつも、「逮捕されてきた人で、
これだけ落ち着き払い、おまけに私の前でイビキをかいて寝入った人も珍しい
です」と、例の通りニタッと笑った。
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刑事は「この人に見覚えがありませんか?」と、眼鏡を掛けた男性を指して聞
いた。「1度も見たことがありません」と答えた。「見たことがない?不思議
ですねー?」と言われたが本当に見たことがなかった。
「この人は、あなたが先ほど私に話したホテルの支配人ですよ」と告げられた
が、見ていないものを見たとは言えない。その眼鏡の人は、宿帳らしきものを
広げて、私に「この名前の方ですか?」と目の前に置いた。
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「そうです、間違いありません」そこにはパスポートナンバーと、中国外国人
居留証のナンバーが記入されていた。「そうです!これは私です。間違いあり
ません」と答えると、それを警官が受け取り、パスポートナンバーと居留証番
号をメモし「あなたのパスポートナンバーを照合します」と言い出て行った。
その後、ホテルの支配人と話をした。もう一度ホテルの宿帳らしき控えを見せ
てもらって「これが私ですよ!」と指差した。支配人は「話は刑事部長から全
て聞きました」と言いながらも、私の左腕の手錠を横目で見て顔をしかめた。
そして支配人は、何か話しをしなければいけないと思ったのであろう。
「災難でしたね」と、とってつけたようなことを言った――――。
= この話つづく =
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